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ビタミンD3が自己免疫疾患を軽減させる可能性?増悪因子「Th1優位」を下げる効果

drug%20cough.jpg近年の海外研究で、臓器特異的自己免疫疾患(特定の臓器が傷害される自己免疫疾患:リウマチや多発性硬化症など)の発症にはビタミンD3の欠乏が関連していることが明らかになっています。

 

いくつかの海外で行われた研究によれば、ビタミンD3を補充することで臓器への炎症を引き起こすTh1型のヘルパーT細胞への分化を抑制し、自己免疫疾患を改善させる可能性があることが示唆されています。

 

ビタミンD3の代謝物は、現在ホルモンに分類されている?

ビタミンDとは、植物性ビタミンD2と動物性ビタミンD3の総称であり、そのうちビタミンD3が代謝の過程で水酸化され「1,25- ジヒドロキシコレカルシフェロール(1,25(OH)2D)」という活性型ビタミンD3に変化します。

 

現在、この活性型はビタミンと言うよりはホルモン様物質として分類されており、ホルモンと類似の蛋白合成の促進や阻害を行う作用があると考えられています。具体的な効果としては、「がん・糖尿病・抗感染症・自己免疫疾患」などの改善の可能性が示唆されています。

 

■ビタミンD3の免疫機能への作用の詳細

・抗原提示の減少

・Th1型分化の抑制

・制御性T細胞の誘導

・免疫グロブリン産生を抑制

・形質細胞へのB細胞前駆体の分化を遅らせる

 

ビタミンD3がTh1/Th2バランスを調整する可能性

前述のように、ビタミンDは臓器特異的自己免疫疾患への有効性が示されていますが、そのメカニズムにはTh1(ヘルパーT細胞1型)優位な状態を低下させ、Th2(ヘルパーT細胞2型)側へ傾ける(※)という機構が関連していると考えられています。

 

またさらに、自己免疫疾患の増悪や寛解に大きく関与しているTh17の低下やTregの増加を誘導する作用も関連性があるという報告があります。

 

(※Th1型を抑制するという見解が有力であるようですが、いくつかの海外研究結果では、Th1とTh2両方を低下させたという報告もあり、さらに研究が必要と考えられています。)

ビタミンDに関する実験・臨床試験

■ベーチェット患者由来の培養T細胞においてTh1とTh17への分化が著しく抑制されたとする実験

(PMID: 22918640 )

【実験内容】

ベーチェット病患者と健常者から採取したナイーブT細胞(Th0)を自己免疫疾患に関連するサイトカイン(Th17)の存在下で培養し、ELISA法により測定した。

 

【結果】

・Th17存在下ではベーチェット病患者のTh0はTh17へ分化が刺激された。

・ベーチェット病患者と健常者のTh0にビタミンD3を添加すると、著しくTh17が抑制された。

・転写因子IRF-8をノックダウンさせると、ビタミンD3によるTh17抑制効果は低下した。

・ビタミンD3はIL-17やTh1細胞分化の遺伝子発現を阻害し、また抑制性サイトカインであるIL-10の発現は促進させた。

 

■全身性エリテマトーデス患者への長期間ビタミンD3投与で、TregとTh2への分化が誘導されたという臨床試験

(PMID: 25801892)

【試験内容】

全身性エリテマトーデス(SLE)34人の患者に対し、無作為2年間の前向き研究を行った。1年目は16人の患者に集中的にビタミンDを投与(基準値を30万UIとし、5万IU/月、85万IU/年)、18人に標準的にビタミンDを投与(2万5,000IU/月、30万IU/年)2年目は他の治療法に切り替えた。

 

【結果】

・基準値の服用量では、2群間のT細胞サブタイプ(Th1とTh2)に有意差は差は認められなかった。

・2年以上の治療では、Treg細胞やTCM細胞数が増加し、一方でキラーT細胞への分化能を持つ細胞数が著しく減少した。

・さらに12ヵ月後、8人の患者においては、キラーT細胞におけるIFN-γ/IL-4の割合が減少を示した。

 

■多発性硬化症モデルマウスへのビタミンD3投与で、Th1とTh2サイトカインが抑制されたという実験

(PMCID: PMC4340987 )

【実験内容】

多発性硬化症のモデルである30匹の自己免疫性脳脊髄炎(EAE)マウスを用い、ビタミンD3(5mg/kg)を3週間継続投与した。

 

【結果】

・ビタミンD投与群は、非投与群に比べ、臨床症状が顕著に減少した。

・ビタミンD投与により、IL-10には作用せず、INF-αを大幅に減少させた。

・IL-4(Th2の分化促進作用)、IL-12(Th1への分化促進作用)の発現レベルは非投与群より有意に低下していた。

 

ビタミンD3は、多発性硬化症の治療補助薬に推奨されていますが、現在臨床試験が行われている新規治療薬の「α-GalCer」も類似の作用機構(Th2側へ転換させる)を持っていると考えられており、これまでと異なる作用機序に期待が持たれています。

 

ただ、ビタミンD3の上限は成人で100μg(4,000IU)であり、その半分量である50μgにおいても血管の石灰化を促進させるリスクを高めるという報告もあり、服用前には一度医師に相談することが必要となりそうです。

(参照ウェブサイト:KAKEN

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-03掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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