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妊娠・出産

自己免疫疾患の場合、妊娠中・出産後のステロイド投与量はどうするべき?~免疫抑制とリバウンド

妊娠中は、いつもより体調を崩しやすいと言われています。それは母体の免疫が抑制され抵抗力が低下しているのが大きな原因のひとつ。そのため、自己免疫疾患を罹患している方が妊娠した場合は、免疫が抑制されることで妊娠中は自己免疫疾患の症状がおさまるケースも。
ただし、出産後に免疫抑制状態が解除されるため、自己免疫疾患のリバウンド(抗体価の増加)が起こり、妊娠前よりも悪化する可能性があることが示唆されています。今回は、自己免疫疾患の方が妊娠・出産した時のリスクについて紹介します。

 

妊娠中・出産後の母体の免疫機構は大きく異なる!

妊娠中は、お腹に赤ちゃんがいることで、通常の免疫状態とは異なった免疫抑制状態になることが知られています。
免疫が抑制されるため、母体自身は体調を崩しやすくなってしまうのですが、抑制されることで胎児は免疫細胞の攻撃から免れることが出来るのです。そして、出産が終わると免疫抑制状態は急速に消失します。

 

妊娠中の「免疫抑制状態」とは?

そもそも、免疫が抑制されるというのはどういった状態なのでしょうか。免疫力が低くて病気にかかりやすくなる、という風なイメージを持っていらっしゃる方も多いかと思いますが、ここではもう少し詳しくみていきましょう。

 

1.「遮断抗体」が産生される

遮断抗体とは、母体の夫系抗原に対する免疫反応を抑制する抗体のことをいいます。母体内の異物である胎児への攻撃を避けるために、胎児の抗原基を覆い隠すように結合する、とされています。

 

2.胎盤が免疫攻撃の障壁となる

母体と胎児の間には胎盤があり、これが免疫細胞による攻撃を防ぐ物理的な障壁になると考えられています。

 

つまり、胎児や夫の抗原など、妊娠中は通常時の自分の身体の中に存在しないものを自分の体内に一時的に存在させるため、免疫反応を抑制し、胎盤といった物理的な壁まで生成して胎児を守っているのです。

自己免疫疾患の方の出産後に起こる「反跳現象」

大阪大学の研究で、自己免疫疾患の方やその因子を持った方の場合は、妊娠中の免疫抑制状態が、出産によって急速に消失することで、出産後に反跳現象(抗体価のリバウンド)が起こり、免疫亢進してしまうことが明らかにされています。

 

分娩後数ヶ月で抗体が急上昇する

同大学の研究によると、例として甲状腺機能亢進症の既往歴を持つ患者の場合、甲状腺ペルオキシターゼ(甲状腺ホルモンの合成を行う)に対する抗体(抗TPO抗体)が分娩後3~6ヵ月後に急上昇する(反跳現象)ことがわかりました。

 

自己免疫因子を持つ場合、発症・憎悪のリスクがある

また自己免疫疾患の素因を持っている場合も、出産後に発症・憎悪する確率が高いことが示されています。例として関節リウマチ因子を保持しているケースでは、陽性の約62%が出産後関節痛を発生、25%で関節リウマチを発生したようです。

 

妊娠中・出産後の少量ステロイド使用の有効性と胎児への影響は?

また、同大学の研究によって、出産後の自己免疫疾患の発症・増悪の予防方法に関しては、出産直後からの「短期少量ステロイド治療」で甲状腺機能低下症の発症予防が可能である、と述べられています。このことから他の自己免疫疾患に関しても、同様の方法で症状抑制できる可能性があると考えられているのです。

 

そして出産直後だけでなく、妊娠中に免疫抑制状態であるにもかかわらず自己免疫疾患が抑えきれないという場合には、ステロイド剤の少量服用が推奨されています。

 

1.ステロイドのリスク評価は「C」

ステロイドのアメリカFDA(食品医薬品局)のリスク基準は「C」に分類されていますが、日本リウマチ財団のウェブサイトによれば「プレドニンは胎盤で分解されるため、少量ならば比較的安全」とされているため妊娠中にも使用可能です。全身性ステロイド薬別にリスク評価は以下になります。

 

全身性ステロイド薬のリスク評価
プレドニソロン(プレドニン):C
デキサメタゾン(デカドロン):C
ベタメタゾン(リンデロン) :C
ハイドロコーチゾン(ソル・コーテフ、サクシゾン):C
コーチゾン(コートン)   :D

 

5段階の基準の意味
A:ヒト対照試験で、危険性がみいだされない
B:人での危険性の証拠はない
C:危険性を否定することができない
D:危険性を示す確かな証拠がある
×:禁忌とされている
※薬剤のほとんどは「カテゴリC」に分類されています。この意味は、「ヒトでは有害性の報告がないが、動物生殖試験での胎児への有害作用は証明されている」、または「薬剤の利益が胎児への危険性を上回っている」とされています。

 

2.免疫抑制剤のリスク評価はすべて「禁忌」

ステロイドではなく、免疫抑制剤は使用できないのでしょうか。リスク評価によるとネオーラル/タクロリムス/プログラフなどの免疫抑制剤はすべて、妊娠中は「禁忌」とされています。そのため、妊娠中は使用することができません。

不安が払拭できる病院選びを

数名の医師の見解では、妊娠中の50mg程度の少量のステロイド剤使用であれば、ほとんど胎児への影響は見られず、現在まで催奇形性の症例も見られなかった、とされています。ただ、それでもやはり不安が残るという場合は、十分に時間を取って詳細の説明をして頂ける病院を選ぶことが重要といえるでしょう。

 

自己免疫疾患を罹患している妊婦にとっては、過去の症例を聞かせてもらったり、細かなステロイド量を調整して頂けることが、安心した出産を行うために必要なのかもしれません。

 

(参照ウェブサイト:KAKEN
(Photo by:http://www.photo-ac.com/ )

著者: カラダノート編集部

本記事は、2017-07-31掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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