女性のカラダの悩み
白くてサラサラのオリモノの原因は?ホルモンの変化とおりものの関係
無色透明なはずのオリモノが、なんだかサラサラした白いものに変わってしまった・・・。こんなとき、「何かの病気?」「どこか具合が悪いのかな?」と不安になった方も多いのではないでしょうか。
女性のおりものの変化には、周期的にやってくる正常な変化と、病気や異常なものがあり、実は健康のバロメーターとしてチェックしておきたもの。
いざというときのために、おりもののことを知っておきましょう。
おりものの役割を知っておこう
・膣をきれいに保つ(自浄作用)
おりもののおかげで膣内には、ブドウ糖から乳酸を産生する善玉菌がいて、膣内をpH4.0~5.0の弱酸性に保ち、大腸菌やカンジダ真菌などの細菌が膣内で繁殖するのを防いでいます。また、古い細胞などの老廃物を掃除して体外に排出することで、膣内の清潔を保つ役割もしています。
・病原体や雑菌から子宮や卵巣を守る
女性の生殖器官はその構造上、雑菌が一度入り込むと増殖しやすい造りになっています。特に膣口は、大腸菌などが多い肛門のすぐ側にあるため、雑菌が付着しやすいのですが、おりものが洗い流し、大切な生殖器を雑菌から守っています。
・性交時の潤滑さを促進する
膣分泌液は性的な興奮が高まると特に多く分泌され、性交時の性器の摩擦や、摩擦による性器のダメージを低減させてくれます。
・受精の手助け
排卵日が近くなると、おりものは量が増えるだけでなく、粘り気のあるドロッとしたものになります。これは精子が子宮内をスムーズに進めるように、子宮頚管から分泌される粘液の量が増えるためです。
通常の膣内はpH4~5であるのに対し、排卵時はアルカリ性を好む精子が入りやすいようpH値が3.4くらいまで下がります。おりものには受精環境を整えるという役割もあります。
おりものが変化する原因は?
おりものは、いつも同じ状態とは限りません。いつもとは違う色・質感・においなどの変化があった場合、その原因はホルモンバランスの変化、体調によるもの、病気などの感染症、妊娠の可能性などが考えられます。そのひとつひとつを見ていきましょう。
-ホルモンバランスの変化
おりものの分泌は、卵巣から分泌される女性ホルモン「エストロゲン」(卵胞ホルモン)と関係があり、初潮の少し前から分泌が始まります。20代の成熟期には量が増え、40代以降の更年期には少しずつ減ってきます。
排卵日付近のおりものの色や量は、このエストロゲンの分泌と密接な関係があります。おりものは一般的には白っぽい色ですが、排卵前などには透明な粘液状のおりものも増えます。
また、卵巣から分泌されるもう1つの女性ホルモン「プロゲステロン」(黄体ホルモン)は、排卵後から量が増えて生理前にぐっと減るため、排卵後のおりものに影響します。
プロゲステロンはおりものの量を減少させ、密度が増します。そのため排卵後は、粘り気のあるおりものになります。
-体調によるもの
人によって、おりものの量や感じ方は様々ですが、「普段とはちょっと違うな」と感じたら、それは体の危険信号かもしれません。急におりものの量が増えたときは、ストレスがいつもより多い、疲れている証拠と考え、ゆっくり休養しましょう。
・におい:膣の自浄作用の低下
ストレスや体調不良による女性ホルモンの乱れや、抗生物質を含む風邪薬などの服用によって、膣内の善玉菌であるデーデルライン桿菌が減少し、膣内に有害な菌が繁殖してにおいの原因に。
・水っぽくて白いおりものが多く出る:胃腸が弱っているサイン
・赤っぽく若干臭いが強い:ストレスが溜まっている
・水気も量も極端に少ないおりもの:体内の水分が足りずに乾燥していることが原因
個人差があるため、一概に当てはまるとは限りませんが、一般的には身体の変化によって、おりものがこのように変化するようです。
これらのおりものが出たら、休息をとったり、しっかり水分を摂取するなど、自分の心と体をケアしてあげましょう。
-病気などの感染症
おりもの特有の甘酸っぱいにおいは、膣内の常在菌による乳酸のにおいで、ひどい刺激臭でもない限り正常の範囲内といえます。明らかに異臭がする場合、淋病・クラミジア感染症・トリコモナス膣炎・膣カンジダ症といった性病や、子宮頸がん、子宮体がんなどの病気が疑われます。
においの異常から考えられる病気
・子宮頸がん、子宮体がん:強いにおいを伴って量が増加。おりものに血が混じる。
・淋病:においがとても強烈で、排尿痛を伴う。色が黄緑や茶色。
・トリコモナス膣炎:泡が混じった黄色や緑色の生臭いおりもの。かゆみやただれ。
・細菌性膣炎:鼻につくような腐敗臭。黄緑色っぽい膿のようなおりもの。赤く腫れたり、ただれたりする。
病気については、もう少し先で詳しくご紹介します。
-妊娠の可能性
おりものの変化や出血が混ざるような場合、妊娠の可能性も考えられます。
・量が増える、形状や色が変わる
妊娠すると、エストロゲンが大量に分泌されるため、おりものの分泌量も増えます。妊娠初期には濁った白色や薄いクリーム色に変化します。
・出血が混ざる
(1)着床出血
おりものに血が混じるのは、妊娠のごく初期の着床出血である可能性もあります。着床出血は妊娠した人すべてに必ず起こるわけではないですが、特に妊娠を望む方は、妊娠検査薬で正しい判定が出る時期までは容易にお薬などを服用しないようにしましょう。妊娠検査薬では陽性反応が出なかった場合も、次の生理でいつもとちがう塊のようなものがでてきたら、自然流産しているかもしれません。
(2)子宮外妊娠
妊娠中におりものと混じった出血があれば、子宮外妊娠の可能性もあります。ただしクラミジア感染や不妊治療の経験がなければ、その可能性は低くなります。病院でしっかり診てもらいましょう。
おりものの変化の特徴と考えられる病気
おりものが変化する原因はさまざまですが、正常・異常それぞれのおりものの特徴を知っておけば、いざというときに慌てずに判断ができ、早めの対処ができるでしょう。ここでは、おりものの状態ごとに、考えられる原因をまとめました。
-白くてサラサラ
・子宮膣部びらん
おりものの量が増えたり、色が白く濁った状態が続くと、子宮膣部びらんである可能性もあります。子宮の入り口がただれることもあります。子宮膣部びらんがあると細菌に感染しやすく、子宮頸管炎などの病気を併発する恐れがあるため、異常を感じたらすぐ婦人科を受診しましょう。
・妊娠超初期症状
妊娠超初期には、無色透明だったおりものが、白や黄色など少し濁った濃い色に変化します。心当たりがある方は、生理予定日の1週間後を待って、妊娠検査薬で検査してみましょう。
-白くて固まりがある
・排卵後~生理予定日
生理周期において、排卵後しばらくすると、おりものは病原体や細菌が膣内へ侵入するのを阻止するために、量が減って粘り気のある、ドロっと白く濁ったおりものになります。
特に生理予定日が近づくと、ドロドロしたおりものが分泌されます。白いドロッとしたおりものが出たらまず、生理予定日を確認しましょう。生理予定日が近ければ、おりものの変化が当然のことですから、安心できますね。
・膣カンジダ症
おりものが白いかたまりでさらにかゆみがある場合、膣カンジダ症がまず疑われます。白や黄色、カッテージチーズのような固形状のおりものが多く出ます。体調が悪い、抗生物質を飲んだ等、抵抗力が下がっている時などに発症します。
-半透明で水っぽい
・排卵前~排卵期
排卵が近づくとおりものが増え、透明で水っぽいものになります。排卵期には透明でゼリー状、粘り気のあるおりものへと変化します。
・膣炎、子宮頸管炎
水のようなおりものが急に増えた場合、腟炎や子宮頸管炎が疑われます。腟炎とは、腟の炎症の総称で、細菌感染やタンポンの出し忘れ、下痢・セックス・不潔な下着など、さまざまな原因によって起こります。
・クラミジア頚管炎
水っぽいおりものが流れ出るくらい多いと、クラミジア頚管炎の可能性があるので、早めに検査をしましょう。ひどくなると熱や腹痛も起き、炎症が卵管まで広がると不妊症の原因になることも。
・トリコモナス膣炎
痒みを伴い、水っぽいおりものが黄色味がかっている場合には、トリコモナス膣炎である可能性が高いでしょう。トリコモナス膣炎の原因は、性交渉、不衛生な環境、過度な洗浄などがあります。
・子宮体がん
子宮体がんを発症すると、水っぽいだけのおりものや、出血による赤褐色のおりものが出ることがあります。50代以上で出産経験がない、生理が不定期といった女性が発症しやすいと言われます。
・卵巣のう腫
水っぽいおりものは、卵巣のう腫の多様な症状のひとつの症状である場合もあります。
-ボソボソとしてチーズっぽい
・膣カンジダ症
酒かすやカッテージチーズ、ヨーグルトのような、ボソボソとした白いおりものが増え、外陰部や膣内に激しいかゆみが現れます。おりものは白のほか黄色~黄緑色にもなり、アルコールのようなツンとした臭いがすることも。
性器の辺りが痒いと性感染症かと心配する人が多いのですが、カンジダは性病ではありません。男性でも発症しますが女性の方が多いのが特徴です。また抗生物質を服用している時は、普段カンジダ真菌の増殖を抑えている善玉菌が減ってしまいかかりやすくなります。
治療には抗真菌薬(膣座薬、クリーム、軟膏)を使用します。一度治療しても、体の抵抗力が低下すると何度でも再発するので、十分な睡眠と栄養を摂る、締めつける・蒸れる下着や衣類を避けるなど、毎日の生活の見直しが必要です。
-不透明で膿、黄色っぽくみえる
膿が出るのは、膣内が何らかの菌に感染していることがほとんどです。早急に婦人科にいきましょう。
・子宮内膜炎
さまざまな細菌が原因になって、子宮内膜に炎症がおきるのが子宮内膜症です。悪臭のある膿のような黄色いおりものが続き、発熱や下腹部痛がおこることもあります。
・卵管炎
卵管に細菌が入って増殖する卵管炎は、突然の発熱や下腹部痛におそわれ、膿状のおりものが出てきます。
・子宮頚管炎
きつい臭いの、黄色や黄緑色のおりものが出た時には、子宮頚管炎を疑いましょう。これは、子宮頸管がクラミジア菌や大腸菌、ブドウ球菌などの感染で炎症を起こした状態を指します。放置すると子宮や骨盤まで炎症が広がり、子宮内膜炎や骨盤腹膜炎を起こす危険性があります。
・淋病
淋菌という細菌によっておこる性病で、独特の強いにおいのする、黄色い膿のようなおりものが出ます。おりものに異常がみられるようになるのは、感染してから3~9日経ってからですから、気付いたらすぐ受診して治療を始めましょう。悪化すると不妊や失明の可能性もあります。
・細菌性膣炎
黄緑色っぽい膿のようなおりものが続き、鼻につくような腐敗臭がする、陰部のかゆみはあまりないものの赤く腫れたり、ただれたりする場合、「細菌性膣炎」の可能性が高いです。原因となる菌は、膣の周囲に普段から存在しているもの。体調不良や、抗生物質の服用などで膣内の自浄作用が損なわれたときに、菌が炎症を起こします。
・クラミジア感染症
臭いはないものの、白あるいは黄色っぽい粘り気のあるおりものに膿が混じっている、下腹部痛を伴うなどの症状がセックスから1~3週間くらい経って現れた場合、クラミジア・トラコマティスという細菌の感染による「クラミジア感染症」が疑われます。
はっきりとした自覚症状が少なく、感染に気付かないまま炎症が卵管や骨盤に及んで、不妊症になってしまうこともあります。パートナーと一緒に検査・治療に臨むことが大切です。
・トリコモナス膣炎
泡が混じった黄色や緑色の生臭いおりものがあり、外陰部に強いかゆみ、ただれがある場合、膣内にトリコモナス原虫が寄生して発症する「トリコモナス膣炎」が疑われます。感染経路の大半はセックスで、放置すると尿道炎や外陰炎などを起こします。検査・治療をパートナーと同時に行わないと、何度も感染を繰り返すことになります。
-サラサラと水っぽくて白い
・胃腸が弱っている
水っぽい白色のおりものが出るのは、胃腸が弱っている場合が考えられます。身体が冷えてむくみ、胃腸が弱ると、おりものも水っぽくなるのです。
・妊娠超初期症状
排卵期から黄体期に移行した時期に、おりものの色が透明~白色で水っぽく、さらさらしており、さらに酸っぱいような甘酸っぱいようなにおいがする場合、妊娠の可能性も考えられます。
・子宮体がん
子宮体がんを発症すると、出血が原因で赤褐色のおりものが現れることがありますが、水っぽいだけのおりものが現れることもあります。
おりものの変化に備えてやっておきたいこと
おりものから不調を読みとるには、日頃から性器を適切な状態に保ち、正常なおりものの周期的な変化を把握しておく必要があります。正常な範囲内でのおりものの変化を知っていれば、異常なおりものにすぐ気付くことができます。
-下着などムレや衛生面に気をつける
・清潔な下着を選ぶ
下着は毎日清潔なものと取り替えましょう。下着は雑菌が繁殖しやすいので、おりもののにおいを強める原因となります。
天然素材で通気性の良いもの、締め付け感の弱いもの、肌触りの良いものを選びましょう。
同様に、生理用品は小まめに取り替えるように心がけましょう。
・膣を洗いすぎない
外陰部を清潔にするためにビデを過剰に使用したり、シャワーで膣内まで洗ってしまう方は、性器を守っている常在菌も洗い落としてしまうため、結果的に子宮内部の自浄作用が弱くなってしまいます。
-おりものの色やニオイをチェックしておく
健康な女性のおりものは、透明か白濁しており、少し甘酸っぱいにおいがします。排卵前はドロッとした粘り気があり、排卵後はのり状になります。下着におりものが付着して黄色く変色することもあります。
月経後の茶色のおりものは、月経血の残りがおりものに混じったものでしょう。しかし、おりものに鮮血が混じっていたり、生臭いにおいがしたり、我慢できないほどのかゆみや下腹部痛を伴う場合、病気が疑われます。
量については、なるべく基礎体温を記録して、おりものとの関係をみてみましょう。排卵期頃の、体温が上昇する前に量が増えるようなら正常です。
-婦人科での検査と治療
おりものの状態がいつもと違い、症状が続くようなら、性器の炎症や感染症が疑われます。不安に感じたら自己判断をせず、なるべく早く医療機関を受診して検査を受けましょう。
病院は産婦人科や婦人科を受診します。普段から生理の開始日と終了日をスケジュール帳に記録しておくと、カルテ記入がぐっとスムーズになります。性行為などに関する問診や医師による触診を行い、膣の中に綿棒を差し込んで分泌液を採取し、検査に回します。検査の種類によっては結果を確認するために後日再診します。費用は検査の種類によって異なりますので、多めに用意しておくと慌てずに済むでしょう。
普段から気をつけたいこと
おりものに異常が起きることや、病気になることを避けるために普段からできることは何でしょうか?
「衛生面に気をつける」「セックスのときにコンドームをつける」といったことはもちろん、そもそもの抵抗力を下げないために「規則正しい生活を心がける」というのも有効な打ち手です。それでは、詳しく見ていきましょう。
-衛生面に気をつける
体力や抵抗力が落ちたり、腟内が蒸れた状態になると雑菌が増えやすくなってしまいます。
【性器を不潔にする状態】
・生理用品を長時間取り替えない
・下着を取り替えない
・入浴を怠る
・通気性の悪い下着・衣類
・締め付けの強い下着・衣類
これらの状態が続くと雑菌が繁殖し、おりもののにおいが強くなりやすいのです。
【性器の蒸れを防ぐ方法】
・綿100%の通気性のいい下着を着ける
・厚手のデニムやガードルは長時間はかない
・おりものシートは使わない
・ナプキンやタンポンはこまめに換える
上記のポイントを踏まえ、衛生的な状態を心がけましょう。
-性交時にはコンドームの使用を
セックスによっておりものが変化する理由を知っておきましょう。
・性交渉によって膣内に雑菌が侵入する
・膣内射精によって本来酸性である膣内がアルカリ性、もしくは中性になり、雑菌が繁殖する
妊娠を望んでいる時以外は必ずコンドームをつけましょう。夫婦でも、パートナーが1人でも、そして妊娠中でも、コンドームは感染症を予防するために欠かせません。
特に妊娠中は抵抗力が落ち、雑菌に感染しやすくなっています。おりものの中の雑菌が増えると、早産や破水の原因になってしまうため、コンドームで赤ちゃんを守ってあげてください。
-規則正しい生活を心がける
身体の免疫力が落ちると、普段は何の悪さもしない常在菌のバランスが崩れ、特定の細菌が増えやすくなってしまいます。
体を冷やさない・疲れやストレスをためない・充分に睡眠をとるなど、日常生活の改善で免疫力を高めるようにしましょう。
また、血糖値が高いと雑菌が繁殖しやすくなります。糖分は細菌にとって栄養源なので、甘い物の摂りすぎには注意が必要です。甘い物は体を冷やす作用もありますから、特に冷えやすい女性は、なるべく甘い物を摂らないよう気をつけましょう。
終わりに
わずらわしいと感じてしまいがちなおりものですが、日頃からおりものの状態を観察・記録することで、自分では気付いていない身体の不調をいち早く察知することに役立ちます。特に、生理周期とは異なるタイミングで白っぽいおりものや粘り気の多いおりもの、異常なニオイのおりものが出たら、なるべく早めに病院で検査を受けましょう。
おりものの検査と合わせて性病にかかっていないかどうかを確認することも出来ます。
普段の生活では、疲れやストレスをためすぎず、健康的な食事と十分な休息を心がけましょう。有益な常在菌を減らさないためにも、お風呂やビデで洗いすぎないように気をつけましょう。
おりものは、女性の健康のバロメーター。おりものを通じて、身体に優しい生活習慣が身につくといいですね。
(Photo by: http://www.photo-ac.com/ )
著者: カラダノート編集部