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不整脈のリスクとなる「潜在性(隠れ)QT延長症候群」、注意すべき既往と薬剤は?

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QT延長症候群とは、先天性・後天性(二次性)の要因によって心電図を取った際にQTと呼ばれる心拍の波形が正常よりも長く延長してしまう症状のことを言います。この異常な延長によって、心筋の動きに異常が生じ、重症の場合「トルサデ・ポアン」と呼ばれる心室頻拍(不整脈)が生じる場合があります。

 

このQT延長症候群の中でも特に注意すべきであるのが「潜在性」の場合で、先天性の遺伝子多型(異常)を持ちながら心電図には波形の異常が現れず、QT延長作用のある薬剤を使用した際などに通常よりも大きく反応が起こり、先のトルサデポワンのリスクとなるというものです。

 

またその他の潜在性の要因から重症QT延長が起こりやすい特徴として、「特定の遺伝子多型」「複数のQT延長作用のある薬の併用」「心臓病」「電解質異常」「高齢」など様々な要素が挙げられており、20ms程度の大きなQT延長作用のある薬を使用する際には、これらの項目を必ず確認することが必要となります。

 

二次性(後天性)QT延長が起きうる条件とは?

QT延長を起こしうる明かな兆候(遺伝子多型・失神症状など)がない場合に、二次性(後天性)QT延長が起きる可能性があるのは、以下の条件によります。

 

1)QT時間を延長させる薬剤を服用している

QT延長の機序は「Kチャンネルの抑制作用」によるものとされていますので、Kチャンネル抑制作用を持つ薬はすべてQT延長症候群のリスクがあると考えられます。
例)一部の抗不整脈薬、抗生剤(マクロライド系)、抗真菌薬、抗ヒスタミン薬、向精神薬、抗うつ薬、抗潰瘍薬、脂質異常症治療薬など

 

2)複数の薬の併用で、QT延長薬剤の濃度が高まっている(特定の代謝酵素を阻害する薬剤を服用する、またはグレープフルーツの摂取などにより)

QT延長作用をもち、かつ代謝酵素シトクロムP450(CYP)で代謝される薬剤服用中に、ほかのCYPにより代謝される薬剤またはCYP阻害薬を服用し、前者のQT延長作用が増強された場合。

 

3)循環器の活動低下に関わる疾患を持っている

心疾患又は下記の疾患があればQT延長を惹き起こしやすいと考えられています。

■二次性QT延長症候群と関係する疾患

□心疾患
・心筋梗塞
・拡張型心筋症・うっ血性心不全
・肥大型心茄症
・高血圧(持続的な高血圧で心肥大となる)
・徐脈(遺伝・老化・薬剤性などで発生)
・川崎病・心筋炎

 

□心疾患以外
・電解質異常(低カリウム血症、低マグネシウム血症など)
・糖尿病(低血糖のリスク)
・拒食症(低カリウム血症などによる)
・肝障害時(薬剤の血中濃度増加が生じる)
・頭蓋内出血
・甲状腺機能低下症(循環器系の活動低下のリスク)
・強いストレス
・女性(男性よりも高率)
・高齢者(65歳以上)

 

実際の症例でも、後天性で重症不整脈の兆候は見られるか?

以下の症例の遺伝子解析による結果では、「心疾患以外の薬剤によってトルサデポワンを起こした場合、高率で遺伝子変異が見られ、多くは事前に軽度のQT延長が見られた」と述べられています。

 

■非心疾患薬によって後天性QT延長からトルサデポワンを起こした場合、潜在的遺伝子変異が高率で見られた(上原記念生命科学財団研究報告集, 24(2010) 126.pdf)

 

【試験内容】

薬剤性のトルサデポワンをきたした20名の患者を対象に、関連遺伝子の検索を行った(服用薬剤:QT延長作用のある心疾患治療薬/抗精神病薬/抗生物質/抗ヒスタミン薬など)。

 

【結果】

・20名すべてにおいて、「薬剤服用前の軽度なQT延長(446±29ms)」「薬剤服用後の有意なQT延長(616±91ms)」「薬剤中止後は速やかなQT延長の短縮(441±33ms)」が見られた。
・後天性の方がトルサデポワンを発症した年齢に高齢が多かった(先天性:平均19歳、後天性:平均65歳)。
・後天性の方がQT延長時間が短かく、重症度スコアが小さかった。
・遺伝子多型の保有率に関しては、抗不整脈薬群で約20%、それ以外の薬剤群で約80%であった。
・家族歴は見られなかった(先天性では家族歴があった)。

 

⇒まとめると、心疾患治療薬以外のQT延長作用のある薬を服用して重症不整脈を起こすタイプの方は、「薬の服用前から軽度のQT時間異常が見られることがあり」、「その原因は潜在性の遺伝子異常によるところが大きく」「家族歴はなく」「高齢である場合が多い」と考えられそうです。

 

「薬剤処方前の聴取」や「心電図の確認」が何より重要

潜在性QT延長を事前に予測するためには、遺伝子検査(KCNQ1/KCNH2/SCN5A/KCNJ2/KCNE1/KCNE3)を行うという手段もありますが、現在把握されている遺伝子タイプ以外の関連性(D85Nなど)も指摘されているため、万能ではないと考えられています。 

 

少なくとも、前述の疾患の既往歴があるか、QT延長薬剤を併用していないか、年齢のリスクはないか、服用後の心電図はどうか等を確認したうえで、医師とよく相談されることが重要となります。 

 

(参照ウェブサイト:上原記念生命科学財団CiNii
(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-30掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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