妊娠・出産
時に危険な状態になることも!妊娠中や分娩時に起きる産科ショックとは
出産は新たな命の誕生ですが、時に死と隣り合わせになることもあります。
よく、医療現場で「ショック状態」と言われますが、分娩においてもショック状態になることがあるんです。
ショック状態とは、抹消組織への血液量が減少し、臓器や組織の機能に障害をきたすことをいいます。分娩における「産科ショック」とはどのような状態なのでしょうか。今回は、産科ショックの特徴・原因をまとめました。
産科ショックとは?
ショック状態になると、体液が異常に失われる、心臓のポンプ機能低下されます。そのため身体への血液と酸素の供給ができなくなってしますのです。
その結果、全身の臓器が働かなくなり、急速に死に至る重篤な病態になることがあります。このような状態が産科領域(妊娠・分娩など)によっておこることを、「産科ショック」といいます。
産科ショックの特徴は?
産科ショック内の約90%は出血性ショックです。大量に出血したことが原因で、ショック状態に陥ってしまうことを指します。
また母体が危険にさらされている時は、何らかの原因で血液を固める物質が多量に使われてしまい、出血部分の血液が止まらなくなる「播種性血管内凝固症候群(DIC)」を併発することが多くなります。
出血性ショックやDICになった場合でも、迅速に対応することが重要で、そのタイミングが母子両方の命を左右すると言われているのです。
産科ショックの原因は?
前述した通り産科ショックの約90%は、出血をしたことでおき、約10%は非出血性が原因で発生します。またどちらの場合でも引き起こされる原因も様々です。
もしこれらの症状がおきた場合は、医師の的確な判断を仰ぎ、安静にしているようにしましょう。
出血性ショック
○妊娠初期・・・流産、子宮外妊娠
○妊娠中期以降・・・前置胎盤、常位胎盤早期剥離
○分娩・・・子宮破裂、子宮内反症、弛緩出血、子宮頸管破裂、癒着胎盤
非出血性ショック
○羊水塞栓症
○肺血栓塞栓症
○臥位低血圧症候群
○敗血症(産褥熱など)
産科ショックの治療は?
まず、ショックの原因となる疾患を治します(例えば出血であれば、血を止める)。
それに合わせて、輸液や輸血、投薬、必要であれば挿管など全身の管理を行います。
産科ショックは、誰もが予期せずに起こります。そのため、ショック状態になった時には素早い対応と治療が必要です。
命を救うのは迅速な治療
もしあなたが産科ショックを引き起こしている時、冷静な対応が必要なのはご家族です。いざという時にそなえて、ご家族に産科ショックのことを伝えるようにしましょう。
産科ショックは、きちんと対処すれば助かる可能性もあります。医師や看護師の指示に従い、早急に治療できる環境にしてあげることが、何よりもお母さんと赤ちゃんのためになります。
正しい判断と冷静な対応で命を守っていきましょうね。
(Photo by:https://www.photo-ac.com/)
著者: カラダノート編集部