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過呼吸後、数分間の脱力症状があれば早期手術が必要~もやもや病・タイプ別最新治療法とは~

 

小児型もやもや病の疑いとは?

もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)という病気をご存知でしょうか?この病気は、小児(5歳~10歳)と成人(30歳代)に発症の可能性のある、原因不明の(遺伝や自己免疫疾患による可能性もあるとされていますが)脳血流障害の病気です。

 

脳への血流不足によって脱力症状が生じる「虚血型」(主に小児発症)と、頭蓋内出血によって頭痛から重度の意識障害などが生じる「出血型」(主に成人発症)の2種類があります。ここでは、主に小児型についてご説明したいと思います。

 

小児型もやもや病の原因

小児型もやもや病の発症の原因としては、頚動脈が徐々に狭窄を生じることに起因します。

 

血管狭窄によって脳深部に血液が不足し、これを解消するために無数の新生血管(タバコの煙が立ち上がったようにもやもやとして見える血管)が網目状に生じます。網目状の血管は非常に細く、狭窄した動脈の血流量には追いつかないため、脳への血流は依然不足した状態になります。

 

この際にはしゃいだり息を強く押し出すような動作(湯気を覚ますさいにフーッと息を吹きかけることや、吹奏楽器の演奏、泣くなど)などの過呼吸が起こると、脳血管が収縮し、一気に血流が不足して脱力症状を引き起こします(一過性脱力発作)。

 

繰り返す脱力発作は、脳梗塞の発症に繋がる 

どのような病気でも「早期発見」「早期治療」は重要であるとされますが、もやもや病のような脳血管障害に関する病気の場合、このような早期の対策が絶対的に必須となります。

 

一過性脱力発作が繰り返し生じることによって、頚動脈に閉塞が起きやすくなり、脳梗塞発症に繋がります。一旦脳細胞に血流が途絶えると、壊死が生じて、運動機能や言語機能、感覚機能等に重い障害が生じる場合があります。

 

脳梗塞の状態は約6.8秒続けば、意識消失を起こし、約3~10分の持続で不可逆的な損傷を受けるということが分かっています。

 

一過性脱力発作は、いつどこで発症するのか予測が不可能なため、この病気と診断されたら、早期に手術を受けることが必要になります。

 

狭窄部分はどの場所にあるか? 

もやもや病において、狭窄を起こす場所は「内頸動脈」という動脈です。

 

心臓から押し出された血液は、脳へ栄養を送るために、首の前方を通る「内頸動脈」と首の後方を通る「椎骨動脈」の左右2対の計4本の血管を上行します。この動脈を通って血液が垂直に上がって行き、中央から頭蓋内に入り、頭蓋底部においてこれら4本の血管がロータリーのような輪を形成して繋がっている「ウィリス動脈輪」が存在します。

 

このウィリス動脈輪は、どれか1本の動脈が閉塞するなど機能不全に陥っても、他の動脈が血液を流れさせるようなバイパス構造を形成しています。

 

もやもや病では、内頚動脈が頭蓋内に入って分岐する直前の部分において狭窄や閉塞が起こります。そのため、ウィリス動脈輪に血流が不足し、これを補うために付近の毛細血管に新生が起こります。

 

もやもや病の診断方法とは?

小児発症、成人発症ともに頭部MRI、MRAを行うことにより診断できます。最終的な確定診断には脳血管撮影(検査入院が必要)が必要です。

 

治療法にはどのようなものがあるか? 

もやもや病発症の原因は未だ不明な部分が多く、根本的な治療法が無いとされています。

 

現在の治療方法としては、

◆内科的治療(抗血小板剤などの内服薬)

◆外科手術(血行再建術)

の2種類があります。

 

内科的治療は虚血発作の回数を抑える効果はあっても、病気の進行を抑えたり脳血流を増加させるような作用は無いため、脳血流の低下や虚血発作を繰り返しているような場合においては、外科手術が有効になります。

 

血行再建術は2つの種類があり、

◆直接バイパス術…頭蓋骨の外側の皮膚にある「浅側頭動脈」と、脳の表面にある「中大脳動脈」を直接縫い合わせるというバイパス手術です。

◆間接バイパス術…浅側頭動脈や脳を包む硬膜、側頭筋(頭蓋骨の表面に付い ている筋肉)などを、脳の表面に接触させた状態に手術し、脳へ自然のバイパスが形成されるようにする手術です。

 

手術の予後に関して

予後に関して、大規模な症例数を集めた報告は未だ存在しないようですが、ある病院が過去に行った血行再建術の予後(術後5年以上経過)に関する統計においては、30例中27例(90%)で術後は全く後遺症なく生活できているとのことです。

 

残りの3例中1例は大きな脳出血で発症した症例で、あとの2例は他の病院で手術を行われずに長期に経過観察されてしまっており、転院した症例でした。

 

上記の症例からも、この病気と診断された場合は、早期に血行再建術を行うことで、予後が改善されることが分かっています。発作に気が付いたときには、症状が繰り返す前に早期診断・早期治療を行ってください。

 

早い決断が脳梗塞発症への可能性を防ぐことへと繋がります。

 

 

もやもや病「再発」のキケン…手術後も再発する病気なの?再発防ぐ方法はないの?

歌手の徳永英明さんは、2001年にもやもや病を発症しています。

その徳永英明さんが2016年に同じ病気を再発し、手術を受けていたということが報道されました。

発症し、手術を受け、療養中だということ公式のホームページで報告していました。

 

もやもや病ってどんな病気?

文字面だけを見るとなんだか精神的な病気のように聞こえますが、これは脳血管の病気です。

日本人に多く発症する病気であり、日本で発見され、もやもや病という名前が正式名称です。

そのため、この名前で海外でも通じるのだそうです。

「もやもや」というのは脳血管の状態を表しています。

脳血管の造影検査の画像で、細い動脈血管がいくつもあり、その状態が煙のように見えることから、この名前が付けられています。

もやもや病は、脳の血管が細くなり、詰まってしまうことで起こります。

血管はつまってしまうと、それを補おうとして、代わりの血管ができます。

この血管がもやもや血管と呼ばれ、煙のようにもやもやして見えるのです。

 

再発しやすい病気なの?

今回徳永英明さんの場合、一度病気を発症して手術を終えています。

その後療養を終え、活動を再開しています。そして2016年になって同じ病気を再発しています。

 

そもそも原因は?

もやもや病の原因は不明です。血管の病気というと、動脈硬化などが原因として挙がることが多いですが、もやもや病は動脈硬化の原因が考えにくい、子どもでも発症します。

 

出血型は再発率の危険が高い

もやもや病は、「虚血型」といって、血管が狭くなったり詰まることで、脳の血流が悪くなるタイプがひとつあります。

そしてもうひとつが「出血型」といって、もやもや血管が破けたり、もやもや血管に生じたこぶが破裂するタイプがあります。

これらのうち、再発の危険が高いとされているのが出血型です。

 

基本的には治療後の生活は良好

手術を行った場合、もちろん長期的に術後のフォローをしていくことが必要です。その上で基本的には術後の状態は良好だということです。

ただ、虚血型でも出血型でも再発の可能性はどうしてもあります。

新たな梗塞や出血が出現することもありますので、定期的に状態を気にする必要がありそうです。

 

 

もやもや病は家族性の原因も強くあるとされています。

しかし不明な点も多く、はっきりとした原因があってそれを取り除くということが難しい病気です。

再発の危険はどうしてもついて回ります。不明な点が多い分、手術をしたとしてもそれで完全に安心することはできなさそうです。

 

 

もやもや病で気をつけること~手術後と学校生活~

もやもや病は一過性虚血発作のサインが出た時点で、適切な治療を受けることで今まで通りの生活を送ることが出来る病気です。手術を受けた患者さんは、手術後に注意点があるのでまとめます。

 

手術直後

・点滴、血圧管理などで脳梗塞を十分に予防します。

・直接バイパス後は急に血流が改善されるので、周りの血管が順応するまで多少の時間がかかります。それまでの間に軽い麻痺や軽い失語症が起こることがありますが、一時的であり1~2週間で収まります。

・子どもは大泣きすると、体の二酸化炭素が減ってしまい、血管が収縮して脳梗塞になりやすいので、鎮静剤を使うことがあります。

 

手術後の生活について

退院後、血流量が十分に改善したことが確認された後は、日常生活でほとんどの活動が可能ですが、気をつけるべき点もいくつかあります。

・サッカーのヘディング、ボクシングなど頭部を強く打つ可能性のあるスポーツは控えましょう。

・水分補給をしっかりしましょう。怠ると脱水状態になって血液が固まりやすくなり、脳梗塞になる可能性が高まります。

・喫煙は厳禁!血管を収縮させる作用があるので、脳梗塞になりやすくなります。

・飲酒は適量であれば可能です。飲みすぎると脱水状態になりやすいので、十分に水分を取りましょう

・サウナは脱水状態になりやすいので避けます。

・医師に指示された定期検査は必ず受けます

 

もやもや病の直接バイパス術、間接バイパス術は血液を流すことが難しくなった血管の代わりに血液量を増やすもので、残念ながら詰まったり、細くなった血管を元に戻したり、進行を食い止めるものではありません。手術自体も医師としっかりと相談し、医師任せにするのではなく患者自身もしっかりと勉強して、手術のリスクを理解したうえで受けることは望まれます。

 

もやもや病の吻合手術

もやもや病はまだ病態のすべてがわかっている病気ではありません。

統計もほかの病気ほど多くはなく、研究も発展途上の病気と言えるでしょう。

 

●もやもや病の治療と手術

もやもや病の対症療法として有効なのが血流の改善です。

遺伝子と環境要因から起きると考えられる血流の悪さを予防する決定的な方法は今のところ見つかっていません。

ですので、悪くなった血流を改善することがもやもや病の治療となるのです。

血流低下を改善するための方法としては薬によるものもありますが、手術もあります。

また、もやもや病の症状で脳出血が起きた場合には出血部位が脳を圧迫しないように手術で取り出します。

 

●吻合手術とは

もやもや病の治療で血流を改善させる手術は広くは血行再建術と呼ばれています。

その中のひとつが吻合手術で、血管同士をつなげて血流を改善するという手術です。

もやもや病は脳全体の血流が低下するわけではありません。

血流が低下しないところを血流が低下するところとつなげるのが吻合手術です。

 

●後遺症はあるの?

愛知県の名古屋第二赤十字病院で小児期(15歳以下)のもやもや病に対する血行再建術の予後を調べたところ、その9割で後遺症がないことがわかりました。

残りの1割に見られた後遺症は知能低下、片麻痺などです。

吻合手術とはもやもや病で血流が悪くなっている血管をほかの血管とつなげて血流を改善する手術のことです。

吻合手術も含めてもやもや病の血流改善手術は血行再建術と呼ばれています。

この血行再建術で後遺症の有無を調べたところ、名古屋第二赤十字病院ではその9割に後遺症なしとの結果が出ました。

 

 

虚血型・出血形 もやもや病タイプ別最新治療法とは

もやもや病の症状の出方として、脳梗塞・一過性虚血発作が起こる虚血型と脳出血が起こる出血型があります。それぞれの治療法をまとめます。

 

脳梗塞・一過性虚血発作に対する治療

起こってしまった脳梗塞に対しては、内科治療として血栓ができるのを抑えてつまらないようにする薬が使われます。しかし、元々大きな血管が詰まったり細くなったりしているので、その後血液量が増えるわけではありません。血液量を確保するために外科手術が必要になります。

 

外科手術

直接バイパス術

脳の皮膚に血液を送っている血管と、脳の表面の血管を縫い合わせて血流を確保します。

多くの場合、手術用の顕微鏡を使った手術となり、細かな血管を縫い合わせるので高度な技術が必要です。血管と血管を直接縫い合わせるので早期から血液量を確保できます。

 

間接バイパス術

筋肉や硬膜などの血液が豊富な場所をずらして脳の表面に置くことで、ずらした場所が脳にくっついて血液を送ってくれるようになります。

 

どちらの手術をするか、あるいはどちらの手術もするかなどは年齢や、血管の状況などによって判断されます。通常は左右とも血液量が足りないため、2回行われますが、その後の検査で血流を確認して、場合によっては3回目の手術がされることがあります。

 

脳出血に対する治療

脳出血は、一度軽くすんでも、繰り返す可能性も高いです。しかし、現在までのところこれに対する治療法は確立されていません。

子供の時に適切なバイパス手術を受けた人は脳出血になる事が非常に少ないといった報告などからも、出血においてもバイパス手術が有効ではないかという研究がされているところです。

 

もやもや病の研究は日本が最も進んでおり、脳出血に対しても治療法が確立されることが待たれています。

(Photo by:http://pixabay.com/

著者: カラダノート編集部

本記事は、2017-04-02掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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