気になる病気・症状
呼吸困難を引き起こす! 特発性肺線維症とは?バチ指を見逃さないで!
特発性(=原因不明)の肺線維症は、初期症状を発症後の5年後の生存率が50%とされています。
更に10年後は20%ととても低い数値であることが分かります。死因としては、呼吸不全や心不全、肺がんが多いようです。
この肺線維症とは、肺が線維化してしまう事です。
分かりやすく言うと、肺は柔らかいスポンジの様な状態です。
何らかの原因で、軟らかいスポンジが固くなり、元に戻ろうとする柔軟性をも失ってしまうといった状態になるのです。
症状について
固くなった肺は、ガス交換が出来ずに、血液中の酸素濃度が低くなります。そのせいで、様々な症状が現れます。
初期症状として息切れや咳が現れます。
症状が重くなるにつれて、動かなくても息切れをしたり、薬の効かないしつこい咳と痰が続きます。
更にひどくなると呼吸困難をおこして、失神することもあります。
目で見える症状、バチ指
肺疾患があるとバチ指の症状が現れます。
特発性肺線維症でもバチ指の症状が現れる事が多いようです。
通常の指の場合は、手の甲を上に向け横から指を見た場合、指と爪は一直線又は谷のようになってくぼんでいます。
しかしバチ指の場合は、爪の付け根の部分が隆起します。指の直線状から見ての角度が180度以上となります。
理由は、はっきりとは分かっていません。
血管の成長を刺激するたんぱく質の量に関係していると言われます。
このバチ指自体を治療する必要はありませんが、重要疾患のサインとして考えるとよいでしょう。
バチ指症状が出る疾患
・肺がん ・肺膿瘍 ・気管支拡張症 ・肺線維症 等
バチ指症状が出ない疾患
・肺炎 ・喘息 ・慢性閉塞性肺疾患 等
※しかし必ずこのバチ指がサインになることはありません。
特発性肺線維症は、初期症状の発症後6か月間の治療が最も重要になります。
初期症状を見逃さない為にも、異変があれば必ず病院を受診しましょう。
特発性肺線維症を悪化させないために
特発性肺線維症になってしまうと、病気とは長い付き合いになることが多いです。
特発性肺線維症をこれ以上悪化させないために日常で出来る注意点を見ていきましょう。
●風邪には要注意!
特発性肺線維症の患者がもっとも注意しなければならないのは風邪をひかないことです。
というのも特発性肺線維症の方がウイルス感染すると急激な悪化が見られるので、免疫機能をしっかりと整えておかなければなりません。
インフルエンザの予防接種は毎年受けておいた方がよいですし、風邪が流行る時期になったらうがい手洗いを特に注意して行うのがお勧めです。
●急な運動時は在宅酸素療法を!
急に運動をすると特発性肺線維症の症状で息苦しさが出てくることがあります。運動するときに必要な酸素を肺が取りこめきれないからです。
特発性肺線維症で運動をすること自体は問題がありませんが、息苦しくなるのを防ぐために在宅酸素療法を運動前にのみ使うというのがお勧めの方法です。在宅酸素療法を行う時には火気には十分注意してください。
●絶対に禁煙!
特発性肺線維症になった人がまず一番に言われるのが禁煙をしてくださいということです。
特発性肺線維症は合併症で肺や気管支の病気を引き起こしやすく、中には死に至るような肺癌などの合併症もあります。
このことから合併症を予防する意味でも、特発性肺線維症を悪化させない意味でも禁煙は必須といえるでしょう。
特発性肺線維症の方が注意したいことは風邪です。冬場は風邪・インフルエンザに十分気を付けてください。
運動は問題なく行えますが、運動中の酸素不足を防ぐために運動前の酸素療法が適切です。
呼吸困難を引き起こす! 特発性肺線維症とは?
肺には肺胞という無数の小さな袋状のものがあります。息を吸い込むとこの袋(肺胞)が膨らみ、吐くとしぼみます。
この特発性肺線維症とは、この袋(肺胞)に関わりのある病気です。
特発性肺線維症は肺胞に小さな傷ができ、それを修復するためにコラーゲンが集まります。
その結果、肺胞の壁が厚くなり、固くなってしまいます。すると、息を吸った時に袋が膨らみにくくなります。
肺がふくらないことにより呼吸困難を引き起こすのです。
症状
・乾いた咳が出る
・息切れ
・息苦しい
・バチ指(指先が膨らむ)
初期症状はさほど息苦しさを感じる事はありません。
しかし急速に悪化することがありますので、早めに受診をしましょう。
原因
原因は不明です。肺胞の傷がどのような経緯でついたかはわかりません。
タバコや粉塵が原因の一つではないかと言われています。
治療
状態が安定している時は、特に治療を要しません。あえていうなら、かぜの予防をしなくてはなりません。
風邪のウイルスによって、二次感染を起こし、肺炎になる可能性があるからです。肺炎になると重症化する恐れがあります。
風邪予防と、免疫を高めるということを重点的に行いましょう。
悪化した場合の治療法は、薬物治療が一般的です。抗生物質の投与、酸素吸入、ステロイドの大量投与を行います。
生活での注意点
・人ごみは避ける、またはマスク着用
・過労にならないようにする
・インフルエンザははワクチン接種で予防する
・うがい
・部屋の換気・加湿
これをすれば大丈夫という決め手はありません。少しでもリスクを下げる為にも、普段の生活から予防をしっかりとしましょう。
本人だけの努力では完全ではありません。家族の協力も少なからず必要なのです。
本人と家族、周囲の人たちが協力をして、肺線維症の悪化を食い止めましょう。
特発性肺線維症の治療薬・ピレスパの副作用
特定疾患にも定義されている特発性肺線維症は、肺が固くなってしまう病気です。
肺は元々空気を取り入れるために膨らみますが、特発性肺線維症になると膨らまなくなります。すると空気が肺に入らなくなるので、呼吸困難になってしまうというのが大きな問題です。
●特発性肺線維症の薬
特発性肺線維症の治療薬は数種類に分かれています。大きく分けると対症療法のための薬と抗線維化剤の2種類です。対症療法の為の薬には咳止めや免疫反応を抑える免疫抑制剤があり、抗線維化剤にはピレスパがあります。
●ピレスパってどんな薬?
特発性肺線維症の治療薬、肺の線維化(肺が固くなってしまう状態)を防ぐ薬は今まで存在しませんでしたが、2008年にピレスパが登場してからは少し状況が変わりました。
ピレスパは肺の線維化をある程度抑えて症状の進行も止めます。根本的な治療にはならないものの、特発性肺線維症の治療への新しいアプローチとして注目されています。
●ピレスパの副作用
ピレスパには副作用があります。50%の確率で光線過敏症があらわれ、日光に当たると皮膚湿疹が出来たりします。その他に、食欲不振や胃の痛み、嘔吐、吐き気などもピレスパの代表的な副作用と言われています。
重い副作用では皮下出血や肝機能に影響するものもあるので、尿が褐色になったり発熱が見られる場合は主治医に相談してください。
特発性肺線維症の新しい治療薬として2008年に登場したのがピレスパです。レスパは肺の線維化を抑える薬で、副作用には光線過敏症などがあります。
特発性肺線維症の診断のための検査
特発性肺線維症の疑いがある場合はいくつかの検査を行ったうえで最終的に診断を下します。
特発性肺線維症がわかった場合、進行を遅らせることは出来ても完治はほとんどあり得ません。そのことは理解したうえで治療していくのが基本です。
●問診、触診
特発性肺線維症以外の病気でもまず行われるのが問診と触診です。呼吸器以外に症状は出ていないか、具体的にどのような症状にどれくらい前から悩まされるようになったのかなどを問われます。
触診ではばち指のチェックを行います。爪甲が丸くなって指先を曲げると皮膚と爪の角度が200度以上になるなどの特徴があります。
●血液検査・呼吸機能検査
次に血液がどれくらい流れているのか、呼吸の様子は正常な人とどのように違うのかを検査していきます。
血液検査では動脈血液ガス、血清マーカーなど様々な検査を行います。
●肺生検を行う場合も
特発性肺線維症の診断は問診、触診、血液検査、呼吸検査で基本的にわかりますが、それでもほかの病気と見分けがつかないということもあります。
そのようなときは直接肺を見る肺生検を行います。内視鏡を気管支に入れてみる場合もあれば肺の一部を切りだしてみる場合もあります。
また、胸腔鏡下肺生検といって、胸腔鏡という道具を体の中に入れる検査もあります。
肺生検は血液検査や呼吸機能検査に比べると体への負担が大きいことからどうしてもほかの病気との見分けがつかない場合など限定したシチュエーションで行われます。
特発性肺線維症の検査には問診、触診の他に血液検査や呼吸機能検査があります。
これらの検査でもほかの病気との見分けがつかない場合は肺生検を行うこともあります。
(Photo by:足成)
著者: カラダノート編集部