カラダノートみんなの役立つ予防法や対処法
  1. カラダノートTOP >
  2. メンタル >
  3. 双極性障害(躁うつ病) >
  4. 治療方法 >
  5. 双極性障害の治療薬/定型・非定型抗精神病薬の「QT延長リスク」はどの程度考慮すべき?

メンタル

双極性障害の治療薬/定型・非定型抗精神病薬の「QT延長リスク」はどの程度考慮すべき?

heartbeat-163709_640.jpg
QT時間とは、心電図におけるQRSの始まり~T波の終わりまでの時間を示すもので、これは心臓が活動するのに必要な電気持続時間(心室筋の活動電位持続時間)に相当します。
 
この活動電位持続時間が延長すると心筋は電気的に不安定になって、心室期外収縮や重症不整脈であるトワソンドポワントを起こしやすくなるとされています。
 
QT延長は、向精神薬では三環系抗うつ剤に現われるのが有名ですが、その他の抗精神病薬などにもわずかに生じることが分かっています。
 
またその原因として、「先天性」と「薬剤性」によるものが挙げられ、中でも軽度な先天性要因のあるものは境界域に属し発見しにくいため、注意が必要とされています。
 

薬剤性QT延長症候群はどのようなケースで起こりやすい?

・QT延長のリスクがある薬を他剤と併用した場合(代謝阻害によって血中濃度が異常に上昇するため)。
・電解質異常(低カリウム血症など)、徐脈、心不全など、QT延長を助長する条件が共存した場合。
・「不完全型先天性QT延長症候群」である場合(遺伝子異常が軽いために症状が現われにくいが、薬剤が使用されることで症状が顕在化する)。
・QT延長が起こりやすい薬剤使用時に、「めまい・眼前暗黒感・失神」を来した場合。
 

<QT時間の正常値・異常値は?>

QT時間の延長の有無は、心電図をとることで明らかになりますが、その基準は以下となります。
 
■QT時間の正常値:【成人男性】<430msec 【成人女性】<450msec
■QT時間の境界域:【成人男性】430~450msec 【成人女性】450~470msec
■QT時間の異常延長:【成人男性】>450msec 【成人女性】>470msec
 

先天性のQT延長とは?

QT延長症候群とは、突然死を引き起こす可能性がある難治性の遺伝性不整脈疾患で、約2,000人に1人の頻度で発症することが知られています。
 
原因遺伝子となる15種類の遺伝子はすでに明らかにされており、またこの遺伝子に該当しない患者の約2割では「カルモジュリン」に関連した遺伝子の変異であることが理化学研究所によって報告されています。
 
先天性QT延長症候群の診断基準については以下となります。
 

■診断基準:以下の合計得点による【≧3.5点:可能性大、1.5~3点:疑い、≦1点:可能性小】

<心電図による所見>

■QT時間が480msec以上である:3点
■QT時間が460~479msecである:2点
■QT時間が450~459msecである(男性):1点
 
■重症不整脈である(トルサデポアン):2点
■交代性T波変化:1点
■ノッチを伴うT波.(3つの誘導):1点
■年齢不相応の徐脈:0.5点
 

<既往歴>

■失神(ストレスに伴うもの:2点、ストレスに伴わないもの:1点)
■先天性難聴:0.5点
 

<家族歴>

■確実なQT延長症候群:1点
■近い親戚の30才未満の心臓性突然死:0.5点
 

エビリファイのQT延長の可能性は?

定型抗精神病薬の中では、セルチンドール・メレリルが平均QT時間を20msec程度延長させ、非定型抗精神病薬では、リスパダール・セロクエル・ジプレキサではQT時間を2~3msec延長させる可能性があるが、影響は極めて少ないとされています。
 
非定型抗精神病薬の中でも、最も処方数の多いというエビリファイにはどの程度のQT延長が認められるのでしょうか。
 
エビリファイの添付文書では、以下とされています。
 

■エビリファイのQT延長は平均2~3msecで、液剤の方がやや長いという結果(約150~200人を対象とした臨床試験)

□エビリファイ液剤
【ベースライン】平均403msec【投与4週後】平均-1.5msec【投与24週後】平均3.1msec【投与52週後】平均3.3msec
 
□エビリファイ錠剤
【ベースライン】平均404msec【投与4週後】平均-2.9msec【投与24週後】平均0.9msec【投与52週後】平均2.2msec
 

最後に

このように、非定型抗精神病薬のQT延長に関しては、ハイリスク群でなければ(単剤では)それほど影響が見られないことが分かりました。
 
一方で、定型抗精神病薬や三環系抗うつ剤などを使用する場合は、QT時間が正常圏内であれば、QT時間を20msec延長させる薬剤を使用しても、境界域に留まることが分かりますが、始めから境界域に属する場合は注意が必要です。
(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-02掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


通報する

治療方法に関する記事

ラミクタールによる「スティーブンス・ジョンソン症候群」は特定の遺伝子と強い相関がある?

抗てんかん薬のひとつ「ラミクタール」は、「妄想を伴ううつ」や「器質性疾患...

躁うつ病の再発や悪化を防ぐには?

    うつ病の薬を長年飲み続けているのに、症状が改善しないという方は、セカ...


双極性障害は脱髄性疾患だった?デパケンが脳の抑制系ネットワーク障害を改善!?

デパケンという抗てんかん薬は、双極性障害の中でも「混合状態やラピッドサイクラ...

躁うつ病、こんな治療法もあります!「電気ショック療法」

  躁うつ病とは、気分の良い状態と、気分が沈んだ状態が交互に現れる病気です。気...

カラダノートひろば

治療方法の関連カテゴリ

ブックマークは20件まで登録可能です
トップへ戻る