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育児・子供の病気

巨人症の疑いがあったら『経鼻経蝶形骨洞手術』の早期治療が必要


子供に巨人症の疑い…『経鼻経蝶形骨洞手術』とは?

 

「巨人症」という病気をご存知でしょうか?この病気は、多くは脳の下垂体に腫瘍が出来ることにより、成長ホルモンの分泌が促進され、「下垂体性巨人症」や「先端肥大症」などの身長や身体の一部の肥大症状が出現するという病気です。


この病気の治療法としては、第一に外科手術が選択され、最近では「経鼻経蝶形骨洞手術」という鼻から内視鏡を挿入し、脳の下部に存在する下垂体に出来た腫瘍を、開頭せずに摘出するという方法が主に行われています。この方法によって、脳に触れて損傷を引き起こすリスクが無くなり(硬膜に関しては合併症の可能性がありますが)、また早期に手術を受けて摘出することで低年齢の方であれば巨人症は9割程度の根治が出来ると言われています。

 

また、今まで腫瘍が大きく経鼻手術では全ての摘出が難しかったという方でも、「拡大法」という術法によってより大きな腫瘍が摘出できるようになったりと、内視鏡手術の方法も新たに考案されてきているようです。

 

経鼻経蝶形骨洞手術の実際について

 

経鼻経蝶形骨洞手術は内視鏡を使用した3時間程度の手術で、ある病院の報告では根治率は約7割程度と言われています。手術の流れとしては、以下のような方法で行われます。

 

1)鼻の中の粘膜を2cmほど切開し、内視鏡を挿入して進めていきます。鼻の奥に骨がありこれを切り取ると「蝶形骨洞」という空洞が見えます
2)空洞の奥に「トルコ鞍底」という下垂体の入った骨の底部分が見えますので、ドリルによって削り取ります。
3)この奥に白い膜(硬膜)があり、この膜を切って下垂体を露出させます。
4)下垂体にある腫瘍を見つけ出し、専用器具で掻き出して、吸引しながら取り除きます。
5)腫瘍の摘出部位が大きい場合は、空洞が出来てしまいますので(放置しておくと血液が溜まって感染症や視力障害の原因になる右下腹部に数cmの切開を入れて皮下脂肪を数cmほど採取し、これを空洞に埋めて処置します(半年ほどで吸収されてなくなる)。腫瘍が小さい場合は、脂肪を入れる必要はありません。
6)最後に骨や組織を元通りにし生体糊で固定をして終了です。

 

手術によって生じる合併症について

 

経鼻経蝶形骨洞手術にを行う上で、発症する可能性のある合併症に以下の6点があります。

 

◆下垂体機能障害

下垂体は術前が正常であっても、これまでの長期間圧迫と手術による刺激がきっかけとなり機能低下が見られる場合があります。多くは一過性のものとされていますが、稀に永久的な低下が見られる場合があるようです。また各下垂体分泌ホルモンの低下によって以下のような様々な身体症状が現れる可能性があります。

 

副腎皮質刺激ホルモン低下全身脱力、低血圧、ショック

甲状腺刺激ホルモン低下重篤な低体温症

抗利尿ホルモン低下尿崩症

性腺刺激ホルモン低下無月経、不妊など

 

この場合、ホルモン剤投与による治療が行われます。

 

◆手術中と手術後の出血

術前に、腫瘍が下垂体左右にある海綿静脈洞にまで浸潤していた場合、血管壁が圧迫で弱くまり、術中に大量出血を起こす可能性があります。この場合、完全な止血処置が行われますが、何らかの原因で再出血を起こし血腫が出来て摘出手術が必要になる場合もあります。

 

◆視力障害の悪化

術前に視力障害がある場合腫瘍摘出が不十分、また摘出部位に出血があった場合は視力障害が改善されない、また悪化の場合もあります。


◆髄液鼻漏と髄膜炎

術中にくも膜に切開する必要がある場合があり、この際に髄液が漏出する場合があります。通常は切開部分を閉鎖すれば問題ありませんが、何らかの原因で髄液が鼻から漏出した場合髄液鼻漏」を合併する可能性があります。加えて「細菌性髄膜炎」などの感染症を引き起こす場合もあります。

 

◆脳神経障害による複視症状

腫瘍が海綿静脈洞まで浸潤していた場合複視症状(物が二重に見える)が生じることがあります。多くは腫瘍摘出によって改善されます。しかし術前無症状であった場合でも海綿静脈洞内腫瘍を取ることで発生すると言う場合もあります。この際も、多くは数ヶ月で自然に軽快するとされていますが、中には永久的な障害を残す場合もあります.

 

◆鼻周囲の異常や外見上の問題

女性や子供である場合、鼻の穴がやや小さいので、皮膚に亀裂が生じたり、手術した方の鼻の穴が小さくなることがあります。また鼻の付け根が少し低くなる可能性もあります。また鼻の内部においては、鼻粘膜が損傷され、乾燥感や異臭を感じる場合があります。

 

術後も症状が改善されない場合は?


手術後も、成長ホルモンが過剰に分泌される場合には放射線療法や薬物療法による治療が行われます。【ソマトスタチン系薬⇒成長ホルモンの分泌を抑える】

 

最後に

 

この手術を行う場合は、上記のような合併症が起こる可能性がありますが、いくつかの大学病院においては「経鼻経蝶形骨洞手術」を500例以上経験(安全性が高いと言われている手術数)されている医師がおられたり、また最初にも述べましたが「拡大法」と言われる摘出部位を広げることの出来る新しい術法が取り入れられている病院もありますので事前にいくつかの病院を比較検討してみる必要がありそうです。いずれにしても、この病気は早期の腫瘍が小さいときであるほど、根治率が高まるとされていますので、徴候が見られた時点で検査だけでも受けてみる必要があると思います。

 

(photo by://pixabay.com/ja/%E6%89%8B%E8%A1%93-%E6%93%8D%E4%BD%9C-%E7%97%85%E9%99%A2-%E5%A4%96%E7%A7%91%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0-%E5%8C%BB%E5%AD%A6-%E5%86%85%E9%83%A8-%E5%8C%BB%E5%B8%AB-%E7%9C%8B%E8%AD%B7%E5%B8%AB-79584/)

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-07-28掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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