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原因不明な腎結石は「シェーグレン症候群」が原因である可能性?遠位尿細管性アシドーシスとは

medicine-415397_640(1).jpg近年、尿路・腎結石は多因子疾患であること(遺伝・年齢・生活習慣・環境要因などが複合)が明らかになっており、発生のメカニズムに関してもまだ完全には解明されていない部分があると言われています。

 

ただ治療法に関してはある程度確立されており、5mm以下の小さな結石の場合、食生活の改善や多量の水摂取によって大幅に改善されることも多いようです。

 

しかし、これら通常の結石とは異なり自己免疫疾患「シェーグレン症候群」によって引き起こされる結石もあります。

 

この場合、血液と尿が酸性化を起こし、食事改善だけでは治癒されることがないため、シェーグレン症候群の特徴である「慢性的な乾燥症状やだるさ」を感じた場合、一度尿検査・免疫検査を受けることが薦められています。

 

「シェーグレン症候群」とは、全身の乾燥症状を伴う自己免疫疾患

「シェーグレン症候群」とは、主に体の中の腺細胞が免疫細胞によって攻撃されるという自己免疫疾患のことを言います。

 

腺細胞とは、涙腺・唾液腺・鼻の粘液腺などを指し、これらが傷害されることによって慢性的な乾燥症状(目の乾き・口の渇き・皮膚の乾燥など)が生じます。

 

シェーグレン症候群は、他の自己免疫疾患と合併しない限り、生命に関わるような重篤な症状は起こらないものと考えられています。

 

そのため、よく見られる症状には「なんとなく疲れやすい」「目が重く疲れる」などの不定愁訴が主であり、ストレスや加齢、精神的な疲労が原因であるという診断を受けることも多いといいます。

 

■主な症状

・眼症状(目が疲れる、ゴロゴロする)

・口腔症状(ドライマウス、味覚がなくなる、口唇や口角がひび割れる、口内炎ができやすい)

・関節痛(両側性に、周期的にあらわれる)

・膣乾燥症(悪化すると膣炎の原因)

 

■その他(全体の2-3割に見られる)

・呼吸器症状(粘液がする粘稠性を増し気道を閉塞する、風邪に罹りやすくなるなど)

・血管炎(レイノー症状、出血斑、色素沈着など)

・腎臓(尿を濃縮障害による頻尿、血液酸性化(尿細管性アシドーシス)による腎結石、心臓や筋肉の収縮(こむら返りなど)、神経伝達障害)

・その他(不定愁訴など)

 

シェーグレン症候群による結石形成の仕組みは?

シェーグレン症候群における尿路・腎結石は、その発生の機序として「遠位尿細管性アシドーシス」という血液・尿の酸性化によって引き起こされます。

 

遠位尿細管とは、尿細管の中でも糸球体(血液ろ過を行う部分)から遠い部分にある管をいい、ここに何らかの障害が起こることによって、体液の酸性化をになう「水素イオン(H+)」が正常に排泄できず血液の酸性化を起こします(=アシドーシス)。

 

それに伴い、アシドーシスを正常化するために代償的にカルシウムが溶け出し、高カルシウム尿症となります。これによる「腎石灰化」や骨が溶け出すことによる「骨軟化症」を合併することもあります。

■血中濃度が高くなる物質

・水素イオン(H+)

 

■尿中濃度が高くなる物質

・カルシウムイオン(Ca+)

・カリウムイオン(K+)

 

各検査方法

遠位尿細管性アシドーシスは以下の検査方法によって調べることができます。

 

・血液ガス分析

原因不明の代謝的なアシドーシス(血漿HCO3低値および血液pH低値)が見られる。

 

・尿pH

尿pH5.5超が確認される(正常な腎では、アシドーシスを解消させるために発症後6時間以内に尿pHを5.2未満に低下させる機能があるが、この疾患ではpH5.5より下がらない)。

(※ただし、軽度の場合は尿pH>6.0にもなりうる)

また、シェーグレン症候群の検査方法は以下のものがあります。

 

・血液抗体検査

抗Ro/SS-A抗体陽性、抗La/SS-B抗体陽性

(その他、眼科涙液と口腔唾液検査など)

 

治療方法

遠位尿細管性アシドーシスの主な治療方法は、アルカリ療法によるpHと電解質平衡を是正することによって行われます。

 

・成人に対して、NaHCO3(重曹)またはクエン酸ナトリウム(0.25-0.5mEq/kgを経口にて6時間毎)を投与する。

 

また、シェーグレン症候群による腎臓への障害を抑制するためには、以下の薬剤が投与されます。

 

・プレドニゾロン内服(ステロイド剤)など

 

以下は、シェーグレン症候群に伴う遠位尿細管性アシドーシスの治療症例報告です。

■シェーグレン症候群にともなう遠位尿細管性アシドーシスがステロイド剤とアルカリ療法で改善したという症例(臨床神経 2010;50:168-171)

【症状】

アトピー性皮膚炎、尿管結石、低K血症の既往歴、口腔と眼の乾燥の自覚症状のある31歳女性が、視神経炎とTh2レベルの横断性脊髄症を発症し、病院へ搬送された。

 

検査結果から、シェーグレン症候群と尿細管性アシドーシスを合併した視神経脊髄炎(NMO)と診断された(抗アクアポリン抗体:約13万倍、SS-A,B抗体:約500倍、低K血症、代謝性アシドーシス、両側腎石灰化など)。

 

【治療と結果】

・治療は、「ステロイドパルス療法、血液浄化療法、プレドニゾロン20mg内服」を行い、寛解導入と再発予防に有効であった。

・遠位尿細管性アシドーシスと低K血症に対しては、K製剤と重曹の内服投与により対症的治療をおこなった。

 

このように、シェーグレン症候群にともなう遠位尿細管性アシドーシスの場合、通常と治療法が異なるため、注意が必要です。

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-04掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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