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消化管バリア機能の低下は「炎症性腸疾患」の発症につながる?「乳酸菌とケルセチン」の有効性

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クローン病や潰瘍性腸症候群などの炎症性腸疾患(自己免疫疾患)の発症原因のひとつとして、「腸上皮細胞のタイトジャンクション(細胞間の結びつきを強固にする物質)の損傷」が挙げられています。
 
タイトジャンクションとは腸上皮細胞の隙間を接着して、外来異物の侵入を防ぐ(=炎症を防ぐ)ために必要な物質ですが、同疾患では、これらの組織が減少していることも明らかにされています。近年の広島大学の研究では、これを修復・改善させる物質の候補として「乳酸菌・ケルセチン」が有望であるとしています。
 

乳酸菌によるバリア保護効果とは?

炎症性腸疾患では炎症性サイトカイン(TNF-α)が異常発現していることが明らかになっており、これらは消化管上皮細胞に作用し、タイトジャンクションのバリア機能に損傷を与えることが報告されています。
 
そして、従来から乳酸菌類がバリア機能を改善することはよく知られていましたが、どのような物質によってそれが生じるのかは不明のままでした。近年では、広島大学の研究によりその詳細が明らかになったと報告されています。
 

■消化管のバリア機能が乳酸菌由来物質によって回復した(広島大学)

【実験内容】

ヒト消化管上皮細胞株を用いて、腫瘍壊死因子TNF-αで消化管バリアに損傷を与え、その後善玉菌の投与による影響を調べる。
 

【結果】

乳酸菌によって、
・消化管バリアの保護効果が見られた(生菌・死菌を問わず)
・タイトジャンクションの細胞接着タンパク質の1つ (ZO-1)の発現が回復した(炎症保護効果が示唆された)。
・血管平滑筋細胞の収縮を制御するミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)の発現が低下した(血流改善効果が示唆された)。
 

ケルセチンが腸管細胞の結合を強固にする?

ケルセチンは、主に玉ねぎやブロッコリーに含まれる高い抗酸化力を持ったポリフェノールの一種ですが、同大学の研究によれば、マウスへのケルセチン投与によって消化管のタイトジャンクション構成物質が集積されたという報告があります。
 

■ケルセチンがタイトジャンクションを強固にした(広島大学)

【実験内容】

ラットとヒト消化管上皮細胞株にケルセチンを投与・作用させ、腸管バリア機能の変化について観察を行う。
 

【結果】

・ラット腸管のバリア機能が増強した(細胞間経路通過性マーカーであるルシファーイエロー透過性が低下した)。
・ヒト消化管上皮細胞株のバリア機能が増強し、またタイトジャンクション構成物質(オクルディン・クローディン-1)の集積促進が確認された。
 

最後に

このように、腸管バリアの増強には「乳酸菌」と「ケルセチン」が有効であることが明らかになりました。炎症性腸疾患の免疫細胞の抑制に近年では「酪酸」が注目されていますが、これに併せて先の2剤を併用することも、効果を上げる可能性があると考えられます。
(photoby:pixabay)

著者: カラダノート編集部

本記事は、2016-07-31掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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