妊娠・出産
避けたい出産時の「会陰裂傷」原因と診断、治療方法を知っておこう!
会陰裂傷の第一の原因は、膣と会陰部を限界まで広げて通過する胎児の大きさにあります。
本来なら胎児を通過させる柔軟性が備わっているはずなのですが、個人差があり、さらには胎児の大きさにも個人差があるので、柔軟性の限界を超え裂傷に及ぶ可能性は常に隣り合わせとなります。
胎児は頭がどうしても大きくなりがちで、その頭部が通過する際に限界を超え、会陰裂傷を引き起すリスクが高くなります。
裂傷の深さと範囲によって、会陰裂傷の縫合の難しさが変わっていきます。
とくに裂傷が肛門括約筋(こうもんかつやくきん)にまでおよび、括約筋が断裂してしまうことで、縫合の難しさが一気に跳ね上がってしまうのです。
会陰裂傷の原因は?
1.膣と会陰部の伸展性が不十分
膣と会陰部が子供を通らすだけ伸展性を持っていなかったため、会陰裂傷がおこってしまいます。
2.胎児の頭が大きい
胎児の頭が大きすぎ、その大きな頭が急激に通過するため、会陰部が裂けてしまうことになります。
会陰裂傷の診断
会陰裂傷の診断は分娩後速やかに行われ、裂傷の程度を診察します。
1.第一度会陰裂傷
会陰皮膚及び膣粘膜のみの軽度の裂傷です。
2.第二度会陰裂傷
肛門括約筋の損傷のない、会陰筋層の裂傷です。
3.第三度会陰裂傷
肛門括約筋まで裂傷している重度の会陰裂傷となります。
4.第四度会陰裂傷
裂傷が肛門粘膜や直腸粘膜まで及ぶ深刻な会陰裂傷です。
肛門括約筋まで裂傷する第三度会陰裂傷から縫合が非常に難しく、分娩時の縫合では完治しない可能性もでてきます。
最初の縫合で完治できなかった会陰裂傷は、裂傷の部分が薄くなったり、裂けたまま治ってしまっていたりするため、完治させるためにはより難しい縫合手術や形成手術が必要となります。
キレイに早く直したい!会陰裂傷の手術内容について
会陰裂傷になった場合、その裂傷は自然に治ることはありません。
裂けたまま放置しておくと、裂けた状態のまま傷が治ってしまい、さらなる健康上の問題を引き起すことにもなりかねないのです。
会陰裂傷の治療の基本は縫合手術であり、その縫合はまず分娩時、会陰裂傷が発生した直後に産科医が行います。
会陰裂傷の治療
会陰裂傷は保存的治療では治らないので、裂傷を縫合して治療する必要があります。
1.分娩直後縫合
会陰裂傷が発生する分娩直後に、産科医が速やかに縫合治療を施すのが通常です。
・肛門括約筋裂傷
会陰裂傷が肛門括約筋まで及んでいた場合、縫合がかなり難しくなり、後にさらなる縫合手術が必要となる場合があります。
・陳旧性会陰裂傷
分娩直後の縫合がうまくいかなかった場合、裂傷が裂けた状態のまま治ってしまった状態が維持されることになります。
この状態を治療するにはさらに会陰形成術という手術が必要です。
2.会陰形成術
肛門括約筋の裂傷や、分娩直後の縫合がうまくいかなかった場合、会陰の形を整えるための縫合手術です。
・重ね合わせ縫合
断裂した括約筋など、重ね合わせるように寄せて縫合し、裂けた状態のままであったり薄くなってしまった会陰部を補強するように縫合します。
会陰形成術とは、要は会陰裂傷によって形状が変わってしまった膣と会陰部を、正常な形状に戻すよう整形して治す縫合手術です。
この高度な縫合手術によって、括約筋が断裂したまま治ってしまった会陰裂傷も、元通りの状態に会陰部を修正して治すことができるのです。
(Photo by:http://www.ashinari.com/2009/03/16-015374.php)
著者: カラダノート編集部