健康診断・健康管理
便秘に効くツボや現代医学的な鍼灸治療
お腹が押せない妊婦さん必見!便秘に効くツボ
妊婦さんは便秘になりやすいですが、お腹のツボはなかなか押せないですよね。ここでは妊婦さんでも押せる場所にある便秘全般に効くツボをご紹介します。
妊婦さんは体内の内臓の配置変化などで便秘になる場合が多いですが、そういうものなんだと慣れてしまってもいけません。特に便が体内に留まるということは、不要物が体内に溜まるということで、すなわち毒素が体外に出ていかないということです。そう考えると便秘ひとつとってもなんだか怖いものがありますよね。不要物を排出することは栄養を摂取することと同等に重要なことなのです。
腕のツボ支溝(しこう)
妊娠中は容易に薬も飲めませんから、ツボで健康維持をすることはかなり有効な手段です。がんこな便秘にはこの支溝のツボをためしてみてください。東洋医学では便秘はいくつかのタイプに分類されます。しかし、このツボはどのタイプの便秘にも有効なツボとされています。
場所
手の甲側を自分の方に向けてください。手首の中心から指四本分程ひじの方向に移動したところに支溝のツボがあります。手首からひじの長さの約4分の1ほどの場所になると思います。腕には2本の骨がありますのでその間に指を入れるように刺激してみてください。
押し方
もう一方の親指を骨の間に入れこむように力を入れて刺激してください。力を入れて圧迫する時間は10秒くらいと少し長めにとってもよいです。
効果
先にも述べたようにそんなタイプの便秘にも効くツボです。全身のエネルギー循環をスムーズにする効果がありますので、全身的な不調に効きます。特に敏感な人の場合数秒押しただけで便意をもよおすこともあります。
妊婦さんにとって便秘は当たり前になってしまっているかもしれませんが、やはり排便はした方がいいのです。このツボを押すくせをつけると次第に腸内環境が整えられ、ツボ押しに体が反応するようになることもありますので、試してみてください。
便秘になりやすい胃下垂の人必見のツボ
胃下垂の人は便秘になりやすいと言われます。よく、「胃下垂だといくら食べても太らないからうらやましい」などと言われることがありますが、そう単純な問題でもありません。
胃下垂の場合腹筋が弱くて胃が下に下がっている場合があります。その場合、体の下部に腸がさがり、腸自体や他の臓器を圧迫するので機能が低下することで便秘になってしまいます。そんな場合に非常に効果的なツボが外陵(がいりょう)というツボです。
場所
外陵は腹部の前面に2つあるツボです。へそから下に指一本分程移動し、そこから左右それぞれ外側へ指二本分程移動したところにあります。
効果
このツボは便秘の特効ツボでもあり、胃下垂の改善にも効果の期待できるツボです。また胃下垂は食べ物が入ったときの胃の拡張を妨げてしまうことがあるため、消化不良を起こしやすいのですが、外陵のツボは消化促進の効果もあるのでまさに胃下垂体質の人にはうってつけのツボと言えます。
さらに、胃下垂の人が感じやすい腰痛にも効果があります。
押し方
両方の親指をツボにあて、垂直にぎゅーっとゆっくり圧迫します。このとき、同時にゆっくりと息を吐きながら行ってください。また、指を押し込むときにお腹の脂肪を押し込むように、もむこむように指圧するとよいでしょう。
便秘のみならず、胃下垂の症状自体にも働きかけてくれるツボですので、一石二鳥で効果を感じられます。
胃下垂自体は病気ではないので、治療法と言ってもとくにはありません。しかし症状を伴うものですから、ツボ押しなど自分でできることを積極的にとりいれて症状改善をしていきたいですね。
便秘に対する現代医学的な鍼灸治療
鍼灸治療でツボを刺激する事によって便秘を改善することができます。
鍼灸治療の対象となるのは、器質的な原因のない機能性便秘です。
器質的な原因(癌、クローン病、潰瘍性大腸炎など)のある器質性便秘は対象にはなりません。
弛緩性便秘
腸のぜん動運動が弱ってしまったために起こる便秘です。
鍼灸治療では、大腸と関連する脊髄文節にあたるツボや反応点を使います。
例
○天枢(てんすう)
臍の横2寸に取ります。
○大巨(たいこ)
天枢の下2寸に取ります。
○腹結(ふっけつ)
臍の外方4寸、下に1寸3分に取ります。
○腎兪(じんゆ)
第2・3腰椎の間の外方1寸5分に取ります。
○大腸兪(だいちょうゆ)
第4・5腰椎の間の外方1寸五分に取ります。
痙攣性便秘
自律神経の失調によって腸が痙攣して、ウサギの糞のようなコロコロした便が出るタイプの便秘です。
鍼灸治療では、身心のリラクゼーションを図り腸管運動を調整します。
大腸と関連するツボとして弛緩性便秘に対するツボと同じツボに軽刺激をします。
他には、その人の疲れに合わせたツボ刺激を行います。
直腸性便秘
便意を我慢する習慣がつくことによって起こる便秘です。
直腸と関連する脊髄文節にあたるツボや反応点を使います。
例
○膀胱兪(ぼうこうゆ)
第4・5胸椎の間の外方1寸5分に取ります。
○上髎(じょうりょう)
第1後仙骨孔に取ります。
○次髎(じりょう)
第2後仙骨孔に取ります。
直腸性便秘の人は、ツボ刺激によって一時的に直腸を動かすのではなく、正しい排便習慣をつける事も重要です。
まとめ
機能性便秘には、上記の3タイプが重なり合って出てくる事もあります。
それぞれの症状に合わせて適切なツボ刺激を行って、便をスッキリ出して身体の中から綺麗になりましょう。
熱秘タイプの便秘
便秘とは、便が固くなり出ない、便を出すのに時間がかかる、便意はあるのに便が出にくい、といった排便に困難をきたした状態の事を言います。
東洋医学では便秘の事を秘結といいます。
秘結になるのは、伝導の官と呼ばれ飲食物のカスを運ぶ作用がある腸が失調を来たすからです。
熱秘
大腸が失調する原因の一つに、胃腸の熱による便秘である熱秘があります。
酒・辛い・油っこい・甘い食べ物ばかりを食べていると身体の水分(津液)を損傷しやすく、胃熱が活発になり便秘が起こります。
陽盛体質(陽の気が強い)の人も胃腸に熱がこもりやすく便秘になりやすいです。
症状
○大便秘結(便秘)、排便困難
胃腸の熱によって身体の水分(津液)が損傷されて起こります。
○ 腹部膨満感
胃腸の熱がこもって、気が流れなくなって起こります。
○口渇、口臭
胃腸の熱が上炎して起こります。
○顔面紅潮、熱っぽい、心煩(胸苦しい)
胃腸の熱が全身に及んで起こります。
治則(治療方針)
寛腸通便:腸をの働きを良くして、便を通します。
清熱:胃腸にたまった熱を冷ませます。
配穴(治療に使うツボ)
○天枢(てんすう)
大腸の募穴です。募穴とは、その臓腑の気が集まるツボです。
○上巨虚(じょうこきょ)
大腸経の下合穴です。下合穴とは、足部にあり、その腑の遠隔治療に使われるツボです。
足から熱を流すために使います。
○足三里(あしさんり)
四総穴の一つで、足三里は腹部の治療によく効くツボです。
また胃経の合土穴でもあり、のぼせを取ることができます。
○曲池(きょくち)
大腸経の合土穴です。
○合谷(ごうこく)
大腸経の原穴です。原穴とはその経の気が多く集まるツボです。
合谷には清熱作用があります。
○内底(ないてい)
胃の榮水穴です。身体の熱をつかさどるツボです。
まとめ
熱秘タイプの便秘の人は、胃熱によって身体の水分が損なわれて便秘になっています。
偏った食生活をやめ、水分を多く摂るようにしましょう。
(イラスト: by Roddy)
著者: カラダノート編集部