育児
多くの赤ちゃんに起こる新生児黄疸!なぜ起こる?注意すべき黄疸の症状は?
生まれてきたばかりの赤ちゃんは、体調が変化しやすいものです。
まだ小さい赤ちゃんの体調が急変したら、ママパパは心配ですよね。
そんな体調の変化のひとつにあるのが「新生児黄疸」です。
いざという時に慌てないために、新生児黄疸について知っておきましょう。
新生児黄疸って何?
小さい赤ちゃんがいる場合、赤ちゃんの黄疸について聞いたことがあるかもしれません。
あるいはうちの子はなったことがある、もしくは自分が新生児のときになったらしいというケースもあるでしょう。
たいそうな名前のようですが、珍しい病気というわけではありません。
新生児黄疸は生まれたばかりの赤ちゃんに起こりうる症状で、黄疸という文字から分かるように、皮膚などが黄色っぽくなります。
黄色っぽくなるのは体の中の黄色い色素が関係しています。
簡単に言えば、体の中のビリルビンという黄色い色素を持つ物質が増加して起こります。
血中のビリルビン濃度が高くなるので、高ビリルビン血症とも言われます。
血中のビリルビン値が1.2mg/dl以上になった状態で、2.02mg/dl以上になると肌などが黄色っぽく見えます。
新生児で見られるこの状態を、新生児黄疸と言います。
問題のない新生児黄疸が多いですが、いろいろと種類があり、注意が必要な黄疸もあります。
新生児黄疸はなぜ起こるのか?
大人の場合、いきなり肌の色などが黄色っぽく変わったら、びっくりします。
けれども新生児の場合、この新生児黄疸はよく見られます。
どうしてこの新生児の黄疸がみられるのでしょうか?
・生理的な反応
黄疸の原因となるビリルビンは、血中の赤血球が分解されると発生します。
ただし、通常は肝臓で処理されるのでビリルビン値が上がることはありません。
一方で新生児の場合、赤血球が非常にたくさんあります。
そして生まれてくると同時に、多くの赤血球が分解されます。
新生児の場合、まだ肝臓の働きが十分ではありませんので、処理が追いつきません。
このため、一時的に血中のビリルビンが増加してしまい、黄疸の出てしまいます。
・母乳が原因で起こる
完全母乳の赤ちゃんで起こる種類の黄疸もあります。
これは「母乳性黄疸」という黄疸で、血液からできた母乳を飲んでいるために起こります。
・ビリルビン値はどうやって調べるの?
いずれにしても新生児黄疸を調べるためには、新生児のビリルビン値を測ることが必要です。
新生児の場合には、経皮的ビリルビン検査という方法で皮膚の上から測定することができます。
新生児黄疸の症状&期間
実際に新生児黄疸が起こった場合、どんな症状がみられるのでしょうか?
また、その症状はどれくらいの長さ続くものなのでしょう?
・生理的な黄疸の場合
生理的な反応によって新生児黄疸が起こっている場合、赤ちゃんの白目の部分や肌が黄色く黄疸がみられます。
これは生後2、3日すると黄疸があらわれ、1~2週間ほどで消えていきます。
・母乳性黄疸の場合
生理的な黄疸と同じような症状が2週間以上続く場合には、母乳性黄疸が考えられます。
母乳性黄疸は生後から3週間~1ヶ月ほど続くことがあります。
長く続いても生理的な黄疸と同じで、徐々に消えていくのが一般的です。
母乳をよく飲んでくれて、おしっこやうんちに問題がなければあまり心配いりません。
こんな黄疸には注意!
・ママとベビーの血液型が違うことでおこる黄疸
ママと赤ちゃんの血液型が異なることで起こる黄疸もあります。
「新生児溶血性黄疸」といい、赤ちゃんの赤血球に対する抗体がママの体の中でできてしまい、抗体が赤ちゃんの赤血球を分解してしまって起こります。
ママと赤ちゃんの血液型の違いから起こる黄疸の場合、生まれてすぐに黄疸の症状や貧血の状態が確認できます。
この新生児溶血性黄疸の可能性がある場合には治療が必要ですが、生まれてすぐに症状が出るので、ほとんど病院で見つけられます。
・脳の神経細胞が破壊される黄疸
「核黄疸」という新生児黄疸があります。
生理的な新生児黄疸でビリルビンが高い状態が続くことで、ビリルビンが脳に蓄積してしまい、脳の神経細胞が破壊されます。
核黄疸の場合には、生後3、4日頃に「元気がない」「おっぱいの飲みが悪い」などの症状が見られます。
この時にはまだ入院中ですから、病院で核黄疸の可能性に気付いてもらえるケースが多いです。
核黄疸になると治療が必要です。
この時に早期に気付いて治療を開始すれば、ある程度の回復を見込めます。
しかし、3日以上すぎてしまうとけいれんなどの重篤な症状が起こります。
また、1週間以上過ぎるとだらんとして筋肉の緊張が少なくなります。
こうなると脳性まひが起こったり、後遺症が残ることもあり、場合によっては死亡の原因にもなります。
・胆道閉鎖によって起こる黄疸
白っぽいうんちが出る場合には、「胆道閉鎖症」によって黄疸が出ている可能性があります。
胆道は肝臓と十二指腸を結ぶ道で、この道が閉じていることで、肝臓で作られたビリルビンがうまく十二指腸に流れません。
生理的な黄疸が落ち着く時期を過ぎても黄疸の症状があり、白っぽいうんちが出る場合にはこの病気が疑われます。
治療が必要な場合の治療法
生理的な黄疸などならば、治療の必要はありません。
しかし、黄疸の原因に病気などがある場合には治療が必要です。
その場合、どんな治療法があるのでしょうか?
・2割くらいの子に治療が必要
例え生理的な黄疸だったとしても、放っておくことで核黄疸のような命にかかわる状態になる可能性もあります。
新生児黄疸は新生児の9割以上に現れるとされていますが、黄疸が出た新生児の2割に治療が必要と言われます。
入院中の赤ちゃんならば、毎日ビリルビン濃度を計測し、結果に問題がある場合には血液検査が行われます。
通常生後4~7日がビリルビン値のピークで、その後徐々に下がっていきます。
高い状態から下がらない場合には、治療が必要と判断されます。
他にも、あまりにもビリルビン値が高い場合などにも治療の対象になります。
・光線療法
日光や蛍光灯の光に当たることで、血中ビリルビン値の濃度が下がることが確認されています。
その時に行われるのが光線療法です。
赤ちゃんはオムツ一枚で、アイマスクをつけて青や緑色の光が当てられる保育器の中に入れられます。
おむつ替えや授乳以外は、この保育器の中で24時間過ごすことになります。
この後、再びビリルビン値を測定して、改善されていれば治療は終わりです。
改善されていなければ追加で治療を続けることもあります。
ちなみに日光浴では劇的な治療効果は得られないので、きちんと光線療法として行うことが必要です。
・交換輸血
光線療法で効果が得られない場合や、非常にビリルビン値が高い場合、急に値が上昇した場合などには交換輸血という治療方法もあります。
より緊急的にビリルビン値を下げると判断された場合の方法です。
黄疸は血中のビリルビン値が上昇して起こっているものなので、その血液を輸血によって入れ替える処置をします。
・胆道閉鎖症の場合の治療
胆道閉鎖の場合は元々の原因を解決しなければいけません。
血液検査や腹部エコーによって病気が判明したら、治療することができます。
主に外科的な手術になり、閉鎖してしまった胆道を取り除いて肝臓と腸管を直接くっつけます。
場合によっては肝臓自体を移植することも必要です。
最後に
新生児に起こる黄疸は決して珍しいものではありません。
ただ、誰にでも起こるとはいっても放っておいていいものではありませんから、日々注意深く観察しましょう。
焦らず、油断せず、何かあったらすぐに産院に相談して、赤ちゃんを見てあげてください。
(Photo by:写真AC )
著者: カラダノート編集部