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臨床研究が進む「糞便移植療法」、約4割の患者で寛解する可能性?発症後1年以内の移植がカギ

bacteria.jpg近年、「糞便移植療法」という健康な人から提供してもらった糞便を、チューブで潰瘍性大腸炎患者の腸内に直接注入するという治療法が注目されています。

 

日本においても2014年から順天堂大学を始めとした全国5箇所(※2016年1月時点)の大学病院で臨床研究が始まっているといいます。

 

海外ではより多くの臨床試験が実施されていますが、どの程度の有効率が認められているのでしょうか?

 

糞便移植療法とは?

糞便移植療法とは、別名「腸内細菌叢移植(Fecal Microbiota Transplantation: FMT)」とも呼ばれるように、健康な人の便に含まれている腸内細菌を潰瘍性大腸炎患者の方に投与するという治療法です。

最近では、さらに治療の対象となる疾患が増えてきています。

 

ただ、開始されたばかりの治療法であるため、「保険が利かない」「投与量やドナーの選定方法などが未確立である」と言った課題も残されているといいます。

 

■糞便移植の対象疾患

・クロストリジウム・ディフィシル感染症

⇒既存の抗菌薬治療(バンコマイシン、メトロニダゾール)においても2回以上再発を来した場合

 

・クローン病・潰瘍性大腸炎

⇒既存治療(栄養療法、生物学的製剤含む薬物療法)で緩解に至らない、もしくは緩解維持が困難な場合

 

糞便移植の方法について

藤田保健衛生大学病院によれば、糞便移植の方法は以下のような順序で行われると述べられています。

 

1)ドナーの選定

ドナーは基礎疾患がなく、腸内環境が良好で患者と接点のある人(親族・配偶者や知人等)が対象になります。

 

・20歳以上の2親等以内の健康な親族・配偶者

・患者本人より直接指定のあった健康な知人など

移植の事前にスクリーニング検査を行い、問題がないかを調べます。

2)糞便移植当日

ドナーから新鮮な糞便を採取した後、濾過した腸液を対象患者に投与します。

 

投与方法については大腸が病変の主体である場合は、大腸内視鏡を用いて行い、一方小腸が主体である場合は、経鼻十二指腸ゾンデ用いて挿入後に液を投与します。

 

原則外来診療で行われますが、入院で行うこともできるようです。

 

3)移植後の経過観察

定期的に2年後まで経過観察を行い、安全性・有効性を評価します。

 

糞便移植の効果に関する研究結果

海外で行われた臨床研究では以下の結果が報告されています。

 

■発症後1年以内の糞便移植の有効性の高さが示唆された臨床試験(PMID: 2585​​7665 )

【対象者】

潰瘍性大腸炎を罹患し感染症による下痢を起こしていない75人

 

【試験内容】

被験者を2群に分け、一方(38人)には糞便移植を、もう一方には(37人)プラセボ移植を行った(週1回×6週間)。健康な提供者由来の糞便を、50mL/回肛門から注入し移植した。

 

【結果】

・潰瘍性大腸炎の評価指標メイヨースコアが2以下の場合、回復したと見なした(スコアは0-12まで、数値が大きいほど重症度が高い)。

・糞便移植を受けた9人(24%)とプラセボを受けた2人(5%)において回復が見られた(17%の差)。

・糞便移植により回復した9人中7人は、同じ提供者からの糞便を移植されていた。

・潰瘍性大腸炎の発症後1年以内に移植を受けた4人中3人が回復した。

・一方、発症後1年以上経過した34人中、6人のみが回復した。

 

■約230人を対象とした糞便移植による寛解率は、約42%であったという調査結果(PMID: 27295210 )

【調査内容】

糞便移植の有効性と安全性を評価するために様々なウェブデータベース上の文献を調べた(PubMed、EMBASE、コクラン、サイエンスコアコレクション、3件の中国のデータベース)。

そのうち、234人の潰瘍性大腸炎を含む25の研究(ランダム化比較試験(2)、コホート研究(15)、ケーススタディ(8))を解析した。

 

【結果】

・全体で約42%(84/202人)の患者が臨床的寛解、約65%(126/193人)の患者が臨床反応を得ていた。

・ほとんどの有害事象はわずかであり、自己解決するものであった。

 

このように、糞便移植法による潰瘍性大腸炎への効果は、他の自己免疫疾患治療と同様に早期であるほど有効率が高いと考えられているようです。

 

治療法としてはまだ課題点も多いといいますが、新たな選択肢として広い疾患に応用されることを期待したいですね。

(参照ウェブサイト:welq

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-04掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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