育児
発達障害には睡眠が関係している??睡眠障害をチェックしよう
発達障害には、ADHDや自閉症、アスペルガー症候群などがあります。この発症の原因に、眠りがかかわっているかもしれないのを知っていますか?
睡眠の役割と、睡眠障害チェックリストもあわせてご紹介します。
睡眠が関係している?
発達障害などを専門とする、兵庫県立リハビリテーション中央病院の三池輝久先生が書かれた「子供とねむり」という書籍があるのをご存知でしょうか?
この本には、発達障害の発症の原因が、眠りにあるかもしれないということが書かれています。
発達障害(ADHDや自閉症、アスペルガー症候群など)の原因となる、脳の機能障害は生来のものであるが、それを発症段階まで持って行くのは睡眠不足や睡眠の質が悪いことが関係しているのではないか、というものです。
では、そもそも睡眠とはどのような役割があるのでしょうか?
睡眠の役割
睡眠の役割とは具体的にどのようなものでしょうか?
著書の中ではこのように書かれています。
1.日中使った神経伝達物質を元に返還、補充
日中活動時に使用した神経伝達物質を、シナプス小胞という「神経伝達物質を入れる袋」に返還します。このことにより、神経伝達物質の再利用と在庫の補充が行えます。
2.ミトコンドリアを休養させる
エネルギー(ATP)をつくる役割を果たすミトコンドリアは、活動時は神経突起で働きますが、オーバーワークになると動けなくなるため、細胞内に戻り、複製を行って数を増やします。
わかりやすくいえば、疲れたミトコンドリアが自宅に帰って休養するようなものです。
3.神経伝達物質をバランスよく再分配する
脳幹調節機構とその他の部位で、神経伝達物質が再分配されます。偏った脳のはたらきが続くと、神経伝達物質にもかたよりが生じます。
バランスよく再分配することによって、脳が統合的に機能できるようになります。つまり、睡眠をとることによって、日中に生じた生体内のアンバランスを、本来のバランスへと整えることができるというわけです。
しかし、疑問であるのが、赤ちゃんはいつでも寝たいときに寝ていて、睡眠不足になんてなるのだろうか?ということです。
これに関しては、著書の中で、「日本の赤ちゃんと子供は、世界に類を見ないほどの睡眠時間が少ない」ということが述べられていました。親の夜型生活や、街自体が常時日中化していることに原因があるとも指摘されています。
さらに、最近の睡眠と発達障害に関する研究について書かれていた箇所がありましたが、これには「睡眠の時間を本来のものに修正することで、発達指数(DQ)が改善する」ということがわかってきたそうです。
睡眠障害のチェックリスト
赤ちゃんが睡眠障害か判断するために次のようなチェック項目があります。
この著書の先生がおっしゃるには、チェックが多い場合、睡眠障害をうたがって、治療を受けるようにすすめています。
1.なかなか入眠できない
2.睡眠中何度も目が覚めて、睡眠がまとまらない
3.いちど目が覚めると、1時間以上起きている
4.睡眠時間が9時間以下
5.不機嫌でないてばかりいる
6.母親が疲れはてている
7.アトピーなどアレルギー疾患がある
治療方法
もし睡眠障害が疑われた場合は以下のような対処法・生活改善があります。
・ 赤ちゃんの毎回の睡眠時間と様子をノートにつけ、専門家に相談する
・ 家族が出来れば全員夜9時までに寝るようにする。
(むずかしいようなら、赤ちゃんに照明が届かないようにする、物音をさせない、家族が質のよい睡眠をとる)
それでも改善しない場合
薬物療法(メラトニン(サプリメント)、クロニジン(大人用の血圧降下薬)、リスペリドン(統合失調症治療薬)を勧められています。
赤ちゃんに投薬するには勇気がいりますが、この先生は「勇気を持って思いきった処方を行うことが、治療成功の秘訣です。それには経験のある医師に相談することが大事でしょう」と述べられています。)
睡眠障害が発達障害と関係があるかもしれない、というのはまだ確定されたわけではないと思います。
それでも可能性があり、その改善法が赤ちゃんや家族を健康にするものであるなら、この問題に関して、なんらかのアクションを起こしてみることも必要だと思います。
その時には、ひとりで悩まず専門家に相談してみましょう。
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著者: カラダノート編集部