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関節痛・腰痛

胃薬の「ガスター錠」が石灰沈着を溶解させる可能性?石灰沈着性腱板炎による痛みを改善

medications-257344_640.jpg胃酸の過剰分泌を抑える「H2ブロッカー」には、その他の作用として「異所性石灰化(骨以外の正常組織にカルシウムが沈着してしまうという症状)」を抑制する働きがあることは、以前より明らかになっていたようです。

 

ただ近年、その中でも比較的新しい薬である「ガスター(一般名:ファモチジン)」にも同様の効果が認められたことが報告されています。

 

ガスターは、H2ブロッカーの中でも最も古い「タガメット(一般名:シメチジン)」に比べて効果が穏やかであり、そのため副作用である「代謝酵素阻害」や急に投与を中止した際に起こる「反跳現象(リバウンド)」が軽減されており、安全性が高く使いやすいと考えられています。

 

「ガスター」は一般的な胃酸分泌を抑える薬

ガスターは胃薬の中でもH2ブロッカーという種類に属し、胃壁細胞にあるヒスタミン2(H2)受容体をブロックすることで胃酸の分泌を抑える働きがあります。これにより、胃炎や胃潰瘍などの治療薬として広く用いられています。

 

一方で、ガスターには「異所性石灰化の溶解作用」が認められており、近年では整形外科などで関節痛の緩和などに用いることもあるようです。

 

ガスターの石灰沈着抑制のメカニズムとは?

石灰沈着の中でも、ガスターに有効性が多く認められているのは「石灰沈着性腱板炎」に対してです。

 

石灰沈着性腱板炎は、肩関節や股関節の腱板にカルシウム塩が沈着し、炎症が生じるという疾患ですが、出来てしまった石灰沈着を取り除く手段は、現在のところH2ブロッカー以外には外科的治療法しかないと言われています。

 

■石灰沈着性腱板炎の発症メカニズム

石灰沈着性腱板炎の発症メカニズムは、組織の酸素分圧低下により腱の線維軟骨への変性が起こりその周囲が石灰化するため、という報告があります。

 

■H2ブロッカーの石灰沈着抑制のメカニズム

H2ブロッカーの石灰沈着抑制のメカニズムについては、「副甲状腺細胞に存在するH2受容体に作用し、パラソルモン(PTH:血中カルシウム濃度を上げるホルモン)分泌抑制することによる」という説が有力であるようです。

 

ただある研究では、原発性副甲状腺機能亢進症患者にH2ブロッカーを投与したところ、PTHに影響を及ぼさなかったという報告もあります(PMID: 7291105/PMID: 7072452)。

 

また以下の文献では、石灰化腱炎改善の機序は「オステオカルシンなどの骨化に関わる因子のmRNA発現を抑制することによる」という報告もあります。

■ファモチジンが石灰化に関わる遺伝子発現を抑制したという実験結果(PMID: 22592911) 

【実験内容】

石灰化腱炎へのH2ブロッカーの効果と作用機序を調べるため、培養細胞(腱由来細胞株、前骨芽細胞株)と石灰化モデルマウスにファモチジンを添加した。

 

【結果】

・ファモチジンは両細胞株において、骨化マーカーであるCol10a1やオステオカルシンのmRNA発現を抑制した。

・異所性骨化のモデルマウスにファモチジンを投与すると、アキレス腱石灰化の抑制が確認された。

 

H2ブロッカーの石灰沈着抑制効果に関する研究結果

ガスターやタガメットの石灰沈着抑制効果について、文献を検索したところ、以下のような結果が報告されていました。

 

■石灰沈着に罹患した2例へのファモチジン投与は、石灰消失または疼痛改善に繋がったという結果(H2ブロッカー・ファモチジンが著効した肩石灰沈着性腱板炎の2例)

【症例報告 要旨】

右肩関節の石灰化病変を認めた60歳女性に対し、ファモチジン40mg/日を投与したところ、急速に疼痛が改善し、X線写真上石灰病変の完全な消失を認めた。

 

また、もう一例に関しては、コントロール不良の左肩石灰沈着性腱板炎を罹患した75歳男性に対しファモチジン40mg/日を投与したところ、急速に疼痛が改善した。一方X線写真上、石灰病変の縮小や完全な消失を認められなかった。

 

■シメチジン投与が、約80%の慢性石灰化腱炎患者のカルシウム沈着を改善し再発抑制したという試験結果(PMID: 12772145 )

【試験内容】

保存的治療に6ヶ月以上反応しなかった慢性石灰化腱炎患者16人に対し、シメチジン200 mg(1日2回×3ヶ月間)経口投与を行い、その効果を調べた。

 

【結果】

□痛みについて

・ピーク時の疼痛スコア(最小0~最大100)は、平均63から19まで有意に減少した。

・うち10人の患者(63%)に関しては、痛みが消失した。

 

□物理的な障害について

・可動域も大幅に向上した。

 

□カルシウム沈着について

・カルシウム沈着は、9人の患者(56%)で消失し、4人の患者(25%)で減少、3人の患者(19%)では変化が見られなかった。

・カルシウム沈着の再発または拡大は観察されなかった(改善は持続した)。

・カルシウムと副甲状腺ホルモンへの副作用(血漿濃度の変化)は有意な変化は認められなかった。

 

このように、H2ブロッカー投与によって、効果に個人差はあるようですが、比較的大きな石灰沈着の改善効果が見られる可能性があるようです。

 

ただ、ガスターは副作用が少ない薬ですが、免疫系に関してはTh1(臓器特異性自己免疫疾患などに関与)を増強させる可能性があるため、注意が必要です。

(photoby:pixabay

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-05掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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