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1型糖尿病の最先端治療「マイクロカプセル化ブタ膵島細胞移植」とは?

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今月17日(2016年3月)の読売新聞の記事に、大塚製薬工場によって最先端の糖尿病治療の臨床試験が実施され、患者4人全員において血糖値の改善が認められたことが掲載されました。

 

この新しい治療法とは、豚由来の膵島(すいとう)細胞をマイクロカプセルに封入して移植するというもので、これまで動物細胞移植に懸念されてきた「免疫拒絶反応」や「感染症」の問題が解消されたという画期的なものです。

 

数年後には米国での臨床試験実施が予定されており、今後重症1型糖尿病の新たな治療の選択肢になると期待されています。

 

カプセル化膵島の移植が必要とされる背景 

免疫寛容の破綻によって膵臓細胞が破壊される1型糖尿病では、インスリン補充療法のみでは十分でなく安定的な血糖コントロールが得られない場合があります。

 

この場合、膵臓・膵島移植が適応となりますが、現状ではドナー不足により実際に実施されている件数は、年に数件程度にとどまるとされています。そのため、これに代わる有力な解決策が必要とされてきました。

 

カプセル化されたブタ由来膵島細胞の移植は、従来懸念されてきた拒絶反応と動物由来感染症の問題を解消し、移植後長期にわたって生着してインスリンを分泌することから、その効果に期待が寄せられています。

 

マクロカプセル化膵島の移植について 

膵島細胞を包む「マイクロカプセル化(ポリビニルアルコール(PVA)を用いたカプセル)」が、人工膵島細胞移植成功のカギとされていますが、この技術は、元来ニュージーランドの企業であるリビング・セル・テクノロジーズ社が開発したことから始まったとされています。

 

この技術を元に、「マクロカプセル化膵島(MEIs)」が開発されました。現在国内でも、京都大学・大塚製薬などによってPVA-MEIsの生産・加工が行われています。

 

PVA-MEIsは、インスリン・糖・酸素・その他の栄養物質は自由に透過させますが、免疫拒絶反応の原因のなる抗体やT細胞は通過させないとされています。そのため、移植後の免疫抑制剤使用が不要になるというメリットがあります。

 

PVA-MEIsの作製~移植までの手順 

1)PVA(水溶性の合成樹脂)を一度凍結した後、解凍し、水を多量に含んだゲル状物質にする。

2)膵島凍結保存液(ET-Kyoto液などを主体としたもの)に1)のPVAを溶解させる。

3)さらに無菌育成された豚由来の膵島細胞を混入・懸濁し、これをシート型の鋳型に入れて、凍結・解凍させる。

4)PVA-MEIsが完成する。

5)数万個/1kg体重のPVA-MEIsを腹腔鏡的に移植する。

6)数ヶ月で移植膵島周囲の組織の血管網が完成し、正着する。

 

小規模臨床試験の結果 

■バイオ人工膵島を投与したところ、2年間血糖値7%未満を維持したという臨床試験(大塚製薬) 

【試験内容】

アルゼンチンにおいて、バイオ人工膵島「ディアベセル」を患者4人に(2万個/体重1kgを2回に分割して)点滴で腹部に移植した。

 

【結果】

・血糖値を示すHbA1cは4人全員において低下した。

・平均値では2年以上にわたり、HbA1c7%未満(糖尿病治療の目標となる値)を維持した。

・4人中3人において、インスリン注射を減量することができた。

・重い健康被害は生じなかった。

 

■1型糖尿病患者へのPVA-MEIs移植でHbA1c平均が約7%まで低下したという臨床試験(モスクワSklifasovsky研究所) 

【対象】

発症後5~15年で、5年超にわたってインスリン投与を受けている1型糖尿病のボランティア成人患者8人(23‐63歳) 

【試験内容】

2007年-2010年にわたり、被験者に対してPVA-MEIsの移植を行った(腹腔鏡的に5000~1万等量/体重1kgを注入)。 

【結果】

・HbA1c値の平均は、8.86%から6.91%まで低下した。

・投与インスリン量は34%減少した。

・患者からはブタ由来インスリンが検出され、8人中5人からは生着した膵島細胞を採取できた。

・患者のうち2人は最長8カ月間、インスリン投与を中止できた。

・深刻な副作用は認められなかった。

・移植直後の諸症状(腹部不快感や微熱)は、いずれも数日以内に消失した。

・動物由来感染症の発生もみられなかった。

 

このように、豚由来膵島細胞移植は重い副作用がなく、血糖値の安定化をもたらす可能性があると考えられています。今後の研究の進展に期待したいところです。 

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-03掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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