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低濃度の「アトロピン点眼」で、近視進行を長期抑制できる可能性?角膜細胞への毒性は

timing-715266_640.jpg「遠くのものが見えにくくなる」という症状が現れる「近視」は、遺伝と環境要因が重なり重度まで進行すると、網膜剥離や白内障などのリスクが高まります。

 

近年、この治療法として米国眼科学会は瞳孔を散大させる効果がある「アトロピン」を低濃度で用いると、近視が最大60%抑制でき、5年後の有害事象が生じなかったと報告しました。

 

ただ、海外のいくつかの研究においては、アトロピンは低濃度であっても細胞毒性を生じることが示唆されており、使用に際しては治療の有効性と副作用をよく比較することが重要であると考えられています。

 

「近視」は眼球が奥行き方向に伸びるという疾患

近視は、近年の研究で遺伝要因と環境要因の2つが関連していると言われており、同じように近くのものを見続けていても、近視になりやすいタイプとなりにくいタイプに分けられると言われています。

 

環境要因によって近視になるメカニズムには、「調節ラグ(=ピント調整不足)」という眼球が奥行き方向(眼軸長)に伸びる現象が関連しています。

 

近くのものを見続ける習慣があると、網膜にぼやけた像が映る時間が長くなり、それによって眼軸長を伸ばす仕組みが作動するということです。

 

重度の近視では、網膜剥離のリスクが生じる

近視の中でも、軽度(屈折異常:-3D未満)や中等度(-3D以上~-8D未満)の場合は眼鏡をかければ上手く視力が矯正されるため特別な希望がない限り治療の必要はないと考えられています。

 

しかし、強度の場合(-8D以上)では非常にもろい血管の新生が生じて、それが出血することで網膜の下に溜まってしまう可能性があります。

 

これによって、「視力障害」や「網膜剥離」などの合併症が起こる可能性があり、何らかの進行を遅らせる治療が必要になります。

眼科クリニックによれば(※)、以下の予防・治療法が進行抑制に有効であると考えられています。

 

■近視の予防法

・特殊眼鏡(myovision)の装用

・アトロピンの点眼

・オルソケラトロジー(角膜に型をつける特殊コンタクトレンズ、20歳以上に適応)

・強膜の架橋(リボフラビンと紫外線により眼球を強くする)

 

■近視の治療法

・眼鏡

・コンタクトレンズ

・オルソケラトロジー

(その他:レーシック、フェイキックIOL(安全性が確立されていない治療法))

 

アトロピン点眼は、近視の進行を50%抑制できる可能性

瞳孔を散大させる作用を持つ「アトロピン」は、近視治療に用いられると、進行抑制に繋がることが明らかとなっています。

完全に進行抑制はできないが、進行速度を緩やかにし将来的に弱い度数に収まることを目的とした治療法)

海外での調査では約50%の抑制効果があり、一方で全体の9%の患者に対しては治療開始後2年間で効果がみられなかったという報告もあります。

■1/100濃度のアトロピン投与で、有意に近視の進行が抑制されたという臨床試験結果(第119回 米国眼科学会年次会議における報告)

【対象】

6-12歳の小児400人

 

【試験内容】

アトロピン濃度0.5%、0.1%、0.01%のそれぞれの投与群に無作為に割り付け、2年間にわたり毎晩点眼してもらった。その後1年間は点眼を中止した(この間近視が進行した(-0.5D以上)小児に対してさらに2年間0.01%の点眼を行った)。

 

【結果】

・点眼開始から5年後、0.01%の低用量アトロピン点眼薬投与群において、高用量投与群よりも近視の進行が抑制された。

・また、低用量のアトロピンは瞳孔散大を1mm未満に抑え、6-12歳の小児でも安全に使用できることが確認された。

・未治療群の小児と比べ0.01%点眼薬投与群では近視の進行を50%抑制する効果が明らかになった。

・全体の9%の患者では、最初の2年間での効果が認められなかった

 

⇒研究者によれば、「5年間の臨床研究により、リスクよりも長期的な利益が確認された」と述べられている。

 

低濃度アトロピンの毒性に関する研究結果

一方で、アトロピン点眼を低濃度で行った場合、角膜細胞への毒性は見られるのでしょうか?以下のような海外の細胞実験の報告があります。

 

■1/32濃度のアトロピン使用において、角膜上皮細胞に細胞毒性を引き起こしたという実験結果(PMID: 26296992)

【実験内容】

ヒト角膜上皮(HCEP)細胞にアトロピンを添加し(約0.31g/リットル(眼科での使用量の1/32量))、その影響を調べた。

 

【結果】

・時間依存的に細胞の形態異常、細胞変性効果、生存能力の低下が誘導された。

・細胞周期のG1/S期を停止させ、増殖を停滞させた。

・DNAの断片化およびアポトーシスを引き起こした。

 

■1/128以上のアトロピン濃度で、角膜内皮細胞へ傷害性が生じたという動物実験結果(PMID: 27022135)

【実験内容】

ネコの眼球にアトロピンを添加し、角膜内皮(CCE)細胞への影響を調べた。

 

【結果】

臨床治療で用いられる用量の1/128以上で、用量および時間依存性の細胞傷害性(細胞密度の低下)を示した。

 

このように、アトロピン点眼はある程度角膜細胞への影響があるという結果が見られました。ただ、角膜上皮細胞は再生能力があるためアポトーシスが生じても再生され、比較的毒性は弱いと考えられます。

 

ただ、角膜内皮細胞に関しては再生能力がなく(コンタクトレンズの連続装着によっても細胞数が減少する)、どの程度の影響が出るのかということについては医師との話し合いが非常に重要になりそうです。

(参照ウェブサイト:※岐南眼科みやた眼科

(photoby:pixabay)

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-04掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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