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がんの症状の緩和や延命が可能?がん治療に使われる抗がん剤とは?

抗がん剤には多くの種類が存在しており、それらの薬を数種類組み合わせて使用されることが多いです。

 

レジメンとは?

レジメンとは抗がん剤や放射線療法などを単独あるいは併用で行う治療方法の総称のことです。

薬の種類と組み合わせの多様性からレジメンの数は相当なものになりますが、実際に用いられるものは以下の原則に従います。

 

・併用する個々の薬剤が抗腫瘍活性を有する。

・併用する薬物の毒性が重複しない

・併用する薬剤の抗腫瘍作用機序が異なる

・併用する薬剤の耐性獲得機序が異なる

・適切な投与量とスケジュールで投与する

・治療を継続できるように臓器毒性に応じて患者個々で投与量を調節する

 

これらの原則によってレジメンはかなり絞られます。

 

レジメンの多様化

原則によって絞られると述べましたがより効果や安全性の高い新薬が開発されますので、今後もレジメンの多様化が進むと考えられています。

レジメンの種類によって投与方法や投与時間などが様々になりますので患者さんへのそれぞれのケアも必要になってきます。

 

レジメンによっては治療期間が長引くものや投与回数が多いものもありますので、しっかりと事前に患者さんへ説明して同意を得ることが重要になります。

 

医療の複雑化によって個人の努力や能力だけでは対応が難しくなってきていますので、患者さんを中心としたチームによる治療が進められています。

 

がんの症状の緩和や延命が可能?がん治療に使われる抗がん剤とは

がんの治療には薬物治療が行われることもあります。

 

抗がん剤が効くとは?

薬の効果というと、普通は疾患が完治することを指しますが、抗がん剤では必ずしもそうではありません。

 

現在のところ、化学療法で治癒が期待できるがんはそれほど多くありません。そのため、化学療法だけで完治を目指すのはなかなか難しいのが現状です。

 

しかし、がんによっては手術の補助療法として用いることで再発抑制ができたり、進行性のがんでも症状の緩和や延命が可能になる場合もあります。

 

抗がん剤の場合は完治ではなくても効いていることになるのです。

 

薬の効果は人それぞれ

がんは治療効果の個人差が非常に大きい疾患です。それぞれの抗がん剤の有効性はある程度分かっているのですが、誰にでも同じように効果が表れるわけではありません。

 

・完治する

・いったん症状は軽減する

・まったく効果がない

 

など同じがんの人に同じ薬を同量投与しても、本当に人それぞれの効果を示します。

 

この個人差は、それぞれの腫瘍細胞の抗がん剤に対する感受性の差によって生じています。抗がん剤の感受性はがん細胞の遺伝子によって決定されますので、その人に薬が効くかどうかは遺伝子によって決まるのです。

 

抗がん剤は現在も日々進歩していますので、今後さらに効果的で副作用の少ない薬が開発されることも十分考えられます。

 

【抗がん剤治療時は抗酸化物質『グルタチオン』は枯渇させるべき?】

『スルファサラジン』で還元型グルタチオンを枯渇させることががん死滅に繋がる?

『スルファサラジン』とは、潰瘍性大腸炎の治療に使われる薬ですが、がん患者にスルファサラジンを投与することが抗がん剤の効果を高め、がん治療を促進させるとして近年研究が進んでいます。

スルファサラジンには、副作用として体内解毒酵素である『グルタチオン』の活性を阻害する作用があります。通常であれば、グルタチオン阻害によって活性酸素除去能力が低下し、人体に悪い影響を与えますが、抗がん剤治療中であれば活性酸素はむしろがん細胞を攻撃する物質として有益であり、グルタチオンを枯渇させた方が早いがん治療に繋がると考えられています。

以下では、その詳細について見ていきたいと思います。

 

『抗酸化物質』はがん予防には有効だが、抗がん剤治療時には効果を低下させる?

上記のように抗酸化物質には2面性があり、がん細胞に対してはその用途を使い分けることが重要です。

 

1)がんの予防:DNAにダメージを与える活性酸素を消去することが必要

活性酸素やフリーラジカルによるDNAのダメージは、遺伝子変異を起こしてがん発生の引き金になるので、それを消去する抗酸化物質はがん細胞の発生を予防する効果を発揮します。

 

2)抗がん剤治療時:がん細胞への酸化ストレスを高めることが必要

放射線治療や抗がん剤治療では、活性酸素やフリーラジカルの発生ががん細胞を死滅させるメカニズムになっており、抗酸化作用のある物質が存在すると、がん細胞を酸化ストレスから保護することになります。

 

『グルタチオン』とは?

グルタチオンは細胞内に高濃度に存在する抗酸化物質で、活性酸素やフリーラジカルから細胞を守る役割を担っています。通常は(発がん予防時は)グルタチオンは高濃度であることが望ましいですが、上記のように抗がん剤治療時はがん細胞への酸化ストレスが弱まるため、可能な限り低下させることが望ましいとされています。また、グルタチオンは、がん細胞自身が酸化ストレス下にあるときに合成増加させることが分かっています。

 

<グルタチオンの合成経路は?>

グルタチオンとは、3つのアミノ酸【グルタミン酸・システイン・グリシン】が結合したトリペプチドです。その合成経路とは、まず

 

1)『γ-グルタミルシステイン合成酵素』によってグルタミン酸とシステインが結合してγ-グルタミルシステインを合成する。

2)『グルタチオン合成酵素』によって、γ-グルタミルシステインにグリシンが結合してグルタチオンが合成する。

 

上記の2段階によって行われます。

 

⇒これに対し、潰瘍性大腸炎治療薬の『スルファサラジン』にはシスチン・トランスポーターの阻害作用があるので、細胞内のシステイン(シスチン2分子から合成される)を減らしてグルタチオンの濃度を低下させ、その結果、がん細胞の酸化ストレス抵抗性を減弱することが報告されています。(慶應義塾大学先端医科学研究所遺伝子制御研究部門の佐谷秀行教授らの研究グループ)

 

最後に

佐谷教授らの研究報告では、上記の方法以外にも『糖質制限やケトン食』ががん治療に有効であると述べています。糖質制限やケトン食はがん細胞のグルコース取込みや代謝を阻害するので、グルタチオン合成のエネルギー源であるATPとNADPHの産生を阻害する、というメカニズムによるものです。現在ではこれらの臨床試験も行われており、抗がん剤治療の補助療法として使われる日が近いかもしれません。

 

外来化学療法の良い点と問題点

薬の進歩とチーム医療の考え方の流行から外来化学療法を行う施設が増えてきています。

 

外来化学療法の特徴は以下のようになります。

 

良い点

・日常生活を送りながら治療をうけられるので精神的に楽で生活の質が上昇します

・仕事をしながら・会社に通いながら治療をうけられます

・入院することがないのでベッドの確保が不要になります

・入院費・ベッド代など患者さんの費用が軽減されます

・専任の薬剤師や看護師の指導がうけられます

 

問題点

・一人暮らしの患者さんは家での様子が心配です

・自宅が遠い患者さんは通院が大変です

・頻回の通院が必要な場合は費用がかさむこともあります

・多忙な外来だと注意深く観察ができないこともあります

・病院の施設の初期投資にお金がかかります

・外来治療のためにポート(注射針を指すための小さい器具)の留置が必要になることもあります

 

このように外来化学療法には良い点もあれば問題点もあります。

 

薬の開発が進んでいますので、時代の流れとしては外来化学療法へ向かうと思いますが、患者さんの治療は患者さんが中心になって安全第一で行うものですので、無理に外来での治療を行う必要はありません。

 

入院の方が安心できる患者さんの場合は、ぜひそちらを選んでくださいね。

 

(Photo by http://www.ashinari.com/2008/11/16-010315.php)

著者: カラダノート編集部

本記事は、2017-04-01掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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