女性のカラダの悩み
おりもの異常、下腹部痛、発熱…こんな症状が出たら子宮頸管炎!?慢性化の危険を避けるためにできること
オリモノは健康な状態でも多いときもあれば少ない時もありますし、粘度も変わります。時にはオリモノの異常と一緒に腹痛があったり、陰部のトラブルがあることも…そんなオリモノの変化には病気が隠れていることもしばしばあります。おりものは女性の体の情報を教えてくれるます。おりものの変化をきっかけに自分の体を知る手掛かりにしてください。
おりものの役割
女性と日常的に深い関係のある「おりもの」を詳しく知っていますか?このおりものは一か所から出てくるものではなく、子宮や膣など様々な場所から分泌される粘液や古い細胞を総称して指す言葉です。
おりものにはいくつか役割があります。
ひとつは細菌の侵入・増加防止です。女性器は外に開けている場所のため菌が侵入しやすい特徴があります。外性器をおりものが弱酸性に保つことで侵入や増加を防いでいます。
また潤いを保つ働きもあります。膣などの粘膜は乾いてしまうと傷つきやすく、トラブルが起こりやすくなります。そのためおりものが正常にあることによって、膣や子宮などの潤いを保ってくれています。
さらに受精をスムーズにしてくれる作用もあります。妊娠しやすい排卵日の周辺にはおりものが増え、精子が子宮の中に入りやすいようにしてくれます。さらにおりものの性質も精子を受け入れやすいようアルカリ性に傾きます。
このようにおりものには女性の健康や妊娠において、非常に大切な役割を担っています。
・生理周期とおりものの関係
体感している方も多いかもしれませんが、おりものはいつも一定ではありません。分泌される女性ホルモンの変化によって子宮の厚みなどが変わるので、おりものの状態もそれに伴って変化します。おりものの変化によって、およそ排卵日付近かどうかを知ることもできます。
おりものが変化するタイミング
生理周期という短いスパンでもおりものの状態は変化しますが、年齢によってもおりものが変化するタイミングがあります。特徴的なのが20代から30代の前半です。この時期は女性ホルモンの分泌が多くなる時期なので、それに伴っておりものの量も多くなる傾向があります。
ちなみに10代はまだ女性ホルモンの分泌も安定しないので、おりものは不安定に多くなったり少なくなったりします。そして30代後半以降になると徐々におりものは減っていき、閉経後には女性ホルモンの分泌がなくなるので、一気に量が少なくなります。
またおりもののニオイについても、20代から30代前半にきつくなる傾向があります。これは量が多くなる分気になることが多くなるようです。
・体調的な要因
生理周期や年齢でおりものの状態が変化するとともに、そのときの体調でおりものが変化することもあります。例えば、ストレスが女性ホルモンに影響することはよく知られています。女性ホルモンの分泌が変わればおりものの分泌も変わるので、ストレスを感じたときにはおりものに匂いが生じやすくなります。
また、胃腸が弱っているときにもおりものが変化します。胃腸の状態が悪いと水っぽく、白っぽいおりものが出やすくなります。そして、体の中の水分不足もおりものに影響し、このときにはおりものの水気や量が少なくなります。
これらのおりものが出た場合には、十分に体を休めてあげましょう。体の状態が回復すればおりものの状態も普段通りに戻っていきます。
・病気や感染症
婦人科系の病気や感染症の症状として、おりものの状態が変化することもあります。病気や感染症によっておりものの状態が変化している場合、「色」「におい」「量」から情報を得られます。いずれか1つ、あるいはいくつかのおりものの異常が、病気や感染症で見られることがあります。
婦人科系の病気は基本的にわかりやすい症状があまり出ません。そんな婦人科系の病気において、おりものの変化という症状は非常に貴重です。おりものの異常から発見できる病気はたくさんあります。
普段のおりものの状態を把握しておけば、何か変化があったときに気付くことができます。早期に何かの症状として気づくためにも、敏感に変化に気づいてあげたいですね。
・妊娠の可能性
妊娠をきっかけにしてもおりものは変化します。
おりものの変化は妊娠の初期から出てきて、一般的におりものの量が増えます。色は透明だったり白、薄い黄色が基本です。けれども妊娠初期にはしばしば茶色いおりものが出ることもあります。さらに妊娠初期から中期、後期にかけておりものの量が増えていくケースが多いようです。
おりものの状態については人によって様々なようです。ただし血が混じったようなおりものには注意が必要です。
妊娠をきっかけにしておりものが増えるのは、女性ホルモンの分泌が活発になるためです。これによって赤ちゃんを細菌感染から守っているとも言われます。とはいっても、そのままにしていては外陰部が不衛生になりやすいですから、ママは下着交換やオリモノシートで対策する必要が出てきます。
おりものの異常と考えられる病気
やはりオリモノが普段と違うときに気になるのが、病気の可能性ですよね。おりものにどんな異常があったら、どんな病気の可能性があるのでしょうか?具体的なおりものの状態と可能性のある病気についてご紹介していきます。
・おりものの量が多い・少ない
そもそもどこからおりものの量が多いのか?少ないのか?ということですが、おりものの量は人それぞれです。そのため多い少ないを判断する場合、普段の量よりも多いか少ないかを考えてみてください。
おりものの量に関しては、異常があった場合、少なくなるよりも多くなる症状の方が多いですが、極端に量が多かったり少なかったりしない限り、心配しすぎる必要はありません。
おりものの量が多いだけの症状で場合に考えられるのは「子宮膣部びらん」の場合です。これは病気ではなく多くの成人女性に見られる状態で、おりもの量が増加します。特にひどい症状、気になる症状がなければ治療の必要はありません。
おりものの量と他の症状を合わせて判断する必要がありますが、おりものが多くなる症状では、トリコモナス膣炎、子宮内膜炎、卵管炎などが疑われます。
・おりものがピンクや茶色(出血が混じる)
おりものがピンクや茶色っぽくなっていると、血液が混じっている可能性があります。つまり不正出血が起こっている可能性が高いです。
排卵出血や着床時の出血など、健康でも生理以外の時に出血することはあります。それがおりものに混じれば、ピンクや茶色のおりものになります。
こういったおりものが必ず病気の症状というわけではありませんが、何度も繰り返し見られたり、鮮やかな出血に見られる場合には病気の可能性が高いと考えましょう。特に茶色ではなく赤やピンクに見えた場合は、出血している可能性があります。
おりものの状態と合わせて量が増えたり悪臭がする場合には、子宮頸がんや子宮体がんの可能性があります。また老人性膣炎でもおりものに血が混じることがあります。
・おりものが黄緑色でねばつく
おりものが黄緑色やそれに近い色になり、さらに粘つく状態になっていると、細菌感染が疑われます。考えられる病気としては「クラミジア感染症」や「淋病」などで、いずれも細菌感染によって発症するものです。
クラミジア感染症は「下腹部痛」を伴うことが多くニオイはありません。しかし自覚症状がないことも多く、進行して感染が卵管や骨盤に拡大することがあります。
淋病は「悪臭」が特徴で、「下腹部痛」「発熱」がみられることもあります。ただこちらも自覚症状に乏しい病気です。
風邪を引いたときの鼻水の状態と同じで、黄色や黄緑色で膿っぽいおりものが出てくるということは、死んだ細菌が体の中から出てきている状態と考えられます。
・水っぽいおりものが出る
健康な状態でも生理周期によっておりものが水っぽくなることがあります。しかし正常な水っぽいおりものは、無色透明に近く、においもありません。
水のようにだらだらと流れ出てくるおりもので、黄色や茶色っぽい場合には「クラミジア頸管炎」の可能性があります。
初期のクラミジア感染症のときにはほとんど症状がなく、ある程度進行するとおりものなどの症状が出てきます。自覚症状がある場合もあり「おりものの量が増えた」「腹痛」「性交痛」などがあります。
放っておくと不妊の原因にもなるので注意が必要です。
あまり多くはないですが子宮体がんでも水っぽいおりものがみられることがあります。不正出血などと合わせて症状の有無を確認してみましょう。
・ぼそぼそとチーズのようなおりもの
酒粕状や、カッテージチーズのようなオリモノとも言われますが、白くぼそぼそとしたおりものが現れるのが「膣カンジダ症」です。これはカビの一種であるカンジダが膣内で繁殖して起こる病気です。
菌自体は常在菌で誰の体にもいるものですが、ストレスや疲労、寝不足などによって免疫力が落ちたときなどに増え、病気の発症に至ります。また、免疫機能を抑制するステロイドホルモンの治療(花粉症やぜんそくなどの治療)の時にも発症しやすいです。女性の約10%に膣の中にカンジダが見つかるそうです。
膣カンジダ症の場合、おりものの異常が特徴的です。それ以外の症状としては、「非常に強い外陰部のかゆみ」「灼熱感」「性交時の痛み」などがあります。
・クリームっぽさや泡立つようなおりもの
クリームのように粘性のあるおりものも病気の症状の場合があります。
おりものの変化以外のカラダの不調は、すでに出ましたがクラミジア感染症や淋病などの細菌感染では、粘性のあるおりものが見られます。
他には「子宮頚管炎」の可能性もあります。これは何らかの菌が子宮頚管に入って起こるもので、おりものに膿が入りクリーム状になります。おりものが泡立つような症状は、「トリコモナス膣炎」の特徴的な症状です。
トリコモナス膣炎はトリコモナス原虫が寄生することが原因で起こり、「ニオイ」「黄緑色」「量の増加」「外陰部のかゆみやただれ」などの症状がみられることもあります。主に性行為によって感染するので、感染が確認されたら治療はパートナーと共にしなければいけません。
・おりもののニオイが気になる
おりもののニオイの異常も病気の症状で出ることがあります。
特徴的なニオイがある病気には「細菌性膣炎(さいきんせいちつえん)」があります。これは様々な病原菌が繁殖して起こる膣の炎症で、魚のように生臭い、鼻につく腐敗臭のようなニオイのおりものが出ることが多いです。陰部のかゆみはあまりなく、ただれるなどの症状があります。
「子宮内膜炎」のときにも悪臭のあるおりものが出ることがあります。子宮内膜炎は子宮内膜症とは異なり、子宮の中に何かの細菌が入って炎症を起こしている状態です。
他には、トリコモナス膣炎でもしばしば強い悪臭を伴います。また子宮頸がんや子宮体癌、老人性膣炎、淋病でも悪臭のあるおりものが見られることがあります。
おりものの変化以外のカラダの不調
既に紹介しているものもありますが、病気によっておりものに異常が出ている場合には、それ以外のカラダの不調も起こっていることが多いです。おりものの変化とそうした体の症状を合わせて考えてみましょう。
病気が原因だった場合どんな不調が起こるでしょうか?代表的な症状をご紹介します。
・外陰部のかゆみ、ただれ、腫れ
・しこり、できもの
・膣のヒリヒリ感、熱感
・性交痛、性交時の出血
・不正出血
・排尿痛
・下腹部痛、腰痛、発熱
おりものの異常と一緒にこれらの症状がみられた場合には、病気の可能性を考えて早めに病院で診てもらいましょう。
また、感染症の場合には女性だけでなくパートナーにも症状がみられることがあります。さらにオーラルセックスによって口腔内にできものなどの症状が出ることもあります。外陰部や膣以外の場所の症状も確認してみてください。
もちろん、オリモノは普通でもこれらの症状がみられるといった場合、病気が隠れている可能性がありますので注意しましょう。
おりものの異常を感じたら行うこと
ではもしおりものの異常が感じられたら何をすればいいのでしょうか?おりものが何だか変だな…普段と違うな…と思ったときにするべきことをご紹介します。病気の可能性がある分、異常が見つかったらすぐに対処したいですね。
・セックスを行わない
まず第一に性行為を控えましょう。
ひとつは余計な刺激を避けるためです。元々トラブルを起こしているところに刺激を加えてしまうと、炎症や状態が悪化してしまうことがあります。悪化すれば治療にも時間がかかってしまうかもしれません。
さらに、感染する病気だった場合には相手に感染を拡大させてしまう可能性もあります。性行為以外でもうつることがありますが、一番の感染原因は性行為なので、診断が下り治療が終わるまでは控えるようにしましょう。
・病院での検査や治療
原因を特定するためにも病院で検査を受けることも必要です。
ただし、おりももの異常だけで病気を判断することはできませんから、他に症状がないかなどは事前に伝えましょう。
実際の検査には内診を行います。下着をとって診察台に上がり、膣の中からおりものを直接とります。そのおりものから病気がないか?何の病気か?を判断するので、数日から1週間ほどして検査の結果を聞きに行きます。内診は一緒に子宮頸がんや子宮体がんの検査をすることもあります。
結果が出れば、抗生物質の投与など原因に合った治療を進めていきます。
・陰部を清潔に
ムレや不衛生な環境になっている場合、締め付けない下着を選ぶなど、陰部を清潔に保つようにしましょう。
おりものシートなどを活用するのもよいでしょう。
正常なおりものを保つために…
おりものは病気が原因でも、生理周期によっても、体調によっても変わります。できるだけこのおりものを正常な状態に保つためには、日頃から気をつけるべきことがあります。
特に気にするべきなのは、膣から外陰部の環境です。元々蒸れやすく細菌が繁殖しやすい場所です。そのため、下着や洋服は蒸れないようなものを選び、常に清潔な状態になるように気を使いましょう。
細菌の繁殖という点で言えば、免疫力の低下も原因になりますから、普段からストレスや疲れを溜めないようにします。また、血糖値が上がると細菌が繁殖しやすくなるので、甘い物や炭水化物の摂取にも気を使いたいところです。
自分で気をつけられるべきところはきちんと気にして、おりものの状態を正常に保ちましょう。同時に普段からおりものの常置を把握し、何かあったときにすぐに異変に気付けるようにしておきましょう。
(Photo by:写真AC )
著者: カラダノート編集部