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ベンゾジアゼピン系薬の長期服用による「健忘・記憶障害」はなぜ生じる?

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ベンゾジアゼピン系薬は、長期服用をするべきでないとされていますが、その理由は記憶の障害が生じ、健忘状態や認知症症状の発現につながるためと考えられているためです。

ベンゾジアゼピンは海馬の活動性を障害する働きがあり、使用の際にはこの点についてよく知っておくことが必要です。

ベンゾジアゼピン健忘とは?

ベンゾジアゼピン系薬の使用によって「記憶の障害」が生じることは古くから知られており、当初セルシンが麻酔の前投薬として用いられた際に、手術中の出来事を覚えていなかったという報告があります。

研究が進むにつれて、ベンゾジアゼピン健忘には以下のような特徴があることがわかっています。
・前向性健忘(服用後の新たな情報への記憶障害が顕著で、服用前の記憶はよく再生される)
・抽象的で無意味なものほど忘れやすい(具象的・意味あるものほど記憶しやすい)
・短期記憶より長期記憶の方がより障害されやすい(ただ、他の研究では秒単位の短期記憶も障害されやすいとされている)
・単回・反復投与ともに記憶障害が生じる

最も記憶障害が現れやすい場面

1)服薬してから入眠するまでの間
2)入眠後なんらかの用があって起こされたとき
3)翌朝、目が醒めたあと数時間
⇒特にアルコールを同時に摂取すると、健忘症状を強めることが知られています。

特に健忘作用が強い薬剤の特性

・受容体への親和性が強い
・力価の強い
・消失半減期が短かい
代表的な薬としてデパス・ハルシオンなどが挙げられます。

ベンゾジアゼピンによって健忘が生じる機序とは?

ベンゾジアゼピンは「抗不安・筋弛緩・催眠・鎮静(・抗けいれん)」作用がありますが、一方で前述のような健忘症状が出ることがあります。

その機序は、通常記憶の形成は、記憶回路の中枢である海馬においてアセチルコリン・グルタミン酸などの神経伝達物質が受容体にくっつくことで行われますが、ベンゾジアゼピンは海馬中心に分布している受容体にくっつくため、海馬の活動を抑え本来の情動抑制と同時に記憶機能の抑制も行ってしまうこととなります。
1)海馬にあるベンゾジアゼピン受容体に結合する
2)隣接しているGABA受容体を活性化させる
3)Cl-イオンの細胞内流入をすばやく増やし、抑制性の効果を産む
4)また、同時に興奮性神経伝達物質(セロトニン/ノルアドレナリン/ドパミン/アセチルコリン)も抑制する

健忘への対処法は?

日中にベンゾジアゼピン系薬を使用する場合でも、適切な用量においては、強く健忘作用が発現することはないとされていますが、高用量での服用が必要である場合にはメモを取る習慣をつけるなどある程度の注意が必要とされています。具体的には、睡眠薬として使用する場合には以下の点が重要と考えられています。
1)最少用量・最短期間(2~4週間程度が推奨)に限り使用する
2)服用後には速やかに就床する
3)アルコールと併用しない
4)重要な意思決定事項がある場合には服用しない


このように、ベンゾジアゼピン系薬は長期使用では健忘が生じる可能性があり、特に高齢である場合に注意が必要です。またその他の副作用として、奇異反応や反跳現象(不安・攻撃性がかえって強まる)などの報告もあり、出来る限り短期の使用に限ることが大切です。

もし、止むを得ず長期使用となる場合には、ベンゾジアゼピンの用量を減らして他剤で補う(抗不安:ルーラン/睡眠:ロゼレム・ベルソムラなど)などを考慮に入れることも推奨されています。
(photoby:画像AC

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-28掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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