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脊椎損傷は「デパケン+神経幹細胞」で再生できる?注目の再生医療は「HDAC」がカギ

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近年、従来薬では治療不可能とされていた自己免疫疾患や脊髄損傷など難治性疾患を治癒する試みが行われています。そのひとつの候補薬として「ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤」というものが非常に注目を集めています。

 

ヒストンのアセチル化とは、DNAのなかでも休眠状態にある遺伝子発現をONの状態にして、様々なタンパク質合成(例として栄養因子など)を促進させるというものです。

 

このアセチル化を行う代表的な薬「トリコスタチン(抗菌剤)」は、がん抑制遺伝子であるp53を活性化して抗腫瘍能を高める効果が既に認められています。

 

さらに、抗てんかん薬である「デパケン」もまた、奈良先端科学技術大学院大学の報告によれば、神経幹細胞との同時投与で、脊椎損傷による空洞化部分に神経伸張が認められたと述べられています。

 

ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)とは?

 

ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤とはつまり、ヒストンアセチル化(DNAが糸の様に巻きつく芯部分のヒストンにアセチル基が修飾する)を促進させるもので、これによって遺伝子発現を促進すると考えられています。

 

反対に、ヒストンが脱アセチル化(低アセチル化)されることで遺伝子発現は抑制されると考えられています。

 

<アセチル化することで、どのような効果を得られる?>

■p53のアセチル化

抗がん能を高める(増殖抑制遺伝子/アポトーシス関連遺伝子の発現誘導:トリコスタチンによる)

 

■Fpxp3のアセチル化

自己免疫疾患を抑える(制御性T細胞の分化誘導:酪酸(ミヤBM錠)による)

などの効果が挙げられます。

 

デパケンと神経幹細胞を併せた再生療法「HNT法」とは?

 

奈良先端科学技術大学院大学では、マウス実験において神経幹細胞とHDAC阻害剤である抗てんかん薬のデパケンを併用(HINT法)によって、神経細胞の成熟化と伸張を行うことに成功した(重度脊髄損傷マウスが歩行可能になった)と報告されています。

 

<どのような機序で脊椎損傷が治癒された?>

 

脊髄が損傷すると、グリア細胞凝集による「グリア性瘢痕」が生じることで、再生軸索に対する物理的障壁となり再生を阻害していると考えられていました。

 

しかし、今回の実験でマウスへのデパケン投与により、ヒストンアセチル化が促進されグリア細胞分化の抑制と、反対にニューロン分化の促進が認められたことで脊椎再生に繋がった、と述べられています。

 

実験について

■脊椎損傷マウスの再生が確認された(奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科)

【対象】

重度の脊髄損傷モデルマウスに神経幹細胞移植とデパケン投与を行った。

 

【結果】

・無治療群はほとんど歩行できなかったのに対し、投薬群は約70%が歩行できるまで回復した。

・デパケン非投与時には1%以下しかみられない移植神経幹細胞由来ニューロンが、デパケン投与により約20%程度まで増加していた。

・移植細胞由来ニューロンが、脊髄損傷部の神経回路を繋いでいることが画像によって確認された。

 

最後に

 

現在米国のラッシュ大学では、脊椎損傷を負った方を対象とした神経幹細胞(AST-OPC)の移植治療が行われています。今後、これらの治療法が確立され、広く多くの方の治療法となることが待ち望まれています。

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-31掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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