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生活習慣病

世界で一番飲まれている高脂血症の治療薬とは~高脂血症を防ぐための薬~

 

 

脂質異常症(高脂血症)の薬には悪玉コレステロールに効くもの、善玉コレステロールに効くもの、中性脂肪に効くもの、総コレステロール値に効くものなどがあります。

そのなかで最も飲まれている薬を見ていきます。

 

●3000万人が服用する薬

脂質異常症(高脂血症)の患者のうち3000万人以上、そして世界の100か国以上で飲まれている薬がスタチン系の薬です。

脂質異常症(高脂血症)のうち、悪玉コレステロールが多いタイプであるとわかったら、薬物治療の際にはスタチン系が選択されることがほとんどです。

まずスタチン系を選択してみて、効果が現れない場合はほかの薬も併用する、もしくはスタチン系から切り替えるという医師が多いようです。

 

●日本人が発見した薬

世界中で使われているスタチン系の薬ですが、発見したのは東京農工大学の遠藤博士です。

遠藤博士がスタチン系薬物のもととなるものを発見したのは1970年代で、実際に薬となるまでにはさらに15年程度の時間を必要としました。

1980年代までは脂質異常症(高脂血症)の有効な薬はなかったのです。

 

●スタチン系の名称

薬は製薬会社によって名前が異なります。

例え同じ成分の薬、同じ薬効の薬だったとしても作る製薬会社によって名前が違うのは脂質異常症(高脂血症)の治療薬以外にも見られる特徴です。

スタチン系の場合はメバロチン、ローコール、リバロなどの名前で販売されています。

 

世界で一番飲まれている脂質異常症(高脂血症)の治療薬・スタチン系。商品名はメバロチンやリバロなど製薬会社によって異なります。

 

 

どうやってコレステロールの量を減らしているの?高脂血症を防ぐための薬

高脂血症の治療のために、いくつかの治療薬が開発されています。食事のコレステロールの吸収を防ぐような治療薬もありますが、LDLコレステロールの合成を少なくさせる治療薬もあります。

 

今回はLDLコレステロールの合成を少なくさせる治療薬は、体でLDLコレステロール合成のどの段階に効いて、LDLコレステロールの合成を制御しているかをご紹介します。

 

 

LDLコレステロールの合成をどうやって制御しているの?

LDLコレステロールは摂取した油が吸収され、アセチル-CoAという物質を経て合成されます。

この合成には物質ごとに段階が決められています。

HMG-CoAからメバロン酸が作られる際に、LDLコレステロールの最終的な合成量を制御しています。HMG-CoAはメバロン酸にされる場合、HMG-CoA還元されます。

このような仕組みでLDLコレステロールが合成されているため、HMG-CoAを還元する酵素が治療薬のターゲットとされています。実際にすでに開発され販売されています。

 

このような仕組みでLDLコレステロールの合成が制御され、治療薬が効きます。しかし、高脂血症の治療として最も効果があるとされているのは食事療法や運動療法です。このため、治療薬に頼るだけでなく、食事療法や運動療法を合わせて行いましょう。

 

 

難治性高コレステロール血症の新たな治療薬『PCSK9阻害剤』とは?

今年の3月に厚生労働省が高コレステロール血症の新たな治療薬『PCSK9阻害剤』の製造販売承認を申請したことが発表され、発売が間近と迫りました。家族性高コレステロール血症やスタチン抵抗性の患者さんには、既存の治療薬(リピトール・リバロ・クレストールなどのストロングスタチン)を使用しても無効であったり・コントロールが難しいケースがあります。このPCSK9阻害剤は、これまでの治療薬の機序と異なり、LDL受容体の数を増加させる作用を持つ薬で、前述の難治性の患者さんではLDL受容体を分解する酵素が多く分泌されているため、この機序を持つ薬が有効である可能性が高いと言われています。以下では、その詳細について見て行きたいと思います。

 

『PCSK9阻害剤』とは?

PCSK9(プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)は、タンパク質を分解する酵素であり、細胞内外でLDL受容体(LDLR)を分解することで、肝臓へ過剰のLDLコレステロールの取り込みをコントロールするという役割があります。しかし、家族性高コレステロール血症やスタチン抵抗性の患者さんでは、PCSK9の発現量が多く、LDLRの分解が亢進するため、結果血中LDLコレステロールの上昇に繋がってしまいます。

 

『PCSK9阻害薬』は、このPCSK9を標的とした『ヒトモノクローナル抗体』で、PCSK9の働きを阻害することで、LDLRの分解を抑制し、血中LDLコレステロールの肝臓への取り込みを促進させて、血中濃度を低下させるという効果があります。

 

<スタチンが効かない原因は、受容体を壊す酵素が多すぎるため?>

スタチン剤が効かない場合というのは、LDLR(受容体)とPCSK9(分解酵素)とのバランスにおいて、PCSK9の方が亢進している場合であると言われています。

 

■LDLR>PCSK9となっていれば、スタチンが奏効

■LDLR<PCSK9となっていれば、スタチン不反応

 

PCSK9阻害剤の臨床試験の成績について

Ann Intern Med誌のウェブ版に掲載された『PCSK9阻害剤』に関する臨床試験のデータ解析については、以下となります。

 

■PCSK9阻害剤に関する24の介入試験

(試験内容)スタチン抵抗性患者を含んだ10159名の高コレステロール血症患者に対するPCSK9阻害剤投与試験のデータ解析

 

(結果)以下の結果となった。

・血液中のLDLコレステロール(所謂悪玉コレステロール)の濃度を、平均で47.49%低下させた。

 

・総死亡のリスクを、有意に55%低下させた。

 

・心筋梗塞の発症リスクも有意に51%低下させた。

 

⇒有害事象や副作用に関しては、重篤なものは報告されておらず、またスタチンへの上乗せにおいて、筋肉が壊れることで値が上昇する『クレアチニン・キナーゼ(CK)』の上昇を抑制していた。

 

最後に

上記のように、PCSK9阻害剤の臨床試験では、スタチン抵抗性のある高コレステロール血症患者さんに対しても、有意に総死亡リスクの低下を示すことが明らかになりました。しかしながら、新薬であることから今後さらなる長期のデータが蓄積が必要であり、安全性の確立が望まれています。

(Photo by: http://www.ashinari.com/2011/12/11-354656.php) 

 

著者: カラダノート編集部

本記事は、2017-04-05掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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