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新規の抗精神病薬「レキサルティ」は、既存のエビリファイとどう違う?

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エビリファイは国内で開発された非定型抗精神病薬ですが、2012年には米国で全医薬品売上No.1にランキングされたほど処方数の多い薬ですが、その理由には「適応範囲が広い」こと、また「副作用が少ない」ことがあげられます。

 

しかし、昨年度に特許が切れたことでジェネリック発売が間近となり、その後続薬として「レキサルティ」というエビリファイと構造的に非常に類似している新薬が発売となりました。

 

発売前臨床試験によれば、レキサルティの特徴は「さらに副作用が少ない(4%以下で傾眠・体重増加のみ)」「認知機能の改善作用がある」こととされています。

 

エビリファイ・レキサルティの属する「ドパミン部分作動薬(DPA)」とは?

エビリファイは双極性障害には「少量で賦活」「大量で鎮静」作用があると言われています。エビリファイは統合失調症のために開発された薬であるため、統合失調症に特徴的な「ドパミン抑制系が活性」「ドパミン興奮系が抑制」しているという逆転現象を、元に戻す役割があります。

 

ただ双極性障害の場合に少量投与すると「さらに賦活(不眠など)」してしまう可能性がありますが、大量投与ではセロトニン2A受容体遮断によって受容体数そのものが徐々に減り、ドパミンの賦活作用と釣り合いが取れて改善されると考えられています。

 

<DPAの作用>

■ドパミン受容体2(=D2)遮断

⇒陽性症状改善 

 

■セロトニン1A受容体(=5-HT1A)刺激

⇒抗不安 

 

■セロトニン2A受容体(=5-HT2A)遮断

⇒睡眠・鎮静 

 

臨床試験の結果は?

レキサルティ発売前臨床試験では、以下のような内容が報告されています。

 

■大うつ病へのレキサルティ2〜3mg×6ヶ月投与で、中等度から正常へ改善(大塚製薬)

 

<対象>

約4,300人の大うつ病の診断基準(DSM-IV-TR)を満たす、1〜3剤の8週間の抗うつ薬治療十分な改善がみられなかった患者

 

<試験内容>

6週間にわたり、レキサルティの投与を行った。試験の評価はMADRS(うつ病評価尺度)にて行った。

 

<結果>

・レキサルティ+抗うつ剤併用群では、MADRSの平均基準点27点から⇒2mg投与群:約8点、3mg投与群:約8点へ減少

 

・プラセボ+抗うつ剤併用群では、MADRSの平均基準点27点から⇒2mg投与群:約5点減少、3mg投与群:約6点へ減少

(※スコアの評価は、軽症うつ病:12〜21点、中等症:22〜30点、重症:30点以上)

 

・副作用による試験の中止率は、レキサルティ+抗うつ剤群では、全体の3%(うち発症率:アカシジア9%・体重増加7%)

 

・プラセボ+抗うつ剤併用群は、全体の1%((うち発症率:アカシジア2%・体重増加2%)

となった。

 

レキサルティは、現時点では統合失調症と大うつ病のみに適応は限られていますが、エビリファイのように双極性障害にも適応拡大される可能性があります。今後の動向に期待したいところです。

 

 

抗精神病薬『ルーラン』は、穏やかな作用で躁うつ/不安/強迫症状を改善する?

抑うつと躁状態を繰り返す双極性障害の治療薬には、主に「気分安定薬」「非定型抗精神病薬」が用いられますが、非定型抗精神病薬の中でも最も副作用が少なく、穏やかな作用をする薬として「ルーラン」があります。

 

エビデンスは少ないものの、臨床では高評価

ルーランは、脳内ドパミン受容体の遮断による「興奮や幻覚など陽性症状の抑制」と、セロトニン受容体の遮断作用による「無為、自閉、感情平板化など陰性症状の改善」が認められています。

 

ただ、ルーランは国内で開発された薬でありアメリカでは現時点では使用されていないことからエビデンスに乏しく、あまり処方を好まない医師も多くいるようです。

 

しかしながら、統合失調症の改善だけでなく双極性障害や強迫性障害などにも広く有効性があり、また少量で使用し副作用が少ないことからも、優れた薬であるという評価は多く見られます。

 

ルーランは、維持療法に適している?

2004年Medical Tribuneウェブサイトに掲載された北海道大学大学院医学研究科講師の久住一郎氏の記事によれば、統合失調症の治療薬の使い分けについて次のように述べられています。

 

「リスパダールは陽性症状が強い急性期や再燃を頻回に繰り返す症例で最適であり、ルーランは安定期の維持療法に最適である」

 

「リスパダール」と「ルーラン」のドーパミン受容体親和性の比較

<リスパダール>

D2受容体を「強力にかつ持続的に」遮断する。

 

<ルーラン>

「間欠的に」D2受容体を遮断する。 

 

非定型坑精神病薬の中における、ルーランの「位置づけ」

また他の精神科医の先生(文末に参照元を記載)による見解では、「統合失調症でない症例でも、治療の後半にはルーランを用いることで寛解に至ったというケースが多い」とされていることからも、維持療法に適していることが分かります。

 

■ルーランの用途

気分の安定/衝動性の抑制/抗不安作用/多少の抗うつ作用/強迫的観念の治療に用いる。

 

■不安・神経症に有効

ルーランの活性代謝産物ID-15036は、強いセロトニン受容体結合能がある(不安・神経症に有効)。

 

■病状の「質的」な改善度の順位(他剤との比較)

ジプレキサ>>ルーラン>セロクエル>>>リスパダール

 

■質的な改善度を示すエピソード

統合失調症ではなく、完全に治癒した患者の方は、ルーランを経由している場合が多い(特に治療の終盤はルーランで治療されているケースが多い)。

 

⇒リスパダールは「強い賦活作用と鎮静作用があるが、症状を根本への改善しない」という見解もあるようです。

 

エビリファイ・セロクエルとの効果の比較

またさらに、ルーランと「エビリファイ/セロクエル」の2剤との性質の比較については、以下と述べられています。

 

■抗不安・抗強迫

ルーラン>エビリファイ(エビリファイは、単剤処方では次第に強迫が悪化するケースがある。)

 

■抗うつ効果

エビリファイ>ルーラン

 

■安定性

ルーラン>セロクエル

 

このように、ルーランは非定型坑精神病薬の中でも、「維持療法に適した穏やかな作用の薬」であり「質的な改善度や坑不安効果も高い」ということが分かりました。 

 

副作用に関しても、高プロラクチン血症のリスクが少なく、肥満などの有害事象に結びつきにくいとされていることからも、優れた薬であると考えられそうですね。

 

デパケンの副作用、「ミトコンドリア障害」は「カルニチン」で抑制できる?

抗てんかん薬の「デパケン」は、てんかん治療だけに限らず広範囲な精神疾患の治療(興奮性疾患の鎮静:双極性障害・強迫性障害など)に有用であり、またその他の利点として、他の抗てんかん薬(ラミクタール・トピナなど)と比べると比較的安全であること、長期服用で脳容積減少を抑える効果があること(MRI画像で確認されている)など、継続使用にメリットがある薬であると言えます。

 

しかし一方で、デメリットとして肝毒性やミトコンドリア障害(=2次性カルニチン欠乏症)のリスクがあり、この対策を行うことは肝要であると言えます。

 

近年ではミトコンドリア障害に「カルニチン製剤」が有効であるという報告がありますが、その効果はどれほどのものでしょうか?

 

デパケンはなぜL-カルニチン欠乏症を起こす?

<L-カルニチンとは?>

L-カルニチンとは、体内でアミノ酸から合成されるビタミン様物質で、その働きは主に「脂質をミトコンドリアに輸送して分解(β酸化)するための運搬体」です。

 

脂質はその長さによって大きく分けて3種類(長鎖・中鎖・短鎖)ありますが、最も長い長鎖脂肪酸だけが単独で細胞膜を通過してミトコンドリア内に入ることができず、「L-カルニチン(D-カルニチンではない)」と結合して初めて膜内へ通過することができます。

 

その後、長鎖脂肪酸はミトコンドリアで分解を受け、エネルギー(ATP)が生成され、様々な生命活動を行う原資となります。

 

<L-カルニチン欠乏症ではどうなる?>

デパケンはL-カルニチンと容易にくっ付きやすい(=親和性が高い)ため、そのまま腎排泄される結果、下記のような二次性L-カルニチン欠乏症を引き起こします。そこで、経口からの補充療法によって、欠乏症に起因する毒性症状を予防することが出来ます。

 

■二次性カルニチン欠乏症による症状

・「長鎖脂肪酸をミトコンドリア内(エネルギー産生に必要)・外(消費されない脂肪酸を排出)へ運搬できなくなる」

 

・「β酸化(エネルギーの90%を占める)が停滞する」

・「アンモニア代謝回路も停滞し高アンモニア血症となる(=脳・精神障害など)

・「ミトコンドリア内に脂肪酸が蓄積し、脂肪酸化(=毒性:肝・筋肉・心筋・神経などへ)をもたらす」

 

臨床試験の結果は?

■デパケンによる二次性カルニチン欠乏症を、L-カルニチンが抑制する(PMID: 8740302)

<試験内容>

48人のデパケン服用者(平均25.6mg/kg/日服用・約3割の患者にアンモニア血症とカルニチン濃度80%以下への低下)にカルニチン製剤(1g/平方メートル/日を2分割)を投与する。

 

<結果>

・約21%の患者で、アンモニア濃度は約9日後に28.3%減少、約80日後に48%減少。

 

このように、カルニチンはデパケン服用による肝毒性やミトコンドリア障害の予防効果が期待できますが、その一方で最近の研究では「カルニチンが腸内細菌によって分解されることで、毒性物質(γブチロベタイ)が生じ、動脈硬化を促進する」という内容が報告されています。

 

デパケン服用者では通常よりもカルニチン濃度が低下しているため、基準内の血中濃度に補正する程度であればそれほど影響はないと考えられますが、念のため医師への確認は必要です。

 

 

神経保護作用があるという「EPA」、精神疾患・認知症への投与で「脳容積増加」効果も

近年、精神疾患全般において多価不脂肪酸の「EPA(エイコサペンタエン酸)」が有効に働くのではないかと言う研究結果が数多く報告されています。

 

EPAを長期的に投与した臨床試験では、「うつ・双極性障害・不安障害・統合失調症・認知症」などに対して改善や進行の予防に繋がるという結果が報告されており、また併用療法として使用した際の目だった副作用もないため(但し、出血傾向のある場合は禁忌)、その効果に期待がもたれています。

 

精神疾患になぜ多価不飽和脂肪酸が有効?

精神疾患・認知症に有効とされる多価不飽和脂肪酸はω3不飽和脂肪酸(リノレン酸・DHA・EPA)であり、精神科医の方のウェブサイトによれば主に以下のような作用を発揮すると述べられています。

 

■神経保護作用

(脳虚血・カイニン酸による神経毒性から神経を保護する)

⇒神経の膜電位を負に保つ(刺激を痛覚として伝えるTREK-1・TRAAKの調節)ことによるとされています。

 

■炎症抑制と抗アポトーシス作用

(ミクログリアの炎症性反応を抑制、サイトカインの減少:IL-6・IL-1α・IL-β・TNF-α)

 

<臨床試験結果の報告は?>

■EPA摂取量と脳の容積は相関があるという臨床試験(PMID: 17574755)

(要約)

MRI検査において、健常な成人のEPA摂取量は、大脳辺縁系(前帯状皮質・右海馬・右扁桃体)の容積と正の相関を示していた。

⇒記憶、覚醒、気分や感情の調整などに関連している。

 

■オメガ3脂肪酸摂取量は高齢者の認知機能向上と相関があるという臨床試験(DOI 10.1007/s11357-012-9453-3)

(要約)

高齢者におけるω-3 PUFAの摂取量は、脳の灰白質の容積と認知機能に相関していた。 

 

■EPA摂取量と躁病重症度は相関があるという臨床試験(Bipolar Disorders誌2015年11月号)

(要約)

双極性障害とEPA摂取量は相関していた(躁病重症度、自殺傾向、パニック障害などと正の関連性が見られた)

 

その他、「ハイリスクの統合失調症への発症予防の可能性」「急性神経変性状態への有効性」「胎児のDHA不足が脳の発育阻害や精神疾患に繋がる」などの報告もあります。

 

高脂血症を合併する場合、「EPA製剤」を利用する方法もある?

精神科系の疾患においてEPA製剤(エパデール)処方の適応はありませんが、高脂血症を合併している場合、処方の対象となる場合があります。EPA製剤は保険適応の場合、サプリメントよりも安価で購入することが出来るため継続利用しやすいといえます。用量は「300/600/900mg」の3種類があります(目安として、食品由来のオメガ3不飽和脂肪酸含有量は、サバ水煮缶で約4,300mg含まれています)。

 

■エパデールS(イコサペント酸エチル:EPA)

(成分)

オメガ-3-トリグリセリドの一種で、魚の油から生成したもの

(適応)

高脂血症、閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍・疼痛・冷感の改善

(1日分の薬価(3割負担額))

 

・300mg/15〜41円

・600mg/29〜78円

・900mg/42〜114円

 

(服用してはいけない場合は?)

出血・本剤へのアレルギーの前歴がある

 

(慎重に服用すべき場合は?)

出血の危険性が高い人(月経期間中・出血傾向・外傷・手術の予定など)/抗凝固薬・抗血小板薬の服用中

 

(リスクのある重大な副作用)

肝機能障害(0.1〜5%未満)

 

このように長期的なオメガ3不飽和脂肪酸の摂取は、「神経興奮による脳傷害の保護効果」と「脳容積の増加」に繋がる可能性がある、ということが分かりました。

 

ただ、オメガ3不飽和脂肪酸は不安定で酸化しやすいという側面も持っており、海外研究では摂取過剰で大腸がんのリスクを増加させるという報告もあることから、現段階では適切な摂取量に留めておきたいところですね。

 

 

双極性障害のストレスへの脆弱性は、キンドリング現象が関連する?抗てんかん薬の有効性とは?!

双極性障害とてんかんは、近年の研究でその発症原因に多くの共通点が見られるという指摘があります(イオンチャンネルの機能に異常が見られるなど)。

 

中でもてんかん症状のひとつである、キンドリング現象という脳神経細胞の過興奮が持続することで、発火点の閾値が下がる(=弱い刺激でも発火してしまう)という現象は、双極性障害のストレスへの脆弱性の機序を説明するひとつの手がかりになる(※)と考えられています。

 

(※持続的なストレス環境下で無治療のまま暴露されると、徐々に発火点(閾値)が下がり、ストレスへの感

受性が高まることで、症状の慢性化や治療抵抗性への移行が起こる。)

 

このキンドリング状態を改善する治療薬の候補として、抗てんかん薬の「デパケンR・ラミクタール・テグレトール」が特に有効であるという海外研究の報告があります。

 

慢性的なストレス環境が、キンドリング、神経の易興奮、鎮静系神経の脱落を誘発

ラットの複数回の扁桃核電気刺激による実験が行われたところ、双極性障害の類似症状と見られる、1)キンドリング発生、2)ステロイド増加(=運動知覚領域の興奮促進・BDNF抑制)、3)海馬の鎮静系神経細胞の脱落、4)ドパミン増加(=脱感作を招き、躁からうつへと転じる)などが生じることが確認されています。

 

■慢性的ストレス環境が、キンドリング現象と扁桃体のステロイド(神経興奮性物質)増加を誘発した(PubMed ID: 22749310 )

「副腎皮質ステロイド量が実験前の約5倍に増加/少ない刺激によるキンドリング現象発生/発作持続の延長」が生じた。

 

■キンドリング刺激で、海馬のGABAニューロンの脱落が生じた(福井医科大学一般教育紀要 第14号:1994年)

「海馬歯状回門のニューロンが特に減少した」。

 

■キンドリング刺激で、ドパミンの増加(=脱感作の誘発)が見られた(KAKEN/研究課題番号:05610061)

「DOPAC(海馬ドパミンの代謝物)が刺激前と比べ2〜8倍に増加した」。

 

抗てんかん薬が「キンドリング状態」を改善させる?

また、抗てんかん薬の使用により、ラットのキンドリング状態の改善が認められています。

 

■キンドリング状態で海馬の炎症物質増加となったラットが、トピナ投与で改善した(PMID: 24348794)

トピナ投与で、キンドリング発作と海馬「IL-6 mRNA」発現量が低下した。

 

■躁状態のキドリングラットへのデパケン投与で、症状が改善した(PMID: 26092394 )

リーマスまたはデパケン投与で、キンドリング行動の大幅な減少と、躁状態の改善が見られた。

 

まとめ

双極性障害は、遺伝子的な素因がベースとなって発症する疾患ですが、慢性的なストレスがきっかけとなって悪化する機序(のひとつ)は、以下が想定されます。

 

副腎皮質ステロイドの増加

↓ 

知覚神経の易興奮

扁桃核の慢性刺激

キンドリング発生

ドパミンの増加とGABA神経の脱落

脱感作の誘発とモノアミン分泌の乱高下 

 

抗てんかん薬は、キンドリング発作を抑制することで、これらの機序による双極性障害にともなうストレス脆弱性を改善できる可能性があると考えられています。 

 

(photoby:pixabay

著者: カラダノート編集部

本記事は、2017-04-07掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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