ガン・悪性腫瘍
骨髄増殖性疾患の4つのタイプ・治療法は血抜き!?骨髄増殖性疾患
骨髄増殖性疾患とは、簡単に言うと血液が増えすぎてしまう病気です。血液が増えすぎてしまうことで出る症状で、重篤なものは血栓ができやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞になりやすいというものがあります。
骨髄増殖性疾患には大きく4つの病態があります。
真性多血症
血液に含まれる成分、赤血球、白血球、血小板などすべての細胞が増殖します。症状は出ない場合もありますが、出る場合は、頭痛、めまい、ほてり、のぼせ、耳鳴り、入浴後に全身のかゆみなどの症状が出ます。
血栓、出血などの症状も起こる場合があり、その場合は症状は重篤になりやすいので、注意が必要です。
慢性骨髄性白血病
白血病の一種で、白血球が増殖します。白血球の種類の中の顆粒球という細胞が増殖します。
通常白血球は成熟した段階で骨髄から出ますが、この病気の場合未成熟な状態の白血球が骨髄から出てしまいます。
症状としては全身の倦怠感、無気力、夜間の寝汗、体重減少、脾臓の肥大などがあります。
本態性血小板症
血小板が増殖します。血小板が増えることで血液が凝固しやすくなるために血栓が生じやすくなります。逆に凝固機能が欠乏し、鼻血や青あざなどの症状が出ることもあります。
また、頭痛を訴える人が多くいます。症状が出ないことも多くあります。
原発性骨髄線維症
現象としては、真性多血症、本態性血小板と同じことが起こります。血液成分が増殖することで、サイトカインなどの炎症誘発物質が分泌され、骨髄がしだいに線維化していく症状をいいます。
線維化した骨髄からは血液が作られなくなってくるため、次第に貧血などの症状が出るようになります。
この症状の根治療法は骨髄移植のみです。
このように一言で骨髄増殖性疾患といっても、さまざまな病態があります。また、一つの病態であったものが進行して別の病態になるなど、症状のあらわれかたは様々です。
いずれも進行すれば命に関わる病気ですので、健康診断の血液検査などを定期的に受け、血液に異常がないかをチェックしておくのがいいでしょう。
50種類以上に分かれる軟部肉腫!痛みがないしこりに要注意!軟部肉腫とは?
ガンが出来る部分は臓器だけではなく胸膜や腹膜などの膜(膜に出来たガンを悪性中皮腫と呼びます)、そして血液に出来るガン、体の筋肉や脂肪にできるガンまであります。
体の筋肉、脂肪など柔らかい部分に出来るガンのことを軟部肉腫と呼んでいます。
●50種類以上に分かれる軟部肉腫
軟部肉腫は脂肪、筋肉、血管などに出来るガンですのでひとつの臓器に出来るガンとは異なり、体のあらゆる場所に出来る可能性があります。
そのことから種類も細かく分けると50種類以上にもなるのですが、大きく分ければ平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫といったように筋肉、脂肪の種類で分けます。
もっとも多いのは悪性線維性組織球種で発生頻度は26%、次に多いのは脂肪肉腫で発生頻度は23%となっています。
発症年齢はほかのガンと同じように40代以降が多いです。
●痛みのないしこりが特徴
軟部肉腫のうち発生頻度において第1位と第2位を占めている悪性線維性組織球種と脂肪肉腫は両方とも太ももに出来やすいこともわかっています。
特徴的な軟部肉腫の初期症状は痛みのないしこりで、なんだか触ると変だけど特に周囲も含めて痛みはないので放っておいたらガンだったというケースも少なくはありません。
腫瘍が大きくなると痛み出しますが、痛みのないうちに発見して治療できればもっともよいです。
軟部肉腫は脂肪や筋肉などに出来るガンのことで、しこりが見られます。
太ももを中心として痛みのないしこりがある場合は病院で詳しい検査を受けて、出来るだけ早めに治療を開始するのが良いでしょう。
ほかのガンと同じように治療では外科治療(手術)、化学療法、放射線療法などでガンをなくしていきます。
国立がん研究センター中央病院の治療例では脂肪肉腫の5年生存率は86%となっています。
骨肉腫!悪性骨腫瘍の半数を占める骨肉腫癌と30種類以上ある軟部腫癌
転移がなければ半数以上が治る「骨肉腫」
骨肉腫は、悪性骨腫瘍のほぼ半数を占めています。
発生部位では大腿骨が50%以上で最も多く、次いで脛骨(すねの骨)が約20%です。
10~20代の育ちざかりに好発し、2:1で男性に多く見られます。発生頻度は稀です。
かつては大半が発見から1~2年で死亡していましたが、抗がん剤治療の進歩によって、現在では、見つかったときに転移が明らかでなければ、半数以上が治るようになってきました。
症状
初期は、運動後などにときどきかすかな痛みを感じる以外、自覚症状はありません。
進行すると痛みが増し、安静にしていても我慢できないほど痛むようになります。
腫瘍部が腫れて赤みを帯び、熱を持つこともあります。
この前後から、関節が曲がりにくい、骨折しやすいなどの異常があらわれます。
肺に転移しやすく、その場合にはせきやたんもみられます。
治療
外科療法と化学療法が中心です。
抗がん剤がよく効くため、まず抗がん剤治療を数回行って、腫瘍を小さくしてから、手術をすることもよくあります。
放射線は効きにくいのですが、術中照射でよい成績が出ています。
また最近、重粒子線治療が有効という報告もあります。
転移しやすいものでも治癒率は60%「軟部肉腫」
筋肉や脂肪、靭帯、滑膜、神経などを軟部組織といい、そこに生じる腫瘍を軟部腫瘍と呼びます。
軟部肉腫は軟部腫瘍のなかで悪性のものをさします。
軟部肉腫には30種類以上あります。
悪性線維性組織球腫は高齢者に発生しやすく、大腿部にできることが多いものです。
平滑筋肉腫も高齢者に多く、好発部位は後腹膜と腸間膜です。
脂肪肉腫は40~50歳代に多く、大腿部に好発します。
線維肉腫も発生しやすいのは40~50歳代で、主に手足以外の体幹部に生じます。
その他、若年者に多い滑膜肉腫や悪性神経鞘腫、小児に多い横紋筋肉腫などがあります。
症状
肉腫は通常、かたく弾力がありますが、脂肪肉腫は比較的やわらかいのが特徴です。
主な症状は、痛みのないしこりで、皮膚の表面近くにできた場合は触れることができます。
しこりが大きくなる速度はさまざまで、大きくなると神経を圧迫して痛むことがあります。
治療
手術で腫瘍を完全に切除しなければなりません。
抗がん剤による化学療法や放射線療法が有効な場合でも、手術は必要です。
このようなケースでは、化学療法や放射線療法により、腫瘍を小さくしてから手術をすることもあります。
最近では重粒子線治療で効果がみられたという報告もあります。
手術で腫瘍組織を切除する際には、腫瘍から十分な距離をおいて切除する必要があります。
腫瘍が骨や神経、血管を巻き込んでいるケースでは、これらを一緒に切除しなければなりません。
その場合は、骨や神経、血管を他の場所から移植したり、血管を人工血管に置き換えたりすることがあります。
手術で、腫瘍を完全に取り除くことができないと判断される場合は、やむをえず切断術や関節を切り離す離断術を行います。
現在では、約90%は手足を切断しなくてもよいようになってきています。
転移の危険性がある場合は、手術後も一年ほど化学療法を行います。
がんの3つの特徴って?自律性増殖・湿潤と転移・悪液質とは
今や、日本人の死亡率のトップ3に常にランクインしているがんという病気は誰でも知っています。
がんになった知人がいるという方も多いかもしれません。
そんながんには3つの特徴があります。
●自律性増殖
がんは自律性を持って、つまり私たちの意思ではどうしようもできない形で勝手に増殖していきます。
がん組織は止まることなくどこまでも増殖して次々に転移しようとするため、体に様々な問題が起こるとされています。
●湿潤と転移
がん細胞は染み出るように広がることで知られています。
染み出るように広がることを湿潤と呼んでいます。
そして転移はそのままの意味で、体中のいたるところにがん細胞は転移していきます。
新しいがん細胞があっという間に出来てしまうので、がんの治療も転移が見られる場合はがんとの追いかけっこのようになってしまう可能性もあります。
●悪液質
悪液質はがんの最も大きな問題だと言われています。
がんは腫瘍の一種ですが、がんとは違う良性腫瘍はこの「悪液質」という特徴を持っていません。
悪液質とは何かというと、体が必要とする分の栄養をがん細胞が取ってしまう病態のことです。
本来は体に与えられるべき栄養をがん細胞が横取りしてしまうので、体はどんどん衰弱してしまいます。
そして自律性増殖、湿潤と転移、悪液質で大きくなったがんは、体を内部から圧迫して問題を起こします。
胆道がん、消化器官のがんでは、圧迫によって腸閉塞や黄疸などの問題が起こります。
また、がんは免疫の抑制もするので感染症の懸念もあります。
治療法は血抜き!?骨髄増殖性疾患
骨髄増殖性疾患とは、簡単に言うと血液が増えすぎてしまう病気です。血液の量を一定に保つ機能が働いていないために、血をどんどん作り出してしまいます。
骨髄増殖性疾患を患っているだけでは、がんではありません。症状も特に無いのですが、血液の量が多くつまりやすいので、血栓などを起こしやすくなります。
この病気の治療法としては、この疾患のため引き起こされる血栓による梗塞などの合併症を予防することが第一になります。
骨髄増殖性疾患の治療法
基本的にはお薬を飲む
血液が固まりやすくなるとそれだけで血栓が生じやすくなるので、血液を固まりにくくするお薬を服用します。アスピリンというお薬なのですが、このお薬は血小板が凝集するのを抑制します。
瀉血(しゃけつ)
瀉血とは血を抜くことです。瀉血をして血液の量を減らします。赤血球の濃度を一定の濃度まで下げることが目的です。
濃度が濃くならないように、同時に水分摂取も行います。瀉血は輸血と同じ方法で血液を抜き取ります。輸血と違い、抜き取られた血液は破棄されます。
増えすぎたのなら抜けばいい。確かにそのとおりです。
上記で効果がない場合は抗がん剤
上記の二つの治療を行って効果が得られない場合は、化学療法といって、いわゆる抗がん剤治療を行います。
しかしがんに進行してしまうリスクもあり、副作用とのかねあいで治療していくことが多いです。治療費も高くなってしまいます。
瀉血療法といって、古くから血を抜き去る治療というのは民間療法でもあった療法のようです。現在、医学では血を抜き去って効果が出る病気は限られているという認識ですので、なんでもかんでも血を抜けば言い訳ではありません。
しかし骨髄増殖性疾患には効果のある治療法ですので、医師の指導のもと治療をすすめても大丈夫でしょう。
原因不明?原発不明がん
原発不明がんとは臨床的に注意深い全身検査や経過観察を行っても原発巣が同定できない腫瘍を指します。
起こり得る症状
倦怠感の持続やリンパ腫の腫脹、改善しない疼痛などがきっかけで受診する患者が多いです。
以下の特徴がみられます。
・固形がんの3~5%を占める
・特定の治療に反応するサブグループが存在する
・予後はおおよそ7~10か月である
・組織学的には大半が腺がんまたは未分化がんである
基本的な治療法
特定の治療に反応するサブグループに属する場合はそれぞれに応じた治療を行います。
サブグループに属さない原発不明がんに対しては白金製剤をベースにした併用化学療法が行われています。
他の症状への対応
最も可能性の高い原発部位を予測して早期に治療が開始されますが、並行して疼痛などの症状もコントロールされます。
骨転移がある場合は放射線療法が開始されることもあります。
原発不明がん患者は受診するまでの間に十分すぎるほど我慢を重ねていたケースが多く、入院後の痛みに対しても「これくらいは大丈夫です」と我慢される人もいます。
痛みは取り除けること、そのためには我慢せずに言ってほしいことなどを説明し、共有できる目標を作ることも大事ですね。
痛みなどの身体的症状だけではなく精神的なケアも必要になります。
photo by:http://www.ashinari.com/2011/01/19-344825.php?category=393
著者: カラダノート編集部