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「 劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の患者数が過去最多、免疫低下や基礎疾患に注意を

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A群溶血性レンサ球菌感染症は、小児の咽頭炎や皮膚炎症状などに代表されるように、比較的軽い感染症というイメージがありますが、近年感染拡大しているものとして「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(人喰いバクテリアと呼ばれる)」という多臓器不全や組織壊死に陥りやすく、致死率も高い極めて危険な変異種の存在が報告されています。

 

劇症型の溶連菌は、国立感染症研究所のまとめで昨年過去最多の感染者数(431人)が記録されたとされており、感染予防と警戒を行うことが必要です。

 

劇症型溶血性レンサ球菌とは? 

劇症型の溶連菌感染症は、通常の良く知られている溶連菌(A群溶血性レンサ球菌)を含めた3群の菌によって引き起こされます。ただ劇症型には遺伝子配列が通常のタイプと異なり、「CsrS」「rgg」などを主としたアミノ酸配列部分に「変異」があると報告されています。

 

レンサ球菌の種類は、主に以下の3タイプに分類されます。

 

種類

・A群溶血性レンサ球菌(GAS)

・B群溶血性レンサ球菌(GBS)

・C・G 群溶血性レンサ球菌(SDSE)

 

 

感染者数の推移について 

国立感染症研究所によれば、2011年以降劇症型溶連菌の感染者数が急増し、その後以下のような推移が見られたと報告されています。

 

感染者数

・2012年:241人

・2013年:201人

・2014年:270人

・2015年:431人

 

⇒また原因菌は、A群(58%)が最も多く、G群(27%)も次いで増加傾向にあるとされています。

 

死亡例の年齢中央値

72歳(76%が発病から3日以内に死亡) 

 

 

劇症型は高齢者に高いリスク、初期症状は「手足の痛み」 

通常のA群による感染症状は「咽頭炎・扁桃炎・猩紅(しょうこう)熱など」であり小児を中心に感染が見られますが、劇症型感染症の場合、高齢者が中心に感染しやすく、また症状も数十時間で急速に進行しやすく、重篤になる傾向があるため注意が必要です。

 

劇症型感染症の主な症状

初期症状

・四肢の疼痛や腫脹、発熱、血圧低下など

 

発病から数十時間以内

・急性腎不全

・成人呼吸窮迫症候群

・播種性血管内凝固症候群

・多臓器不全

・軟部組織壊死

・死亡

 

 

劇症型になる機序とは? 

A群溶血性レンサ球菌は、ヒトの口内などの粘膜常在菌であり(分布密度が低いため問題にならない)、一般的な保有率は 5~10%と言われています。

 

通常は問題になることはありませんが、何らかの原因で菌に変異が生じ、また宿主に免疫低下や手術創などが存在することで菌が血液内に侵入・蔓延すると、数時間で体内の「白血球の機能不全」「免疫活性シグナルの分解(IL-8の分解)」が起こされ、菌が全身で増殖する敗血症や組織壊死、その他致死的な症状を引き起こすことが報告されています。(日本臨微生物学会による報告)

 

 

免疫低下や基礎疾患がない場合でも、劇症型になる可能性 

劇症型溶連菌の侵入経路は、前述のように免疫低下や基礎疾患がベースにあり「上気道・尿路・創傷部など」から感染することが多いようですが、「基礎疾患がない場合」でも感染する例が多く報告されており、また半数の症例では侵入経路は不明とされています。また、菌種によって侵入経路は異なると考えられています。

 

主な侵入経路

・皮膚(約35%)

・粘膜(約20%)

・不明(約45%)

 

菌種ごとの具体的な侵入経路と発症リスク因子

・A群(GAS)

上気道感染(咽頭・扁桃等)、もしくは創傷部感染

【発症リスク増加因子】基礎疾患を有していなくても発症

 

B群(GBS)

腸管の常在菌が免疫不全などによって、尿路系・腸管系を通じて敗血症を起こすことによると考えられる

【発症リスク増加因子】高齢者・基礎疾患保持例が多い(82%:糖尿病・悪性腫瘍・肝疾患系など)

 

(※新生児の場合は、母体からB群に感染しやすく、妊婦の10-20%は腸管・膣内にB群を保菌している可能性があるため、後期妊婦すべてに検査が実施されています)

 

C・D群(SDSE)

恐らく上気道感染(咽頭・扁桃等)、創傷部感染によると考えられるが、詳しい侵入門戸は不明。

【発症リスク増加因子】高齢者・基礎疾患保持例が多い(71%)が、詳細は不明。

 

 

このように、劇症型感染症に関しては、現時点ではワクチンが存在せず十分な防御方法も分かっていない状況ですが、可能な限り感染の危険因子を除いておくことが必要です。

 

「傷口」「免疫低下」「基礎疾患」など、治癒できる要素があれば早期に改善しておく、人混みではマスク装着を心がける、また基本的な感染予防を怠らない(うがい・手洗い)ことなどが重要と考えられています。

 

(参照ウェブサイト:日本臨床微生物学会

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-30掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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