妊娠・出産
流産手術の「子宮内容掻爬手術」って何?知っておきたい!掻爬手術の流れ
あなたは流産の手術があることを知っていますか?
ここでは、流産の手術について具体的に解説します。また、人工妊娠中絶の方法は「流産手術」と同じものになります。
流産手術とは?流産手術の必要性
流産手術とは、流産してしまった妊婦のアフターケアとして行う処置のことを指します。
単純に流産と言っても、その流産には様々な形態があり、中には死亡した胎児がそのまま子宮内に残っている状態の流産もあるのです。
そこまで行かなくても、赤ちゃんをくるむ胎嚢の一部が子宮内に残り、そのまま放置されればそこに細菌が瞬く間に繁殖して感染症を引き起します。
デリケートな子宮には、流産に続いて感染症など致命的なダメージとなってしまう危険性が高いのです。
そのため、流産後の子宮内容物を綺麗に除去するための、流産手術を行う必要が出てきます。
これもまた次に新しい子供をその子宮で産む為に必要なアフターケアなのです。
完全流産・不全流産・稽留流産
「完全流産」は絨毛組織(母体と胎児の物質の交換の場となる部分のこと)が自然に完全に排出された状態になります。
hCGも急速に減少して月経、排卵が再開されます。そのため完全流産では流産手術は必要ありません。
「不全流産」や「稽留流産」の場合は、大部分は排出されているか、胎児の心拍は停止している状態です。
絨毛組織が残っているとhCGというホルモンの分泌が持続してしまいます。そうすると次の排卵、妊娠ができないことになります。
ですので、絨毛組織を完全に取りのぞき、排卵の再開を促して、次の妊娠に備えることが流産手術の目的になります。
流産手術が必要な流産
1.不完全流産
子宮内に流産で生じた残存物が残っており、子宮内容除去の流産手術が必要となります。
2.稽留流産
子宮内に死亡した胎児がそのまま残っており、やはり除去のための流産手術が必用です。
流産手術が必要ないケース
完全流産
この流産では、子宮内容物が完全に娩出されているため、流産手術の必要はなく、経過観察のみで済みます。
流産手術が必要となるのは、不完全流産と稽留流産という子宮内に内容物が残っているケースのみです。
流産でも子宮内になにも内容物を残していない、全て完全に娩出された完全流産では、一切の流産手術は必要なく、ほとんどの場合経過観察のみで済むことになります。
次の妊娠に備えるために~掻爬手術
流産の後、子宮内に残った内容物を取り除くための流産手術として、掻爬(そうは)手術が行われます。
この掻爬手術とは、子宮頸管より金属の手術器具を用いて、子宮の内容物を外に掻き出す手術です。
手術自体よりも、子宮頸管を拡張することに時間がかかります。ですが、実際の手術は数分程度の短時間で終わる単純な手術です。
流産後の掻爬手術の流れ
1. 子宮頸部を開く
分娩が未経験で子宮頸管が全く開いていない患者のために、子宮頸管にラミセルという時間と共に膨脹する器具を挿入し、数時間かけて子宮頸管を開きます。
この作業は、数回の分娩を経験された方は省略可能です。
2. 静脈麻酔をして、さらに子宮頸管の拡張を行う
この段階で静脈麻酔を行い、患者の意識と痛みを取り除き、必要ならば手術器具が挿入できるよう子宮頸管をさらに拡張します。
3. 子宮内容掻爬
充分に拡張した経管から胎盤鉗子などの手術器具を挿入し、子宮内に残った内容物をつまみ出します。
胎盤鉗子でつまみきれない小さな組織片は耳かきのようなキュレットという器具で子宮外に掻き出すのです。
この掻爬手術により、子宮内は空っぽになります。
4. 摘出した子宮内の組織の病理学的検査
肉眼で摘出した組織をチェックし、異常があれば、病理学的検査を行います。
5. 手術終了
準備の後の実際の手術時間はほんの十分ほどで、その後麻酔が切れるまでベッドの上で安静にしておきます。
一見すると大変なのは子宮頸管を拡張する準備だけで、手術自体は簡単なものに思えるかもしれません。
実際のところは、子宮内というデリケートな場所を金属の手術器具で掻き出すという手術方式であり、子宮内を傷つけるリスクも当然あります。
短い手術時間も油断をさそう要因ともなりかねません。
大事な子どもを妊娠する子宮を守るためにも、流産手術は信頼できる医師に任せるようにしましょう。
(Photo by: http://www.photo-ac.com/)
著者: カラダノート編集部