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デパケンの副作用「白血球減少症」、がん細胞への防御やサイトカイン産生への影響はある?

stem-cell-163711_640.jpgデパケン(バルプロ酸)は、抗てんかん薬の中でも比較的安全性が高いと言われており、副作用のひとつである「高アンモニア血症」や「ミトコンドリア好気的呼吸の抑制」リスクに関しても、「カルニチン」や「ラツクロース」などの併用である程度予防できると考えられているようです。

 

またその他の副作用には、頻度は低いものの「白血球減少症」も報告されています。

 

白血球減少によって風邪を引きやすくなる等の易感染症状が出たとき、免疫機能にどのような変化が起こり、またがん細胞への防御能にはどれほどの影響を与えるのでしょうか?

 

以下では、デパケンと免疫機能への影響に関する海外の研究結果を集めてみました。

 

デパケン服用による白血球減少の発生頻度は「0.4%」

バルプロ酸ナトリウムの添付文書によれば、白血球減少症の発生頻度は約4,000例中17件(0.4%)であったとされています。

 

■各種てんかんへの使用成績調査(バルプロ酸ナトリウム添付文書より

各種てんかんおよびてんかんに伴う性格行動障害承認時及び使用成績調査において、3,919例中、副作用及び臨床検査値異常の発現例は254例(発現率6.5%)で、341件であった。白血球減少・好中球減少の副作用の発生頻度は17件(0.4%)であった。

 

デパケンは総白血球を減少させるが、がん細胞を抑制する可能性

このように、デパケン服用による白血球減少の発生頻度は稀であるようです。ただ、実際に易感染症状が生じた場合には、以下のような機構によって免疫機能に何らかの影響をもたらしていることがいくつかの文献で示唆されています。

・自己免疫疾患へのサイトカインをダウンレギュレートさせる可能性

・総白血球と好中球数を減少させるが、サイトカインには大きな変化はない可能性

・高用量のデパケンは活性化リンパ球を減弱させる可能性

・エピジェネティックな機序により、腫瘍細胞へのアポトーシスを誘導させる可能性

・用量依存的に前立腺がんのリスクを低下させる可能性

 

海外研究の詳細

■臓器移植後の拒絶反応に対しデパケンがサイトカインを下方制御したとする実験

(PMID: 26179902)

 

【実験要旨】

MHC不適合移植のマウスモデルに対し、バルプロ酸の効果を調べたところ、全死亡率を低下させ、また自己免疫疾患に関わるサイトカインTh1とTh17の産生をダウンレギュレートした。

 

■デパケン服用で白血球数が減少したが、サイトカインには影響がなかったとする臨床試験

(PMID: 24880639)

 

【試験要旨】

15名の患者を対象にバルプロ酸による血球とサイトカインの影響を調べたところ、総白血球数と好中球の絶対数に有意な減少をもたらした。一方で、サイトカインには有意な変化をもたらさなかった。

 

■デパケンは高用量で活性化リンパ球に細胞死をもたらしたという実験

(PMID: 21457087

 

【実験要旨】

コンカナバリンA(ConA)で活性化したマウスのリンパ球へのバルプロ酸の効果を調べたところ、用量依存的に二相性の効果が見られた。低用量ではCD69発現増加、ConA活性化リンパ球のアポトーシス細胞死の減少が認められた。高用量ではCD69発現低下、ConA活性化リンパ球のアポトーシス細胞死を促進した。

 

■デパケンはエピジェネティックな機序により白血病細胞のアポトーシス誘導を起こしたとする実験

(PMID: 27152238)

 

【実験要旨】

白血病細胞へのバルプロ酸の効果を調べたところ、用量依存的にNK細胞の溶解活性を阻害し、またPD-1経路の活性化によりインターフェロンγ分泌減少と、アポトーシスを誘導させた。

 

■デパケンは子宮頸がんの細胞周期停止およびアポトーシスを引き起こしたとする実験

(PMID: 27176495)

 

【実験要旨】

子宮頸癌細胞株へのバルプロ酸の効果を調べたところ、Notch1シグナルの遮断およびがん遺伝子E6のダウンレギュレーションを誘導することで細胞周期の停止やアポトーシスを起こしていた。

 

■デパケン購入歴と前立腺がんリスク減少が相関していたとする調査結果

(PMID: 27038166)

 

【調査要旨】

フィンランドの人口登録センターから前立腺がん発症者と抗てんかん薬購入の相関について調査した。結果、バルプロ酸及びカルバマゼピンにおいて全体的な前立腺癌のリスクが用量依存的に減少していた。

 

これらの研究はほとんどが小規模のものであるようで、確実性が高いとは言えませんが、用量依存的に正常なリンパ球を減少させると同時に、腫瘍細胞に対してはある程度アポトーシスを誘導させる作用があるようです。

 

ただ、個人によって正常リンパ球の低下と抗がん作用のバランスが異なる可能性もあると考えられるため、極端に易感染症状が現れた場合には、早めに検査を受けることが重要となりそうです。

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-03掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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