育児
乳糖不耐症~症例から対処法を学ぶ
乳糖不耐症とはどんな病気か?
乳糖不耐症とはどういった病気なのか、病名を聞いただけでは、ピンと来ない方も多いのではないでしょうか?
この病気は、生まれつき、または二次的に乳糖(牛乳に含まれる糖質)を消化する分解酵素が少ない、もしくは持たない人のことを言います。
消化されずに腸管に蓄積した乳糖は、腸内細菌の働きにより、脂肪酸と炭酸ガスになり、それが腸を刺激します。また同時に腸内に水分を引き寄せ(浸透圧)それが下痢を引き起こします。
原因は何か?
乳児の場合は、風邪などのウイルス感染の後、腸粘膜が傷害されて、酵素活性を失うことによる場合が多いです。この場合は、しばらく小腸を休ませておくことで、活性は元に戻ります。
治療法はどのようなものがある?
可能な限り、乳糖を含む食物を採らないことが第一です。乳製品であれば、含有成分の何割かを分解したものであれば摂取可能です。
乳児には、乳糖不使用の治療乳を与えるのが一般的です。感染などの後に発症する、一過性の二次性のものであれば、乳糖分解酵素を処方する場合もあります。
症例から対処法を考える
インターネット上で投稿されていた方で、乳糖不耐症に関して、こんなお悩みを書かれていました。
「10ヶ月になる息子がいるのだが、風邪を引いてしまい、耳鼻科にいったところ、数日後に1日5回の下痢になってしまった。その後血便が出たので、小児科で相談したら整腸剤をもらったが、一向に下痢は治らなかった。その後自分で乳糖不使用の治療乳を買い、与えたがゆるい便であることに変わりはなかった。そして別病院で乳糖分解酵素製剤をもらい飲んでいたのだが、一度だけやめてミルクを飲ませたところ、今度は1日8回もの下痢になった。こんなに乳糖不耐症が1ヶ月も続くことがあるのだろうか?」と不安に思われているということでしたが…
<ポイント>
・市販の乳糖不使用の治療乳を購入し与えたが、ゆるい便には変わりなかった。
・乳糖分解酵素製剤を別病院で処方してもらっていたのだが、一度止めると前よりひどい下痢になっていた。
・下痢が始まってから1ヶ月程度続いているので不安。
それに対し小児科の先生はこう答えています。
「治療方法が中途半端なので、下痢が長引いているのかもしれない。
乳糖分解酵素製剤は、治療上必要だと思っていないので使っていない、一旦、母乳を中断して、乳糖不使用の治療乳に切り替えてみるべきではないか?」
ということです。
<対処法要約>
・乳糖不使用の治療乳をもう少し継続して、様子を見ながら使っていく必要がある。
・乳糖分解酵素製剤は無くても治療が成立するので使用しない
最後に
乳糖不耐症の治療としては、一般的に母乳の代替品として乳糖不使用の治療乳を使うようですが、この期間が長引いたとき、母乳の成分中含まれる免疫物質を損失してしまうことが少し気にかかるところです。しかし、二次性の場合は、いずれ完治するということを思い、焦らずに日々様子を見ながら治療することが重要だそうです。
今同じような悩みをもつ方は、腰を据えて治療に取り組むことが必要そうです。
しかし、いつもと違う、異変だと思った時はお医者さんに行くことも必要です。
(Photo by:http://pixabay.com/static/uploads/photo/2012/12/24/08/39/baby-72224_640.jpg?i)
著者: カラダノート編集部