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メンタル

SSRI「レクサプロ」と三環系抗うつ剤「アンプリット」、QT延長による心血管への影響は?

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心電図において、心室の電気的興奮を表している波形が、通常よりも長く延長してしまう症状を「QT延長症候群」といいます。向精神病薬の中で、QT延長症候群を発生させるリスクのある薬剤として、これまで三環系抗うつ剤やSSRIであるレクサプロに注意が必要とされてきました。

 

ただ、三環系抗うつ剤の中でも「アンプリット」という薬に関しては報告が少なく、これまでどの程度心毒性があるのかは不明とされていました。

 

今回英国において行われたデータベースの解析によれば、アンプリット服用で約2倍に心血管疾患リスクが高まる可能性があると報告されています。

 

QT延長症候群と心血管疾患の関わり 

QT延長症候群が、なぜ心血管疾患に繋がるのかという点については定かではありませんが、一説には、QT時間の延長が心室内の電気的興奮を全体的に少し遅れさせる「心室内伝導障害」に繋がることが原因とされています。

 

伝導障害は、3~5倍の頻度で虚血性心疾患発症に繋がるという報告もあります。

 

QT時間延長の副作用がある薬の注意点 

まず事前に心電図を取って異常がないか確認することが必須ですが、QT時間に異常が見つからない場合でも、心疾患を罹患している方は先の血管障害リスク増加によって影響を受ける可能性があるため、注意が必要と考えられます。

 

三環系抗うつ剤「アンプリット」は心血管疾患リスク増加の可能性 

今年(2016年)British Medical Journal誌において、英国の研究チームが行ったデータ解析によれば、抗うつ剤の約5年間という比較的短期間の服用に関して、三環系抗うつ剤「アンプリット」に心血管疾患との有意な関連性が認められたと報告されています。

 

アンプリットは三環系薬の中でも、穏やかな作用で副作用も少なく扱いやすい薬と言われていますが、QT延長作用による心毒性が比較的高いと考えられるため、注意が必要です。

 

一方で、レクサプロを含んだSSRI薬は心血管疾患リスク増加との関連性が認められず、デプロメールに関してはリスクを低下させるという結果が報告されています。

 

■三環系抗うつ剤アンプリット服用と心血管疾患リスク増加に有意な関連性が認められたというコホート研究

(Antidepressant use and risk of cardiovascular outcomes in people aged 20 to 64: cohort study using primary care database)

□対象

うつ病と診断された20~64歳の患者(英国23万8,963人、平均年齢39.5歳)

 

□実施内容

約5.2年間の追跡期間において、英国の一般診療データベースから抗うつ剤使用と心血管疾患の発症についての関連性を調査

 

□結果

5年の観察期間中の、心血管疾患発生数は、心筋梗塞が772名、脳卒中(一過性脳虚血発作を含む)1,106名、不整脈が1,452名となった。各抗うつ剤における疾患発生倍率は以下のとおり。

 

・トリプタノール(TCA:三環系)

【不整脈:約1.16倍(0.87~1.54倍) / 心筋梗塞:約1.17倍(0.82~1.66倍) / 脳卒中:約1.35倍(1.00~1.82倍)】

 

・プロチアデン(TCA)

【不整脈:約0.93倍(0.61~1.40倍) / 心筋梗塞:約1.17倍(0.75~1.83倍) / 脳卒中:約1.16倍(0.77~1.76倍)】

 

・アンプリット(TCA)

【不整脈:約1.67倍(1.01~2.76倍) / 心筋梗塞:約2.02倍(1.14~3.59倍) / 脳卒中:約1.17倍(0.96~3.19倍)】

 

・レクサプロ(SSRI)

【不整脈:約1.06倍(0.71~1.57倍) / 心筋梗塞:約0.77倍(0.41~1.44倍) / 脳卒中:約0.97倍(0.59~1.59倍)】

 

・デプロメール(SSRI)

【不整脈:約0.74倍(0.59~0.92倍) / 心筋梗塞:約0.73倍(0.54~0.98倍) / 脳卒中:約1.13倍(0.93~1.39倍)】

 

・パキシル(SSRI)

【不整脈:約0.97倍(0.66~1.43倍) / 心筋梗塞:約0.76倍(0.44~1.31倍) / 脳卒中:約0.95倍(0.61~1.50倍)】

 

・ジェイゾロフト(SSRI)

【不整脈:約0.97倍(0.67~1.40倍) / 心筋梗塞:約1.27倍(0.84~1.94倍) / 脳卒中:約1.26倍(0.86~1.83倍)】

 

・リフレックス(NaSSA)

【不整脈:約1.20倍(0.81~1.77倍) / 心筋梗塞:約1.31倍(0.81~2.12倍) / 脳卒中:約1.35倍(0.90~2.02倍)】

 

⇒レクサプロを含むSSRIには心血管疾患との有意な関連性は認められず、三環系抗うつ剤の中でもアンプリットに関しては有意にそのリスクが増加していた(最も高い値では、心筋梗塞で3.59倍のリスクが見られた)。

 

⇒また、SSRIのデプロメールに関しては、心血管疾患のリスク低下との有意な関連性が認められた。

 

今回、記事を参照させて頂いた内科医の方のウェブサイトでは、「SSRIの服用によって心血管疾患の予防に繋がる理由は、うつによるストレス(自律神経亢進が血圧や脂質代謝に影響)が軽減されることによる」と述べられています。

 

三環系薬の服用による長期的な影響については未だ不明であるようですが、短期的な使用に関してはリスク増加の可能性があり、注意が必要ということです。 

(参照ウェブサイト:六号通り診療所所長のブログthe bmj

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-03掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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