気になる病気・症状
肺炎はうつるってほんと?!知っておきたい「肺炎」の種類と感染有無
肺炎がうつるなんて、不思議に思うかもしれません。しかし、肺炎にもいろいろ種類があります!ここでは、知っておきたいさまざまな肺炎についてご紹介します。
肺炎はうつる?
肺炎には、うつる肺炎とうつりにくい肺炎があります。
うつりにくい肺炎の代表としては、風邪をこじらせてしまって起こる肺炎や、誤嚥(ごえん)によって起こる肺炎があります。
うつる肺炎の代表は、インフルエンザ肺炎、肺炎球菌による肺炎、SARS(サーズ)、それからマイコプラズマも飛沫感染すると言われています。
・インフルエンザ肺炎
インフルエンザウイルスが気道に感染することで起こります。
・肺炎球菌による肺炎
健康な人の口や喉にも見つかる肺炎球菌は、そのまま発症しない人もいますが、体力や免疫力が落ちた時などに感染します。
子どもやお年寄りに感染した場合は命の危険があります。
・SARS
重症急性呼吸器症候群のことで、SRASコロナウイルスに感染し、息切れや呼吸困難、肺炎の症状があらわれる病気です。
・マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎は、オリンピックと同じ4年周期で流行する病気です。
うつる肺炎の判断
今、あなたに肺炎らしき症状が出ていたとします。
以下の条件に当てはまる時は、それが感染力の強い肺炎かもしれません。
・風邪をこじらせていない
・学校や会社などでインフルエンザやマイコプラズマなどになった人がいた
・うつらない肺炎に有効な薬が効かず、空ぜきや熱が続いている
呼吸困難などの症状が出てしまえば、すぐにでも病院に行かざるを得なくなります。でも、徐々に症状が悪化してくる場合は、踏ん切りがつかずに、かなり重度になってから病院に行く方が多くみられます。
仕事をしていると、尚更行きづらいとは思います。しかし早く治すため、感染拡大を防ぐためにも、早めの受診をおすすめします。
肺炎ってどんな病気?知ってるようで知らない肺炎について
日本人の死亡原因の上位にある肺炎ですが、どのような病気でしょうか。その種類と主な症状などをご紹介します。
肺炎とは
肺炎とは肺におきる炎症の総称ですが、風邪のとの違いは感染源と感染する場所です。
風邪は風邪ウイルスにより鼻やのど、気管支などに炎症がおきる病気で肺炎は細菌で感染することが多く、ほかにも風邪ウイルス・誤嚥(誤って気管内に異物が入り込んでしまった状態)などの原因によって肺に炎症が起きる病気です。
肺炎の種類
肺炎の種類は大きく2つに分けることができます。
・市中肺炎
・院内肺炎
市中肺炎の感染力は強く、通常の生活を送っている健康な人も感染してしまう肺炎です。
院内肺炎の感染力は弱いのですが何らかの病気で入院している、つまり免疫力が下がっている人に感染してしまう肺炎です。
肺炎の主な症状
・咳(せき)
・痰(たん)(出ないこともある)
・38.5℃以上の高熱
・咳に伴い胸の痛み
肺炎は風邪によく似た症状が出ますが、風邪やインフルエンザの症状のピークを3日~5日で迎えることから4日~5日以上ひどい咳や熱が続くようなら肺炎を疑ったほうがいいかもしれません。
肺炎にならないためにできること
まずは風邪やインフルエンザの予防が第一です。手洗いうがいはもちろん、適度な休息・十分な栄養も必要とされます。そして日々の予防を心がけながら肺炎球菌という細菌に対しては予防接種も用意されています。
今でも日本人の死亡原因の上位にある肺炎は子供から大人まで油断できない病気です。風邪は万病の元!毎日の習慣が大事です。
院内感染で最も死亡率が高い病気、肺炎とは
病院に入院している間に何らかの病原微生物に感染する「院内感染」で、最も死亡率が高いといわれている肺炎。なぜ院内肺炎の死亡率は高いのでしょうか?
もともとの疾患
高齢や疾患などにより免疫力、抵抗力の低下した人のことを「易感染性」といいます。易感染性の人たちは、普段であれば大したことのない感染で肺炎を発症しやすくなります。
また、もともと基礎疾患を持っているため、肺炎にかかっても症状が目立ちにくく、発見が遅れる傾向もあります。
病原体が侵入しやすい
嚥下機能(飲み込む力、吐き出す力など)の低下、嚥下障害のある患者さんや、人工呼吸器や吸引器といった医療器具を挿入する多い患者さんは、それ自体が病原体が侵入しやすい環境です。
怖い耐性菌
会社や学校といった一般的な場所で起こる「市中肺炎」と、病院内で感染しておこる「院内肺炎」では起因菌が異なり、ブドウ球菌や緑膿菌、嫌気性菌といった複数の病原菌に感染して肺炎を発症することが多くなります。
また、細菌性肺炎の多くは本来抗生物質が効くのですが、院内感染では抗生物質に対し耐性を獲得した耐性菌が多く、MRSAと呼ばれるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌や、多剤耐性緑膿菌といった細菌は抗生物質が効かないこともあるため、特に感染防止が求められます。
なぜ肺炎で死亡?
肺炎が重症化した場合、血液中の酸素濃度が低下する低酸素血症に至ります。低酸素血症では、チアノーゼ、手足の冷感、不整脈(頻脈)、呼吸困難、不安感、言語障害、意識障害、視力障害などがあらわれます。また、肝機能障害、腎機能障害なども起こることがあります。
こうした原因から、市中肺炎の死亡率は感染者の5~6%であるのに対し、院内肺炎の死亡率は20~60%と非常に高くなります。
医療施設ではさまざまな院内感染防止策に力が入れられていますが、お見舞いや家族の看病の際には、手洗いの徹底や病院内での過ごし方、子どもを連れて行かないなど、できる範囲で病原菌を持ち込まない配慮をしたいですね。
肺炎を起こす原因菌の種類 重症化しやすい細菌性肺炎
乳幼児や高齢者では死因ともなり得る肺炎。肺炎を起こす原因菌には、どのようなものがあるのでしょうか。原因とホームケアについてまとめました。
ほとんどがウイルス性肺炎
肺炎のほとんどが、ウイルス感染による肺炎といわれています。
長引く頑固な咳や軽い風邪症状が中心で、高熱などの激しい症状をきたすものは少ない特徴があります。自然に治ることもあるため、知らないうちに感染し、治癒していることも多いと言われています。
また、ウイルス性の肺炎と診断されたとしても、ウイルスに抗生物質などの抗菌薬は効かないため、薬によって治すことはできず、対症療法のみとなります。
重症化しやすい細菌性肺炎
細菌性肺炎はウイルス性肺炎に比べて重症化しやすい傾向にあります。
肺炎を起こす細菌にもさまざまな種類があり、ある外来の診療所で肺炎の原因菌を調査した結果では、
・肺炎球菌:25%
・肺炎クラミジア:22%
・肺炎マイコプラズマ:15%
・インフルエンザ菌:14.3%
・黄色ブドウ球菌:7.1%
・モラクセラ・カタラーリス:6.5%
・クレブシエラ:1.2%
・レジオネラ:0.6%
・不明:27.9%
となっています。
一般的には、成人の肺炎起因菌で最も多いのは肺炎球菌、次いでインフルエンザ菌が多いといわれています。
細菌性肺炎は、上気道のウイルス感染に引き続いて起こることが多く、「ウイルス・細菌混合性肺炎」または「二次性細菌性肺炎」と呼ばれます。
抗生物質によって治療することができますが、抗生物質に対して耐性を獲得した耐性菌も多く出現しており、薬の効かない肺炎もあり注意が必要です。
自宅でのケア
入院の必要がなく、自宅で様子を見るよう指示された場合は、部屋の湿度を50~60%に保つように加湿します。加湿器がなければ鍋でお湯を沸かしたり、お風呂の蓋を開けたまま浴室の扉を開けておいたり、洗濯物を室内に干すなどしましょう。
咳き込んで吐いてしまうようなときは無理に食事をとらず、水分補給を心がけます。ゼリー飲料のような食べやすいものを食べても良いでしょう。
咳と痰といった気管支炎よりも、発熱や胸痛、膿性の痰といった症状が現れた際は、細菌性肺炎の可能性も。早めに医療機関を受診することが重要です。
(Photo by:http://www.ashinari.com/)
著者: カラダノート編集部