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神経保護作用があるという「EPA」、精神疾患・認知症への投与で「脳容積増加」効果も

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近年、精神疾患全般において多価不脂肪酸の「EPA(エイコサペンタエン酸)」が有効に働くのではないかと言う研究結果が数多く報告されています。

EPAを長期的に投与した臨床試験では、「うつ・双極性障害・不安障害・統合失調症・認知症」などに対して改善や進行の予防に繋がるという結果が報告されており、また併用療法として使用した際の目だった副作用もないため(但し、出血傾向のある場合は禁忌)、その効果に期待がもたれています。

精神疾患になぜ多価不飽和脂肪酸が有効?

精神疾患・認知症に有効とされる多価不飽和脂肪酸はω3不飽和脂肪酸(リノレン酸・DHA・EPA)であり、精神科医の方のウェブサイトによれば主に以下のような作用を発揮すると述べられています。
■神経保護作用
(脳虚血・カイニン酸による神経毒性から神経を保護する)
⇒神経の膜電位を負に保つ(刺激を痛覚として伝えるTREK-1・TRAAKの調節)ことによるとされています。
■炎症抑制と抗アポトーシス作用
(ミクログリアの炎症性反応を抑制、サイトカインの減少:IL-6・IL-1α・IL-β・TNF-α)

<臨床試験結果の報告は?>

■EPA摂取量と脳の容積は相関があるという臨床試験(PMID: 17574755)

【要約】

MRI検査において、健常な成人のEPA摂取量は、大脳辺縁系(前帯状皮質・右海馬・右扁桃体)の容積と正の相関を示していた。
⇒記憶、覚醒、気分や感情の調整などに関連している。

■オメガ3脂肪酸摂取量は高齢者の認知機能向上と相関があるという臨床試験(DOI 10.1007/s11357-012-9453-3)
【要約】

高齢者におけるω-3 PUFAの摂取量は、脳の灰白質の容積と認知機能に相関していた。

■EPA摂取量と躁病重症度は相関があるという臨床試験(Bipolar Disorders誌2015年11月号)

【要約】

双極性障害とEPA摂取量は相関していた(躁病重症度、自殺傾向、パニック障害などと正の関連性が見られた)
その他、「ハイリスクの統合失調症への発症予防の可能性」「急性神経変性状態への有効性」「胎児のDHA不足が脳の発育阻害や精神疾患に繋がる」などの報告もあります。

高脂血症を合併する場合、「EPA製剤」を利用する方法もある?

精神科系の疾患においてEPA製剤(エパデール)処方の適応はありませんが、高脂血症を合併している場合、処方の対象となる場合があります。EPA製剤は保険適応の場合、サプリメントよりも安価で購入することが出来るため継続利用しやすいといえます。用量は「300/600/900mg」の3種類があります(目安として、食品由来のオメガ3不飽和脂肪酸含有量は、サバ水煮缶で約4,300mg含まれています)。

■エパデールS(イコサペント酸エチル:EPA)

【成分】
オメガ-3-トリグリセリドの一種で、魚の油から生成したもの
【適応】
高脂血症、閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍・疼痛・冷感の改善
【1日分の薬価(3割負担額)】
・300mg/15~41円
・600mg/29~78円
・900mg/42~114円
【服用してはいけない場合は?】
出血・本剤へのアレルギーの前歴がある
【慎重に服用すべき場合は?】
出血の危険性が高い人(月経期間中・出血傾向・外傷・手術の予定など)/抗凝固薬・抗血小板薬の服用中
【リスクのある重大な副作用】
肝機能障害(0.1~5%未満)
このように長期的なオメガ3不飽和脂肪酸の摂取は、「神経興奮による脳傷害の保護効果」と「脳容積の増加」に繋がる可能性がある、ということが分かりました。

ただ、オメガ3不飽和脂肪酸は不安定で酸化しやすいという側面も持っており、海外研究では摂取過剰で大腸がんのリスクを増加させるという報告もあることから、現段階では適切な摂取量に留めておきたいところですね。
(参照ウェブサイト:場末P科病院の精神科医のblog
(phtoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-28掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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