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ガン・悪性腫瘍

プラチナ製剤の効果増強・副作用の軽減が期待できる「抗がん薬内包高分子ミセル」とは?

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近年、抗がん剤の強化増強や副作用軽減化のために盛んに研究が進められているもののひとつとして「高分子ミセル化」というドラッグデリバリーシステムがあります。
 
高分子ミセル化とは、抗がん剤を数nmの極小ミセルの中に閉じ込めて、サイズ調整(がん細胞周辺の毛細血管は隙間が大きく開いておりそのサイズに合うように)をしたもので、正常細胞への副作用を少なく、がん細胞には長期間留まるように設計されたものです。
 
この治療法はまだ臨床試験段階ですが、近い将来プラチナ製剤を使用した難治性の肝臓がん・膵臓がんなどの治療に大きな成果をもたらすと期待されています。
 

プラチナ製剤はがん細胞へわずか10%しか移行しない?

白金製剤(プラチナ製剤)の副作用で報告されているものは、腎臓(と肝臓・脾臓)障害で、プラチナ製剤を投与した際のがん細胞と正常な臓器への移行比率は以下とされています。
 
■がん細胞への移行率:わずか1~10%
■それ以外への移行率:肝臓・腎臓・脾臓に残りの大半が移行する
 
このようにフリーの状態のプラチナ製剤は正常細胞にも毒性があるため、特に腎毒性に関しては、この予防として入院しながら水約3リットル/日を摂取することが必要(=QOLを下げてしまう)になるといいます。
 
しかし、下記のような高分子ミセル化製剤を使用すればではこのような水の摂取や入院も必要が無くなると考えられています。
 

「抗がん薬内包高分子ミセル」とは?

高分子ミセル化された抗がん剤は、親水性の「ポリエチレングリコール」と疎水性の「ポリアミノ酸」からなるひも状の分子が、抗がん薬を内部に閉じ込めながら円形に凝集して、ナノサイズの微粒子を形成したもののことをいいます。
 
分子量は数百万相当となり、水中では直径が20~100nmの球形の凝集体になり、これががん細胞に滞留できる性質があるとされています。
 

<なぜ副作用が起きず、がん細胞には長時間滞留できるのか?>

高分子ミセルは、脂溶性であるため細胞内に移行しやすく、またがん細胞は周囲の毛細血管に多くの隙間を持っているという特性があるため、このサイズに調整された分子量である高分子ミセルが侵入することができます。
 
一方で、正常細胞の毛細血管は正常であるため影響を及ぼさないと考えられています。
 

臨床試験では、副作用軽減・生存率上昇が確認された

東京大学で行われた臨床試験では、膵臓がん患者に対するミセル化プラチナ製剤の使用は、通常の治療法では生存期間が約3カ月であったのに対し、ミセル投与群では1年以上の生存期間の延長が見られたと報告されています。
 
またマウス実験の詳細については以下と報告されています。
 
■マウスへのミセル化プラチナ製剤投与で、生存率・副作用が改善されたという臨床試験(東京大学)
 

【実験結果】

・通常のプラチナ製剤では抑制が見られなかった肝臓・小腸への転移やがん性腹水を完全に抑制した。
・通常のプラチナ製剤では、マウスの治療70日後生存率は20%以下であった。
・抗がん剤内包ミセルでは、マウスの治療70日後生存率は100%であった。
 

最後に

これらのミセル化されたプラチナ製剤であれば、乳化製剤に混濁することが出来、「イントラリピッド」などの乳化製剤とミセル化プラチナ製剤を併用することで、さらなる副作用の軽減化が期待されています。
(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-31掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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