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ガン・悪性腫瘍

高い抗炎症・抗がん効果を持つ「ボスウェリアセラータ」、正常細胞のDNAへの悪影響はある?

stem-cell-163711_640.jpgボスウェリアセラータ(別名:フランキンセンス)」というインド原生の植物から抽出される「ボスウェリア酸」という物質は、ステロイドと類似の骨格を持ち、また同等の抗炎症作用があるという小規模研究の報告があります。

 

また、一方で強力な抗がん作用があり、この作用がDNAのねじれを修復する酵素「トポイソメラーゼ」の阻害によるものであることが近年の研究で明らかにされています。

 

では、この阻害作用による正常細胞への影響はどれほどものであるのでしょうか?

 

DNA複製に必要な酵素「トポイソメラーゼ」

がん細胞は無制限に細胞分裂を繰り返して増殖することが知られていますが、一方で、正常細胞では傷の修復や骨髄細胞、毛髪などを除き細胞分裂をほとんど行いません。

 

正常細胞の増殖(DNA複製)は厳密に管理されていますが、その一員を担っている物質に「トポイソメラーゼ」という酵素があります。

 

トポイソメラーゼは、通常2重らせん構造になってねじれて小さく折りたたまれているDNAを、複製や遺伝子発現のための転写が行われる場合にだけ、切断してほどき、その後複製が終わると再度つなぎ直します。

 

がん細胞にはトポイソメラーゼが高発現しており、これを防ぐことで抗がん作用を示す物質があります。

 

トポイソメラーゼ阻害薬と類似性を持つ「ボスエリア酸」

現在抗がん剤として使用されている「イリノテカン」の原型となった抗腫瘍成分「カンプトテシン」は、トポイソメラーゼやDNAに直接結合し、DNAが切断した後の修復を阻害します。

これにより、がん細胞にアポトーシスを誘導する作用があることが明らかになりましたが、一方で正常細胞のDNAにも直接結合することから、細胞毒性が高く薬剤としては使用できないと考えられてきました。

イリノテカンは、細胞のDNAに直接結合せず、トポイソメラーゼを阻害することで増殖を阻害します。この作用と類似性があるとされているのが「ボスウェリア酸」です。

 

ボスウェリア酸の抗がん作用の機序

海外の研究によれば(※)、ボスウェリア酸は、トポイソメラーゼ酵素にある結合部位がDNAと競合しているため、直接DNAに影響を与えることなく(DNAへの挿入や破壊など)DNA複製を阻害する作用があると考えられています。

 

さらに、抗がん効果としては、神経膠腫細胞株に対してカンプトテシンとエトポシドよりも高いアポトーシス効果があったという報告も見られます。

 

毒性試験について

■ボスウェリア酸のラットへの毒性試験では、高用量でわずかに体重増加が見られたという結果(PMID: 23293466)

【実験要旨】

・10匹のラットを3群にわけ、用量の異なるボスウェリアコナラ(100、500、1000mg/kg)を90日間反復投与した。対象群の10匹にはコーン油のみを与え、その後28日間の観察を行った。

・高用量群(1000mg/kg)は、対象群に比べはるかに少なく体重が増加したが、試験期間中に回復した。

・中等度の投与量では(500mg/kg)、体重増加などの副作用は見られず、安全性が確認された。

 

■ラットへの90日間の毒性試験では、肝臓DNAにおいて断片化を示さなかったという結果(PMID: 20021046)

【実験要旨】

・5-ロキシン(30%のアセチル11-ケトβ- ボスウェル酸を含んだ強化薬)によるラットへの用量依存性の90日間亜急性毒性試験を実施した。

・90日間の用量依存性試験においては、身体、臓器、脳重量において有意な変化を示さなかった。

・30、60、90日目において肝臓DNAの断片化を引き起こさなかった。

・血液学、臨床化学、組織病理学的評価では、すべての器官内で任意の悪影響を示さなかった。

 

■ラットへの高用量の投与においても、遺伝毒性を示さなかったという結果(PMID: 19679457)

【実験要旨】

6群(各5匹づつ)のラットに、それぞれ異なる用量の薬剤を経口投与した(1~4群:ボスウェリック酸(2%アラビアゴム懸濁液、125、250、500、1000mg/kg)、5群:シクロフォスファミド(40mg/kg)等、6群:塩化第二水銀(0.864mg/kg))。

・ボスウェリック酸は、1000mg/kgにおいても遺伝毒性を示さなかった。

・一方、対象群は非常に有意な細胞遺伝異常を示した。

 

⇒研究者によると「ボスウェリック酸は非常に安全であることが明らかとなった」と述べられている。

 

このように、現時点の研究においてはボスウェリア酸は、低濃度・短期間であれば目立った毒性はないものと考えられています。今後さらに長期的な影響についても明らかにされることを期待したいですね。

(※参照ウェブサイト:MOLECULAR PHARMACOLGY

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-04掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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