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生活習慣病

新たな糖尿病治療薬『SGLT2阻害薬』☆処方に適しているケースと副作用について

2014年に新しいコンセプトの2型糖尿病治療薬(SGLT2阻害薬)が発売されました。この薬は、「尿糖を出さないように血糖値を下げる」という従来の糖尿病治療薬と異なり、「尿糖をどんどん出すことで、血糖値を下げる」という逆転の発想による、従来にはなかったタイプの薬です。血糖降下のメカニズムとしては、部分的に糖輸送体・SGLTを阻害し(SGLT1と2のうち、2のみを阻害)、糖の再吸収を5割程度に留める作用を持つという薬で、低血糖のリスクが低いことが利点であり、また体重減少作用もあることから肥満傾向のある糖尿病患者さんの第一選択薬として用いられることが期待されています。しかし、一方で発売後数ヶ月で脱水や脳梗塞を発症した例が増加していることから、より慎重に処方することが必要と言う意見も出されています。以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

処方医の4割近くが『SGLT2阻害薬』を第一選択とすることに慎重

医療情報専門サイト(ケアネット)の調査によると、同サイト登録会員でスーグラ処方の経験がある医師458人を対象に「第一選択薬にするか」という質問をしたところ、「現時点では判断できない」が54%、「第一選択薬としては処方しないと思う」が38%という結果になりました。この理由として多かったものが「症例を選ぶため」というもので、前述のようにSGLT2阻害薬は脱水傾向や体重減少効果があることから、「痩せ傾向の患者」「高齢者」には投与すべきでないという見解が広まっています。

 

SGLT2阻害薬の処方に適しているのは『肥満傾向のある壮年期の人』

SGLT2阻害薬を使用することの利点は、ほぼすべての糖尿病治療薬と併用できること、HbA1c低下に加え、内臓脂肪を含めた体重減少効果に高い評価があること、低血糖のリスクが低いことなどです。しかし、前述のようにある条件においては尿糖増加や体重減少がデメリットとなる可能性もあることから、処方の対象は以下が奨められています。

 

<SGLT2阻害薬に適した人とは?>

 

1)肥満傾向の人

尿糖排泄によるエネルギー漏出の代償として内臓脂肪が燃焼されて体重が減少します。それに伴い全般的な健康改善が期待できます(インスリン抵抗性・脂肪肝・血清脂質・血圧・尿酸などの改善)。痩せている患者さんでは低栄養や蛋白の異化亢進による筋肉の減少が生じるため奨められません。

 

2)若い世代の人

尿糖が増加して浸透圧利尿が起こり、脱水傾向を招くことから、血栓が形成されやすくなります。特に高齢者では、喉の渇きを感じにくく脱水になりやすいことから特に注意が必要です。

 

3)既存の経口血糖降下薬で効果不十分である人

既存の経口血糖降下薬とは違う作用機序であることから上乗せ効果を期待できます。

 

4)罹患期間が比較的短い人

糖尿病の罹患期間が長いとインスリン分泌能が低下している可能性が高く、糖代謝できないことから脂肪分解によりケトン体が蓄積し、ケトアシドーシスを発症しやすい場合があります。そのため、インスリン分泌能の保たれている人が適しているといわれています。

 

5)腎機能障害が進行していない人

腎糸球体濾過量(eGFRが45mL/分/1.73m²未満あるいは30mL/分/1.73m²未満)が目安。この基準を超えた場合、尿糖の排出が悪く、薬剤も尿細管まで到達しにくくなり、効果が期待できない。

 

副作用への対策について 

このようにSGLT2阻害薬の副作用は、尿糖排泄による『低栄養』『脱水』『血栓症』や、脂肪燃焼による『ケトアシドーシス』などが挙げらています。では、これらの副作用を予防するための対策とはどのようなものでしょうか?

 

■尿路感染・・・尿糖が増えることで、尿路感染症や性器感染症にかかりやすくなります。

【対策】「尿意をがまんしない」「陰部を清潔に保つ」「排尿痛や尿の濁りなどがあればすぐに受診する」ことが必要です。

 

■脱水や血栓症・・・特に高齢者は体内の水分が少なく、口渇を感じにくくなっていることがあるので脱水には要注意です。

【対策】夏場などは喉が渇く前にこまめに水分をとることが必要です。

 

■ケトーシス・・・糖利用の減少に糖質摂取制限が加わるとケトーシスになりやすくなります。

【対策】個人判断による糖質摂取制限を行わないように注意します。

 

■風邪による脱水・・・風邪を引くと発熱や食欲低下により脱水が助長され、ケトーシスも亢進しやすくなります。

【対策】風邪を引いたら一度休薬し、早めに受診するようにします。

 

最後に

SGLT2阻害薬は新薬であるため臨床データが少なく、安全性や使い方のついてまだ模索している状態であることから「DPP-4阻害薬やビグアナイド薬(BG薬)をベースに、第二・第三選択薬としてSGLT2阻害薬を併用する」という使い方が望ましいとされています。

 

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-31掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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