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高齢者の骨折で心配な後遺症~患部や痛み、「転倒恐怖症」とは

高齢者の骨折で心配される、患部(骨の整復・癒合など)の後遺症を挙げます。

 

変形治癒

折れた骨が、本来あるべき位置からずれたまま癒合(くっつく)した状態です。

見た目でも明らかに変形している、曲っているほどひどい場合もあります。骨折部位によっては、歩行や細かい作業ができなくなり、日常生活に支障が出る機能障害も起こります。

変形治癒は、整復・矯正が不十分、患部を固定していた器具がずれてしまうといった原因が考えられます。

高齢者は骨折の回復が遅く、長期間の固定が必要なので、途中でずれていないか注意が必要です。認知症では、固定する理由が分からない、納得できずに自分から固定具を外してしまうケースもあります。

 

骨壊死

骨折した部分への血液供給が途絶え、骨の一部が壊死します。

骨折部が分離している状態で起こりやすく、高齢者の股関節・大腿骨頸部の骨折に多く見られます。

大腿骨頸部を骨折する際に、その周辺にある血管も損傷しやすいのも一因です。血流を阻害する喫煙は、骨壊死のリスクを高めます。

強い痛みや慢性的な炎症を伴うこともあり、機能障害や重大な後遺症につながりかねません。

骨壊死によって骨の癒合ができず、患部が関節であるかのように動く「偽関節」を生じる恐れもあります。

 

過剰仮骨

骨折によって骨が欠損すると、その部分を埋めるために新しい骨組織が発生します。これは不完全な骨で、「仮骨」といいます。

仮骨が形成されると、患部にコブのような膨らみができます。この仮骨は次第に吸収されていきますが、仮骨が過剰に形成されると、吸収しきれずに残ってしまいます。

不十分な整復・矯正が原因で起こりやすく、痛みや運動障害を伴うケースもあります。

 

これらの後遺症を生じないためにも、高齢者の骨折には早めに気づき、治療と経過観察をしっかり行うことが重要です。

 

高齢者の骨折で心配な後遺症~痛み編

骨が完全に癒合したのに、痛みの後遺症に悩まされる高齢者もいます。痛みの種類や原因についてまとめました。

 

骨折部と周囲が引きつれるように痛む

骨折の治療中、患部を固定して動かさなかったために、筋肉が衰えて萎縮・硬化したことが原因で起こります。

筋肉が引っ張られるような痛み、けいれんするような感じ、違和感が多い例です。

骨折部位だけではなく、たとえば骨折した腕をかばって不自然な動きをしていた肩や背中の筋肉が痛むというケースもあります。

 

関節痛

治療のために固定していたことで動かさなかった関節、じん帯が硬くなり、動かしたり負荷がかかると痛みを感じます。

筋肉と同様、患部をかばうために他の部位が痛むこともあります。

 

患部の慢性的な痛み

骨折した部分がいつまでも痛む、雨の日には痛むといった「古傷がうずく」状態です。考えられる原因は、いくつかあります。

普通の骨折なら、数週間で骨は元通りに癒合します。

しかし、骨折の時に損傷した骨膜・筋肉のダメージが大きく、まだ完治していないこともあります。

特に骨膜は、血管や神経が多く通っているので、損傷すると痛みも強いでしょう。

骨折からの回復が順調ではなく、骨壊死や仮骨の過剰形成があると、痛みや炎症の原因になります。この場合は重篤な後遺症に至る可能性もあるので、治療が必要です。

 

しびれ

骨折後に強いしびれがあるなら、仮骨の過剰形成や、骨が正しく癒合しなかった「変形治癒」で、神経が圧迫されている恐れがあります。

 

心理的痛み

身体的には問題がないのに、骨折のショックや長期の治療で、痛みがあるような気がする「心因性疼痛」というケースもあります。

大切なのは、「本人は痛みを感じている」ということです。

頭から否定せず、不安を取り除くような対応が欠かせません。

反対に「気の持ちようだと思っていたら、患部に後遺症があった」という場合もあるので、訴えをきちんと受け止める必要があります。

 

痛みの原因が何であるか、ハッキリさせることが肝心です。

 

骨折後の高齢者が抱く「転倒恐怖感」とは

高齢者の骨折で懸念されるのは、身体的な後遺症ばかりではありません。骨折を機に消極的になり、閉じこもってしまう人もいます。

 

骨折した高齢者が陥りやすい心理状態を説明します。

 

転倒恐怖感

「身体機能は十分あるのに、転倒への恐怖から歩行や移動をできるだけ避けようという心理、恐怖感」を、転倒恐怖感(転倒後症候群)といいます。転倒恐怖感が続くと、活動量が激減して体力が落ち、衰弱や寝たきりに至りかねません。

 

転倒恐怖感をもつ原因

◆骨折・治療のショック

転倒や事故で感じた強い痛み、つらい治療といった肉体的な苦痛が、大きなショックになっています。「あんなに痛い思いは2度としたくない」という恐怖から、歩行を避けようとします。

 

◆安静生活による意欲低下

治療中に安静状態が続くと、自立した生活に対する意欲が低下しがちです。手術・入院を要した人、脚の骨折で長期の安静を要した人に多く見られます。

 

◆諦め・老いの自覚

骨折を機に、「いつまでも若いつもりでいたけど、もう年なんだ」という事実に、改めて気付くことがあります。身体的な衰えに直面し、諦めや失望から、積極性を失います。

 

◆周囲からの忠告

骨折した高齢者の家族からすれば、「また骨折しないように」という気持ちで、「もっと気を付けて」「危ないことは避けて」と忠告するのは、自然なことです。

 

ところが、その言葉で萎縮して、歩行できなくなるケースもあります。家族だけではなく、医師や介護士からの言葉でも、同様です。

 

骨折にまつわる、さまざまな要因が高齢者に転倒恐怖感を与えます。

 

骨折後の高齢者から転倒恐怖感を遠ざける対策!

骨折した高齢者が、転倒恐怖感に陥らないための対策を挙げます。

 

積極的な治療とリハビリ

骨折や治療の痛みが長引くほど、恐怖感が強くなります。適切な治療と投薬で、できる限り痛みを取り除く必要があります。

その上で、早いうちからリハビリに取り組みましょう。

安静が長期にわたると、体力が落ちるだけではなく、気力も低下します。患部は動かせなくても、痛みのない部位は積極的に使っていくと、スムーズに日常生活を取り戻せます。

痛みをおしてリハビリをするのは逆効果なので、無理は禁物です。

 

日常生活に即した機能訓練

身体機能を高めるだけでは、転倒恐怖感に効果がありません。

「自分は大丈夫」「できる」といった、肯定感を高める必要があります。

そのためには、「1人でトイレへ行く」「食べ終えた食器を自分で下げる」「毎朝、身だしなみを整える」など、日常生活の中で「できる」という実感をもてるような訓練を取り入れましょう。

訪問リハビリを利用すると、いつも生活する家の中で日常動作の訓練ができます。生活の中で心配な点をリハビリでクリアしておくと、自信につながります。

 

不安を1つずつ潰して、安心に変える

転んでしまった階段、いつもつまずく玄関の段差、歩きにくいカーペットの上…家の中に不安を感じるポイントがあると、消極的になります。

自治体の補助を利用して手すりを付ける、足が引っ掛かりそうなものは取り除くといった対策を講じましょう。

家族や周囲の声掛けも、不安をあおらないようにしてください。

「また転びますよ」「危ない」ではなく、「落ち着いてやれば大丈夫」「ゆっくりでいいですよ」など、焦らせないような声掛けが望ましいです。

 

生活の中で、小さな成功体験、安心感を積み重ねることが、転倒恐怖感を遠ざける秘訣です。

 

骨折後の高齢者が抱く転倒恐怖感をチェックリストでチェック!

骨折した高齢者が、完治後も転倒に対する恐怖から歩行を控える「転倒恐怖感」は、骨折の後遺症の1つといえます。

転倒恐怖感の有無を測定するチェックリストを紹介します。

 

MFES

転倒せずに日常動作を行う自信の強さを測る指標となるMFESは、以下14項目の質問からなります。

高齢者に質問して、「まったく自信がない」の0点から「完全に自信がある」の10点まで、1点刻みに答えてもらい、合計点から判断します。

(例:まあまあ自信がある→5点、少ししか自信がない→3点…のように)

 

◆設問・次の動作を転倒せずに行う自信はどのくらいですか◆

1)衣服の着脱

2)食事の支度(調理・配膳)

3)入浴

4)椅子に座る・椅子から立ち上がる

5)布団(ベッド)に入る・布団から起き上がる

6)来客(玄関・戸口まで出迎える)や電話の応対をする

7)屋内で、廊下や畳の上を歩き回る

8)戸棚・タンス・物置まで歩いて行く

9)軽い家事をする

10)軽い買い物をする

11)バスや電車を利用する

12)道路(横断歩道)を渡る

13)庭いじりをする、または洗濯物を干す

14)玄関や勝手口の段差を越す

 

以上の質問で合計点が低いほど転倒に恐れを感じ、110点未満なら、「転倒恐怖感がある」とします。

 

「骨折した高齢者」というひとくくりで、転倒恐怖感を語ることはできません。

たとえば骨折部位によっても差があり、大体頸部を骨折した高齢者は、他の部位を骨折した場合よりも転倒恐怖感がかなり強いという傾向にあります。

骨折の程度・治療内容・リハビリ状況が、MFESの結果に作用します。

(Photo by:http://www.ashinari.com/2008/08/24-006997.php)

著者: カラダノート編集部

本記事は、2017-04-13掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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