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生活習慣病

難治性高コレステロール血症の新たな治療薬『PCSK9阻害剤』とは?

今年の3月に厚生労働省が高コレステロール血症の新たな治療薬『PCSK9阻害剤』の製造販売承認を申請したことが発表され、発売が間近と迫りました。家族性高コレステロール血症やスタチン抵抗性の患者さんには、既存の治療薬(リピトール・リバロ・クレストールなどのストロングスタチン)を使用しても無効であったり・コントロールが難しいケースがあります。このPCSK9阻害剤は、これまでの治療薬の機序と異なり、LDL受容体の数を増加させる作用を持つ薬で、前述の難治性の患者さんではLDL受容体を分解する酵素が多く分泌されているため、この機序を持つ薬が有効である可能性が高いと言われています。以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

『PCSK9阻害剤』とは?

PCSK9(プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)は、タンパク質を分解する酵素であり、細胞内外でLDL受容体(LDLR)を分解することで、肝臓へ過剰のLDLコレステロールの取り込みをコントロールするという役割があります。しかし、家族性高コレステロール血症やスタチン抵抗性の患者さんでは、PCSK9の発現量が多く、LDLRの分解が亢進するため、結果血中LDLコレステロールの上昇に繋がってしまいます。

 

『PCSK9阻害薬』は、このPCSK9を標的とした『ヒトモノクローナル抗体』で、PCSK9の働きを阻害することで、LDLRの分解を抑制し、血中LDLコレステロールの肝臓への取り込みを促進させて、血中濃度を低下させるという効果があります。

 

<スタチンが効かない原因は、受容体を壊す酵素が多すぎるため?>

スタチン剤が効かない場合というのは、LDLR(受容体)とPCSK9(分解酵素)とのバランスにおいて、PCSK9の方が亢進している場合であると言われています。

 

■LDLR>PCSK9となっていれば、スタチンが奏効

■LDLR<PCSK9となっていれば、スタチン不反応

 

PCSK9阻害剤の臨床試験の成績について

Ann Intern Med誌のウェブ版に掲載された『PCSK9阻害剤』に関する臨床試験のデータ解析については、以下となります。

 

■PCSK9阻害剤に関する24の介入試験

【試験内容】スタチン抵抗性患者を含んだ10159名の高コレステロール血症患者に対するPCSK9阻害剤投与試験のデータ解析

【結果】以下の結果となった。

 

・血液中のLDLコレステロール(所謂悪玉コレステロール)の濃度を、平均で47.49%低下させた。

・総死亡のリスクを、有意に55%低下させた。

・心筋梗塞の発症リスクも有意に51%低下させた。

 

⇒有害事象や副作用に関しては、重篤なものは報告されておらず、またスタチンへの上乗せにおいて、筋肉が壊れることで値が上昇する『クレアチニン・キナーゼ(CK)』の上昇を抑制していた。

 

最後に

上記のように、PCSK9阻害剤の臨床試験では、スタチン抵抗性のある高コレステロール血症患者さんに対しても、有意に総死亡リスクの低下を示すことが明らかになりました。しかしながら、新薬であることから今後さらなる長期のデータが蓄積が必要であり、安全性の確立が望まれています。

 

(参考ウェブページ:六号通り診療所所長のブログ、The Wall Street Journal)

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-30掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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