妊娠・出産
へその緒が赤ちゃんよりも先に出てきちゃった!出産時のトラブル「臍帯脱出」
出産時に起こるトラブルのひとつに、「臍帯脱出(さいたいだっしゅつ)」があります。臍帯脱出は、産婦人科を舞台にした医療ドラマ「コウノドリ」でも出てきました。
臍帯脱出は、妊娠経過が順調な妊婦さんでも起こりうる出産時のトラブル。赤ちゃんの命の危険を与える可能性もあります。
では臍帯とは、へその緒を指しますが、へその緒が脱出してしまうというのは、どんな状態のことなのでしょうか。
今回は、出産時のトラブル「臍帯脱出」の症状・検査・赤ちゃんへの影響についてまとめました。いざという時のためにしっかりと知識をつけておきましょう。
臍帯脱出とは?
臍帯(へその緒)は、母体と赤ちゃんをついないでいるものです。へその緒から胎盤に栄養や酸素を送る機能をになっており、赤ちゃんの成長を促しています。
臍帯脱出というのは、このへその緒が赤ちゃんの体よりも先に出てきてしまう症状。本来の出産では、赤ちゃんは頭から出てきて、そのあとにへその緒とへその緒に繋がっている胎盤がでてきます。
この臍帯脱出により、へその緒が先に出てきてしまう状態になると、へその緒が圧迫されてしまいます。そのため、赤ちゃんに十分な栄養を届けることができなくなり、新生児仮死の原因なるのです。
この臍帯脱出は、全体の0.1%程の頻度で起こるものとされています。
臍帯脱出はどうやって見つけられる?
臍帯脱出が起こっていてもママに自覚症状はありません。妊婦検診において「赤ちゃんの心拍が極端に少なくなった」という場合に、臍帯脱出の症状を疑われます。
また内診をする時に、臍帯が膣の外に降りてきている状態が目視できれば、臍帯脱出と診断されるのです。
臨月の際は、検診が1週間ごとになり、体が重たい中で通院するのも大変です。しかし出産時のリスク、自覚症状がないことを考え必ず赤ちゃんとママの状態を見てもらうようにしましょう。
赤ちゃんへの影響が大きい
臍帯脱出が起こると、赤ちゃんにとても大きな影響を与えてしまうことがあります。
臍帯脱出により、へその緒が圧迫されてしまうと赤ちゃんに酸素を送ることができなくなってしまいます。すると赤ちゃんは循環器がうまく働かず、呼吸が上手にできない状態に。これを胎児機能不全といいます。
胎児機能不全の状態が続いてしまうと、酸素不足になり、心拍が低下。そのため、重度の後遺症や最悪の場合になると、死亡につながることがあるのです。
臍帯脱出のときの対処法
臍帯脱出と早期で診断された場合には、赤ちゃんへの影響が少ないように、帝王切開での出産になります。
ただし、臍帯脱出の診断を受けた場合でも通常の分娩が可能と判断された場合は、鉗子(かんし)分娩または吸引分娩で赤ちゃんを取り出します。
鉗子(かんし)分娩とは、鉗子という大きなピンセットのような器具を使う分娩方法です。子宮口が最大になってから、 赤ちゃんの頭部を鉗子ではさみ、引っ張って出産させる方法。
また赤ちゃんの頭部に吸引カップを吸着させて、引っ張る方法は吸引分娩といいます。出産時の状態により先生の判断で分娩方法はことなってきますが、さらに緊急を要する時には、帝王切開に切り替え、赤ちゃんを迅速に救い出します。
健康でも起こる可能性のあるトラブル
母体や赤ちゃんがそれまで健康でも、出産のときになってトラブルが起こることもあります。臍帯脱出は、その典型的なトラブルの一つです。
いざという時には、トラブルをしっかり考える余裕はないでしょう。しかし、知識をつけておくだけでも冷静に状況を受け入れることができるかもしれません。
臍帯脱出は、ママには自覚症状がないため検診にはしっかり足を運び、赤ちゃんの状態を診てもらうことが重要。検診は、なによりも赤ちゃんの命を救うための大切な時間になるので、必ず受診しましょう。
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著者: カラダノート編集部