カラダノートみんなの役立つ予防法や対処法
  1. カラダノートTOP >
  2. メンタル >
  3. 強迫性障害 >
  4. 漢方薬「抑肝散」は、メマリーを弱くした薬?グルタミン酸輸送体を活性化させ鎮静作用を発揮する

メンタル

漢方薬「抑肝散」は、メマリーを弱くした薬?グルタミン酸輸送体を活性化させ鎮静作用を発揮する

capsule-229306_640.jpg

抑肝散(よくかんさん)とは、7種類の生薬を配合した漢方薬で、元来小児用の鎮静剤として用いられてきたものですが、近年では認知症による妄想・徘徊(BPSD)の抑制薬としても有効性が高いとして処方されるようになっています。

 

これらの作用機序を西洋医学的な観点から分析したところ、興奮性の神経伝達物質である「グルタミン酸」を抑制する作用が認められ、認知症治療薬の「メマリー」と類似(効果の強さはメマリーよりもずっと弱い)であることが明らかにされています。

 

メマリーはグルタミン酸輸送体に異常がある疾患に有効性がありますが、一方で認知症以外の疾患への使用に関しては安全性のエビデンスが確立されておらず、またドパミン増加作用もあるため、興奮性の精神疾患に使用する場合は慎重になる必要があります。

 

しかし抑肝散の場合、効果が弱い分比較的容易に処方が出来、またセロトニン受容体1A活性(抗不安)作用と、2A低下(焦燥感の低下)作用があることから、双極性障害や強迫性障害などにも使用することができます。

 

抑肝散とは?

抑肝散には7種の生薬「白朮・茯苓・川弓・釣藤鈎・当帰・柴胡・甘草」が配合されています。適応がある証は「虚弱な体質で神経がたかぶるもの」とされています。

 

<作用機序は?>

■グルタミン酸神経系の興奮抑制作用(=グルタミン酸トランスポーターの活性化)

■セロトニン1A受容体への活性作用(=パーシャルアゴニスト)

■セロトニン2A受容体への受容体数減少作用(=ダウンレギュレーション)

■グルタミン酸興奮毒性(活性酸素発生)への神経保護作用(=ラジカルスカベンジャー産生)

 

<どの成分が、グルタミン酸毒性に効果発現している?>

ツムラ研究所によれば、以下の成分の有効性が認められています。

 

■甘草由来のイソリクイチゲニン

⇒NMDA受容体阻害作用(と、それによるカルシウムイオン大量流入が起こす細胞死の抑制)

 

■チョウトウコウ由来のガイソシジンメチルエーテル・ヒルステイン・ヒルスチン

⇒抗酸化作用(細胞死の抑制・グルタチオン減少抑制)

 

臨床試験の結果は?

■発達障害への抑肝散約6.5gの投与で、過敏・常道行動・多動が改善(PMID: 23194148)

【試験内容】

広汎性発達障害又は、アスペルガー障害と診断された40人(8~40歳)を対象に、抑肝散を12週間×2.5~7.5g(平均6.4g)/日投与する。

【被験者の症状】

・知能指数(IQ)スコアは約70~110点(境界~平均)

・CGI-Sスコア(総合的客観評価:攻撃性・自傷・常道行動・過敏性において)は、開始時平均約6.8点

・ABC-Jスコア(異常行動)は、開始時平均11~29点

 

【結果】

・CGI-Sは、1~2点(正常~境界)となった。

・ABC-Jは、0~5点(80%以上の改善)となった。

・抑肝散に、目立った副作用は無かった。

 

最後に

メマリーは、現在日本において認知症のBPSD症状を除いた精神障害に対しては(一般的には)使用されておらず、海外においても数少ない医師や個人がエビデンスが足りない中で試している段階であると言います。

 

抑肝散は、メマリーの数十分の一程度の効果と言われますが、目立った副作用無くグルタミン興奮毒性による精神症状をある程度改善させることが出来る点においては有用であると考えられています。

(参照ウェブサイト:ツムラ研究所PubMed

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-31掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


通報する

強迫性障害に関する記事

「自分は不完全」と思い込んでしまう…強迫性障害の中の一つである"確認障害"の奥にあるものとは?

  確認作業というものはとても大切です。家を出る前にガスの元栓をしめたか、窓の...

遺伝の可能性はゼロではない!強迫性障害が遺伝する可能性はどれくらい?

  うつや不安障害といった精神科分野の病気は、ストレスなどによってかかるものと...


気にしすぎて外出できない?確認障害の「確認」…エスカレートするとどうなるの?

  「鍵をかけたか何度も確認してしまう」「ストーブの火を消したか何度も確認して...

自閉症・強迫性障害の原因物質グルタミン酸を抑える効果~『メマリー』でOCD患者の半数が改善

自閉症や(難治性)強迫性障害(OCD)の原因となる物質のひとつとして、神経伝達...

カラダノートひろば

強迫性障害の関連カテゴリ

ブックマークは20件まで登録可能です
トップへ戻る