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デパケンの副作用、「ミトコンドリア障害」は「カルニチン」で抑制できる?

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抗てんかん薬の「デパケン」は、てんかん治療だけに限らず広範囲な精神疾患の治療(興奮性疾患の鎮静:双極性障害・強迫性障害など)に有用であり、またその他の利点として、他の抗てんかん薬(ラミクタール・トピナなど)と比べると比較的安全であること、長期服用で脳容積減少を抑える効果があること(MRI画像で確認されている)など、継続使用にメリットがある薬であると言えます。

しかし一方で、デメリットとして肝毒性やミトコンドリア障害(=2次性カルニチン欠乏症)のリスクがあり、この対策を行うことは肝要であると言えます。

近年ではミトコンドリア障害に「カルニチン製剤」が有効であるという報告がありますが、その効果はどれほどのものでしょうか?

 

デパケンはなぜL-カルニチン欠乏症を起こす?

<L-カルニチンとは?>

L-カルニチンとは、体内でアミノ酸から合成されるビタミン様物質で、その働きは主に「脂質をミトコンドリアに輸送して分解(β酸化)するための運搬体」です。

 

脂質はその長さによって大きく分けて3種類(長鎖・中鎖・短鎖)ありますが、最も長い長鎖脂肪酸だけが単独で細胞膜を通過してミトコンドリア内に入ることができず、「L-カルニチン(D-カルニチンではない)」と結合して初めて膜内へ通過することができます。

 

その後、長鎖脂肪酸はミトコンドリアで分解を受け、エネルギー(ATP)が生成され、様々な生命活動を行う原資となります。

 

<L-カルニチン欠乏症ではどうなる?>

デパケンはL-カルニチンと容易にくっ付きやすい(=親和性が高い)ため、そのまま腎排泄される結果、下記のような二次性L-カルニチン欠乏症を引き起こします。そこで、経口からの補充療法によって、欠乏症に起因する毒性症状を予防することが出来ます。

 

■二次性カルニチン欠乏症による症状

・「長鎖脂肪酸をミトコンドリア内(エネルギー産生に必要)・外(消費されない脂肪酸を排出)へ運搬できなくなる」

・「β酸化(エネルギーの90%を占める)が停滞する」

・「アンモニア代謝回路も停滞し高アンモニア血症となる(=脳・精神障害など)

・「ミトコンドリア内に脂肪酸が蓄積し、脂肪酸化(=毒性:肝・筋肉・心筋・神経などへ)をもたらす」

 

臨床試験の結果は?

■デパケンによる二次性カルニチン欠乏症を、L-カルニチンが抑制する(PMID: 8740302)

【試験内容】

48人のデパケン服用者(平均25.6mg/kg/日服用・約3割の患者にアンモニア血症とカルニチン濃度80%以下への低下)にカルニチン製剤(1g/平方メートル/日を2分割)を投与する。

 

【結果】 

・約21%の患者で、アンモニア濃度は約9日後に28.3%減少、約80日後に48%減少。

 

最後に

このように、カルニチンはデパケン服用による肝毒性やミトコンドリア障害の予防効果が期待できますが、その一方で最近の研究では「カルニチンが腸内細菌によって分解されることで、毒性物質(γブチロベタイ)が生じ、動脈硬化を促進する」という内容が報告されています。

 

デパケン服用者では通常よりもカルニチン濃度が低下しているため、基準内の血中濃度に補正する程度であればそれほど影響はないと考えられますが、念のため医師への確認は必要です。

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-01掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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