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妊娠・出産

自己免疫疾患の場合、妊娠中・出産後のステロイド投与量はどうするべき?~免疫抑制とリバウンド

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妊娠中は、お腹に赤ちゃん(胎児)がいることで、通常の免疫状態とは異なって免疫抑制状態になることが知られています。
この機構により、胎児が免疫細胞の攻撃から免れることが出来るのですが、その一方で自己免疫疾患を罹患している場合、出産後に免疫抑制状態が解除されるため、ステロイド剤など免疫抑制の手段を何も行わない場合「自己免疫疾患のリバウンド(抗体価の増加)」が起こり、妊娠前よりも悪化する可能性があることが示唆されています。

妊娠中・出産後の母体の免疫機構は大きく異なる!

大阪大学の研究では、妊娠中は一時的に免疫抑制状態となっていますが、出産によりこの状態が急速に消失し、出産後その反跳現象(抗体価のリバウンド)で免疫亢進が起こることが明らかにされています。

<妊娠中の「免疫抑制状態」とは?>

■「遮断抗体」が産生される

遮断抗体とは、母体の夫系抗原に対する免疫反応を抑制する抗体のことをいいます。母体内の異物である胎児への攻撃を避けるために、胎児の抗原基を覆い隠すように結合する、とされています。

■胎盤が免疫攻撃の障壁となる

母体と胎児の間には胎盤があり、これが免疫細胞による攻撃を防ぐ物理的な障壁になると考えられています。

<出産後の「反跳現象」とは?>

■分娩後数ヶ月で抗体が急上昇する

同大学の研究では、例として甲状腺機能亢進症の既往歴を持つ患者の場合、甲状腺ペルオキシターゼ(甲状腺ホルモンの合成を行う)に対する抗体(抗TPO抗体)が分娩後3~6ヵ月後に急上昇する(反跳現象)ことが明らかにされています。

■自己免疫因子を持つ場合、発症・憎悪のリスクがある

自己免疫疾患の素因を持っている場合、出産後に発症・憎悪する確率が高いことが示されており、その例として関節リウマチ因子を保持している場合、陽性の約62%が出産後関節痛を発生、25%で関節リウマチを発生したことが報告されています。

妊娠中・出産後の少量ステロイド使用の有効性と胎児への影響は?

また、同大学の研究によると、出産後自己免疫疾患の発症・増悪の予防方法に関しては、出産直後より短期少量ステロイド治療で甲状腺機能低下症の発症予防が可能となったと述べられていることから、他の自己免疫疾患に関しても同様の方法で症状抑制できる可能性があると考えられます。
ただ、出産直後だけでなく、妊娠中に免疫抑制状態にあっても、自己免疫疾患が抑えきれないという場合にはステロイド剤少量の服用が推奨されています(妊娠中の免疫抑制剤の使用は「胎児毒性」があり禁忌とされています)。

<ステロイドのリスク評価は「C」>

ステロイドのアメリカFDA(食品医薬品局)のリスク基準は「C」に分類されていますが、日本リウマチ財団のウェブサイトによれば「プレドニンは胎盤で分解されるため、少量ならば比較的安全」とされています。
(※薬剤のほとんどは「カテゴリC」に分類されています。この意味は、「ヒトでは有害性の報告がないが、動物生殖試験での胎児への有害作用は証明されている」、または「薬剤の利益が胎児への危険性を上回っている」とされています。)

<5段階の基準の意味>

■カテゴリーA(ヒト対照試験で、危険性がみいだされない)
■カテゴリーB(人での危険性の証拠はない)
■カテゴリーC(危険性を否定することができない)
■カテゴリーD(危険性を示す確かな証拠がある)

<全身性ステロイド薬のリスク評価>

□プレドニソロン(プレドニン):C
□デキサメタゾン(デカドロン):C
□ベタメタゾン(リンデロン):C
□ハイドロコーチゾン(ソル・コーテフ、サクシゾン):C
□コーチゾン(コートン):D

<免疫抑制剤のリスク評価>

□ネオーラル/タクロリムス/プログラフなどすべて妊娠中は「禁忌」。

最後に

数名の医師の見解では、妊娠中の50mg程度の少量のステロイド剤使用であれば、ほとんど胎児への影響は見られず現在まで催奇形性の症例も見られなかった、とされています。

ただ、それでもやはり不安が残るという場合、十分に時間を取って詳細な説明をして頂ける病院を選ぶことが必要となるかもしれません。

特に、過去の症例を伺えたり、細かなステロイド量を調整して頂けることが安心した出産を行うために必要ではないかと思います。
(参照ウェブサイト:KAKEN
(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-31掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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