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欧米では常備薬?『キレート亜鉛トローチ』が風邪の期間を46%短縮させる!
近年のインドの研究グループによって、『高用量の酢酸亜鉛(キレート亜鉛)トローチの早期摂取が風邪罹患期間の短縮化に繋がる』という研究報告が行われました。キレート亜鉛は、日本では未発売ですが欧米ではキャンディやトローチに含有される形で売られており、風邪治療の常備薬でもあるそうです。日本でもiHerbなどの個人輸入サイトを利用することで購入することは出来ます。では、その効果とはどれほどなのでしょうか?以下では、その詳細について見て行きたいと思います。
亜鉛の体内における機能とは?
亜鉛は、一部の食品の中に含まれ自然界に存在する必須ミネラルで、以下のような細胞代謝のさまざまな側面に関係しています。
■亜鉛の効果
・約100種類の酵素の触媒活性
・適切な味覚や嗅覚に必要
・免疫機能
・蛋白合成
・創傷治癒
・DNA合成
・細胞分裂に重要な役割を果たす。
⇒また、体には特別な亜鉛の貯蔵システムがないので、亜鉛を毎日摂取することが必要。
■亜鉛の1日必要摂取量(19歳以上)
男性:11 mg/女性:8 mg/妊婦:11 mg/授乳婦:12 mg
亜鉛が風邪の原因・ライノウイルスをどのように抑えるか?
厚生労働省の統合医療に関するウェブサイトによると、亜鉛がライノウイルスの活動を抑える効果について、以下と説明しています。
・亜鉛は、鼻粘膜内でのライノウイルスの結合および複製を直接阻害し、炎症を抑えるという仮説を立てている。
・風邪症状と亜鉛治療の研究の結果は多少矛盾しているが、全体的に亜鉛は、特定の状況下では有益なように思われる。
・亜鉛は口腔内または咽喉内で一時的に「粘着する」トローチとして投与される。これによって、亜鉛はそれらの部位のライノウイルスと接触ができるようになる。
⇒つまり、サプリメントなど一回で飲み込む薬ではなく、口腔内で徐々に溶けていく薬がライノウイルス抑制に効果がある。
過去のデータ解析では、『風邪発症24時間以内に亜鉛トローチを摂取すれば7日以内に治りやすい』
インドの医学教育・研究大学院研究所のミーヌ・シン主任研究員らの研究チームやフィンランドのヘルシンキ大学のデータ解析によって、『風邪の発症から24時間以内に(1日80mg)キレート亜鉛トローチを摂取すると、風邪の症状が軽減し、罹患日数が短くなる』という内容が発表されました。
■亜鉛の風邪症状改善効果に関する過去のデータ解析(インド医学教育・研究大学院研究所/Cochrane Reviews online版 2011年2月16日号)
【試験内容】1984年以降に発表された過去の研究報告(「ライノウイルス由来の風邪に対する亜鉛の効果」)のうち15件を検証した。
【結果】風邪の発症から24時間以内に亜鉛摂取した群は、摂取しなかった群に対し風邪の罹患期間の短縮化と症状の軽度化が見られた。また発症後に継続して亜鉛を摂取し続けた群は、7日以内に風邪が回復する割合が高かった。
■高用量の亜鉛トローチの風邪症状改善効果に関する過去のデータ解析(フィンランド・ヘルシンキ大学/BMCファミリープラクティス)
【試験内容】過去に発表された3件のランダム化臨床試験のデータ解析
【結果】風邪の諸症状の期間を短縮化することが明らかになった。(鼻水:34%、鼻詰まり:37%、くしゃみ:22%、喉のいがいが:33%、咽頭痛:18%、嗄れ声:43%、咳:46%、筋肉痛:54%)
⇒また、酢酸亜鉛トローチの服用量は、1日約80mgを風邪発症から24時間以内、2週間以内の範囲で摂取することが有効であった。
最後に
ただ、この治療法に関しては注意事項があり、亜鉛を過剰摂取すると拮抗作用により銅が不足してしまう危険性があります。栄養士の方のウェブサイトでは、1日80mgの亜鉛摂取の場合、5日程度を目安に控えるべきだとしています。
(参考ウェブページ:厚生労働省/統合医療情報発信サイト、リンク・デ・ダイエット、臨床栄養士のひとり言)
(photoby:pixabay)
著者: カラダノート編集部