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『ガスター10』などの胃腸薬の飲みすぎが、骨粗しょう症リスクを高める?原因不明の胃の機能障害、機能性ディスペプシアの治療薬にはSSRIがよい?

薬剤の副作用により骨粗しょう症のリスクが高まるものの代表としてステロイド剤があることが有名ですが、ご存知でしょうか?薬剤は病気の症状を和らげる強い味方にもなりますが、副作用による健康被害を受けてしまう可能性もあるため、使用の際には用法用量に注意が必要なのです。

 

胃腸薬にも副作用が…

「副作用がある」というイメージが強いのは上記で上げたようなステロイド剤などの効果が強力な薬ですが、近年の米研究により、胃腸薬の一種である『プロトンポンプ阻害剤(制酸剤)』の使用も長期間の服用で骨粗しょう症の危険性があることが報告されました。

 

胃酸抑制効果によって、同時に腸管カルシウム吸収も阻害してしまうことが原因のようです。

 

また、プロトンポンプ阻害剤だけではなく、市販薬である『ガスター10』などのH2ブロッカーも、胃酸分泌を抑制することから同様のリスクがあると言われています。

 

 

胃酸を抑える市販の胃腸薬は、どんな種類がある?

胃酸多過抑制タイプの薬は以下があります。H2ブロッカーはその中でも特に、長期間の服用で骨粗しょう症の発症リスクがあると言われています。

 

■制酸薬

【市販薬】サクロンS(エーザイ)、パンシロンAZ(ロート製薬)

空腹時の胃のpHを(5~6まで)上昇させ、増えすぎた胃酸を中和する。水酸化アルミニウム・炭酸カルシウムなどのアルカリ性化合物が配合されている。

 

■胃酸分泌受容体拮抗剤(H2ブロッカー)

【市販薬】ガスター10(第一三共)

ヒスタミンH2受容体に拮抗し、胃酸の分泌を抑制する。

 

■複合胃腸薬

【市販薬】新キャベジンコーワS(興和)、第一三共胃腸薬プラス(第一三共HC)

消化酵素、胃粘膜保護成分、胃の働きを促す健胃成分などの複合成分が配合される。

 

H2ブロッカーで効果が弱い場合に使われるのが、『プロトンポンプ阻害剤』

H2ブロッカーよりも強力に胃酸分泌を抑制する薬として発売された医薬品がPPI(プロトンポンプ阻害薬)です。効果が強力であることから市販薬は無く、処方薬のみとなっています。

 

PPIは強力に胃酸分泌を抑える作用があります。しかし、その一方で、腸管のカルシウム吸収が阻害され骨粗鬆症になるリスクがあるが高くなってしま為、より注意が必要です。

 

<米国ではプロトンポンプ阻害剤に、骨粗しょう症リスクが明記されている>

FDA(米国食品医薬品局)は2010年に全てのプロトンポンプ阻害剤に警告ラベルを表示することを義務付けています。

 

プロトンポンプ阻害薬と骨折リスクに関する研究について

以下の結果が報告されています。

 

■5年以上のPPI使用で、骨粗しょう症が認められた症例

【試験内容】50歳以上(骨粗鬆症治療薬の使用例を除く)を対象に、PPI使用と骨粗鬆症関連骨折リスクとの関連を調査した。

【結果】大腿骨付近の骨折リスクは5年以上のPPI使用、骨粗鬆症による骨折リスクは7年以上の使用で有意の増加を示した。

⇒一方で、短期間の使用では骨折リスク増加は認められなかった。

 

■PPI使用で、椎体以外の部位に骨粗しょう症が認められた症例

【試験内容】65歳以上の男女を対象に、PPI使用と骨粗鬆症関連骨折リスクとの関連を調査した。

【結果】以下の結果となった。

 

・女性では、PPI使用によって、椎体以外の部位への骨折(肋骨や骨盤など)リスクが有意に増加した。

・男性では、カルシウム補給を行っていないケースのみ、PPI使用によって、椎体以外の部位の骨折リスクが有意に増加した。

 

⇒以上から、ヒトへの長期的なPPI使用は、骨粗鬆症を発生させる可能性があることが示唆された。

 

 

最後に

上記の強力な制酸剤が処方される主な病気は、十二指腸潰瘍や逆流性食道炎などです。

 

逆流性食道炎の場合、PPI使用を避けるのであれば【1)カフェイン・油分・糖質・アルコールの多い食事を控える、2)横隔膜を鍛える、3)弱アルカリ性の飲料水を飲む】などの代替療法も有効とされています。

 

重症例でない場合は、通常数ヶ月程度の投薬・食事制限療法で完治するとも言われていることから、一度制酸剤の長期服用については見直してみる必要があるかもしれません。

 

 

原因不明の胃の機能障害、機能性ディスペプシアの治療薬にはSSRIがよい?

機能性ディスペプシアとは、原因不明の胃の機能障害のことをいいます。

 

従来はこの治療法として、胃の運動を活発化させるアコファイド(コリンエステラーゼ阻害薬)やその他の胃腸薬、安定剤などの薬を処方する対処療法が中心に行われていました。

 

しかし、近年大阪市立大学と理研の研究により、機能性ディスペプシア患者の脳をPET検査で調べたところ、中脳、視床部位にセロトニントランスポーター(輸送体)の変調があることが明らかにされました。

 

脳のセロトニン異常があることは、消化管運動に関わるセロトニン異常にもつながっています。

このことから、今後は機能性ディスペプシアの治療薬には「抗うつ剤」も選択肢のひとつとして有効になると考えられています。

 

機能性ディスペプシアの症状とは?

以下の3つが主な症状です。

 

・消化管運動機能異常

胃から腸への排出能低下、胃拡張不全による早期飽満感、胃電気活動異常。

・内臓知覚過敏

胃の運動不全による食物滞留で、物理的、化学的刺激が増。

・心理的因子

うつ、不安、パニック症候群などの因子がある。

 

 

セロトニントランスポーターとは?

セロトニンとは、交感神経や精神の安定性に関する調整を行う、神経伝達物質です。

この神経伝達がある一定の期間行われると、そのあとセロトニントランスポーター(輸送体)と呼ばれるセロトニン回収の輸送体がはたらき、情報伝達は終了します。

 

しかし、うつ病などの疾患ではセロトニン濃度が低いため、この輸送体を阻害するSSRI薬を使用し、セロトニン流通量を増加させています。

今回の研究では、機能性ディスペプシアにおいても、この輸送体がはたらきすぎており、セロトニン濃度が低下している部位があることが指摘されています。

 

 

セロトニントランスポーターがはたらくほど、消化器症状が悪化していた

前述の研究によると、脳のどの領域のセロトニントランスポーターが変調しているかによって、症状にちがいがあると述べられています。

※中脳、視床は、消化管から中枢へ伝わる「痛み刺激」を増幅する領域。

 

脳のセロトニン輸送体の結合能が亢進しているほど、消化器症状が悪化(大阪市立大学医学研究科と理化学研究所の共同研究による)

 

 

対象

9名の機能性ディスペプシア患者と、8名の健常者

 

試験内容

PET検査を用いて脳内各領域におけるセロトニントランスポーターの結合能について、定量性解析を実施した。

 

結果

・中脳で、セロトニン輸送体がはたらきすぎているほど、消化器症状と腹痛が発生。

・視床でも、セロトニン輸送体がはたらきすぎているほど、消化器症状、腹痛、胃もたれが発生。

・海馬では、セロトニン輸送体の変調は見られなかったものの、腹痛と不安症状には関連性が見られた。

 

最後に

このように、機能性ディスペプシアの新たな治療方法として、抗うつ剤治療が有効となる可能性が大きいと考えられています。

今後のさらなる研究に期待が寄せられています。

(photoby:pixabay)

著者: カラダノート編集部

本記事は、2017-04-06掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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