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生活習慣病

腎障害併発の2型糖尿病治療に『メトホルミン』の使用は安全?乳酸アシドーシスのリスク

2型糖尿病治療薬(ビグアナイド薬:BG薬)の『メトホルミン』は、アメリカでは糖尿病の第一選択薬であり、有害事象が少なく、高い効果が得られることに定評がありますが、日本では(メトホルミンはインスリン抵抗性改善薬であり、日本人にはインスリン分泌不全型が多いことから効果があまり期待できないこともあり)糖尿病治療薬の主体とはされていませんでした。現在ではSU薬の欠点の多さから(継続使用による膵臓β細胞の減少や低血糖などの合併症)、メトホルミン再評価の動きが出ていると言います。ただ、腎機能が低下している場合や高齢者では、メトホルミンは腎臓で代謝されるため、慎重に使用することが求められています。では、どの程度の腎機能の数値であればメトホルミンを安全に使用できる域といえるのでしょうか?以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

メトホルミンの副作用『乳酸アシドーシス』はなぜ危険?

メトホルミンは2型糖尿病治療薬の中でもビグアナイド系薬(BG薬)に分類される薬ですが、副作用に注意が必要なものとして『乳酸アシドーシス』の記載があります。しかし、現在ではその発生頻度は極めてまれで(8人/100,000人との報告)、通常問題視されませんが、腎障害がある場合や高齢者などではそのリスクが高まり(投与後ほぼすべてが未変化体のまま腎臓から排泄されるため)注意が必要とされています。

 

<乳酸アシドーシスの初期症状>

■胃腸症状として悪心、嘔吐、腹痛、下痢等や、倦怠感、筋肉痛、過呼吸等が認められます。

 

<乳酸アシドーシス発生の機序>

メトホルミン使用によって、肝臓での乳酸⇒糖新生が抑制され、血中に乳酸が蓄積するため、血液が酸性に傾き(乳酸アシドーシス)消化器症状の出現や、悪化した場合昏睡状態に陥り場合によっては死亡する可能性もあります。

 

⇒また、糖尿病のコントロールが不良(=ケトン体が溜まる)、飲酒により肝臓に負担が掛かっている場合などでは、より乳酸の蓄積が起こりやすくなります。

 

eGFR(腎糸球体濾過量)が『60~30以内』であれば、メトホルミン使用は安全と言える?

腎障害を併発時の、2型糖尿病へのメトホルミン投与に関して、アメリカFDAの処方ガイドラインでは一定の基準が定められていますが、米医学誌のJAMA誌によれば『FDAのガイドラインには明確な根拠はない』とされ、また現状では腎機能の確認のないまま、国外問わずメトホルミンが使用されているケースが多いと言われています。このことを受けて、同誌では過去に行われた腎障害を持つ糖尿病患者さんを対象とした乳酸アシドーシス発症リスクに関する臨床試験を解析し、新たなメトホルミン使用量の基準を掲載しています。

 

<現行のアメリカFDAの処方ガイドラインは?>

以下の場合、メトホルミンの使用は適応外となっています。

 

■血中クレアチニン濃度によるメトホルミン使用の可否

【男性】1.5mg/dL以上、【女性】1.4mg/dL以上は不可

(※また、80歳以上の高齢者においては、原則メトホルミンは使用しない。)

 

<複数の臨床試験データ解析から得られた、メトホルミン使用の安全域とは?> 

2型糖尿病患者(腎障害併発)に対するメトホルミン使用の安全域に関するメタ解析(メドライン、コクラン・データベースによる)

【試験結果】腎糸球体濾過量(eGFR:血液のクレアチニン濃度から計算可能)が、『30~60mL/min per 1.73㎡』である場合には、メトホルミン使用でも安全域に収まる可能性が高いという結果となった。

  

■腎糸球体濾過量(eGFR)とメトホルミン使用量(安全域)の詳細

【eGFR:60以上(軽度の腎機能低下)】・・・上限2550mg

【eGFR:45~60未満(中度の腎機能低下)・・・上限2000mg

【eGFR:30~45未満(中度の腎機能低下)・・・上限1000mg

【eGFR:30未満(高度の腎機能低下)・・・使用禁忌

 

(※eGFR値の計算は、血清クレアチン(CRE)値をもとに、年齢、性別から算出します。『日本慢性腎臓病対策協議会』のサイトより簡単に計算できます。

 

最後に

内科医の先生(個人のブログによる)の見解では、これらの結果を受けて日本で腎障害時のメトホルミンを使用する際には、さらに安全域を広げeGFR値(腎糸球体濾過量)が60以上の場合⇒1500mg上限として、60以下の場合⇒新規の使用は控えることが提案されています。もし、これらの基準値を大きく超えていた場合には、一度セカンドオピニオンを受けてみる必要もあるかもしれません。

 

(参考ウェブページ:六号通り所長のブログ、日本慢性腎臓病対策協議会、DIABETES NEWS

 

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-03掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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