育児
子どもからメープルシロップの匂い!?楓糖尿病(メープルシロップ尿症)の症状・治療法
糖尿病は聞いたことがあっても、楓糖尿病という病気は聞いたことがない人が多いのではないでしょうか?
メープルシロップ尿症とも言い、先天性の病気です。
楓糖尿病(メープルシロップ尿症)とは?
先天的にアミノ酸の一種を分解するために必要な酵素がないことで、血中にそれに関係した成分が多くなってしまう病気です。
分解できないアミノ酸が、分枝アミノ酸と呼ばれる、ロイシン、イソロイシン、バリンというアミノ酸です。
これらを代謝するための酵素が先天的に持っておらず、このアミノ酸やこれに関係した物質(α-ケト酸)が体内に溜まっていってしまいます。
その結果、汗や尿からメープルシロップのような甘いにおいがするようになります(α-ケト酸による症状)。
その他にも哺乳力の低下や嘔吐、けいれんや呼吸障害、重い症状の場合には死に至ることもあります。
治療には何ができる?
この病気と診断されたら、どんな治療をしていくことになるのでしょうか?
赤ちゃんでも透析・血液交換をする!
この分枝アミノ酸というのは、たんぱく質の中に含まれているため、哺乳することで赤ちゃんの体の中に溜まっていきます。
そのため、生まれて割とすぐの段階で、上記のような症状が見られることがあります。
もし呼吸困難や意識障害などの重度の症状が見られる場合には、赤ちゃんであっても透析や血液交換が必要になるでしょう。
分枝アミノ酸を2~4mg/dl以下に
ミルクでも分枝アミノ酸を除去したものがありますので、それを飲ませることになるでしょう。
一方で、分枝アミノ酸は育っていくのに必要な成分でもあります。そのため、最小限の分枝アミノ酸を母乳などから摂取することになります。
少し大きくなってミルクから食事になっても、こうした食事制限をしていくことになります。
血中のロイシンの濃度を2~4mg/dl以下に維持していくことになるでしょう。
なぜロイシン?
分枝アミノ酸の中でもロイシンは、神経への毒性が強いという特徴があります。
これが血中濃度10mg/dl以上になると、ふらつきなどの症状が出てきます。そのため、生涯このコントロールを続けていくことになります。
感染症などに注意していく
またコントロールが良好でも、感染症などをきっかけに血中濃度のバランスが大きく崩れることがあります。
その時には、重い症状につながることもありますので、健康な人には大したことのない感染症でも、慎重に対応する必要があります。
全くの除去ではなく、一定範囲に保っていく
食物アレルギーなどでは対象の食べ物を完全にシャットダウンしてしまっても大丈夫ですが、楓糖尿病のような病気の場合そうはいきません。
多すぎても少なすぎてもいけませんので、そのコントロールを良好にしていかなければいけないのです。
そのためには長い目で、親御さんが病気について勉強していく必要がありますね。
(Photo by:写真AC )
著者: カラダノート編集部