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薬が効かない耐性菌が増えている?薬剤耐性菌「CRE」と「薬剤耐性緑膿菌感染症」とは

最近ニュースでも院内感染や多剤耐性菌という言葉をよく耳にします。

これらは私たちのごく身近な存在なのですが、まだあまりよく理解されていないかもしれません。

注意したい細菌の感染症事情について、ご紹介します。

 

多剤耐性菌とは

MRSAやVRSAという言葉は、新聞やテレビでときどき見かけますがどういったものかご存知ですか?

これらは、抗生物質に対して耐性を持つ、つまり抗生物質を投与しても効かない菌です。

 

MRSAはメチシリン系抗生物質が効かない菌、VRSAはバンコマイシンにおいても効果がない菌、という意味です。現在では、切り札といわれていたカルバペネム系抗生物質に対しても、海外で耐性菌が出現しています。

 

  

たくさんある抗生物質とのいたちごっこ

抗生物質は、青カビからペニシリンが発見されて以来、たくさんの種類が見つかって薬として世に出てきました。

少し経つと、青カビ以外にも、細菌に効果がある物質がもっとあるだろうと、当初新しい抗生物質の探索をしていました。

やがて、ペニシリンで治っていた病気が治らない場合が出てきて、違うタイプの抗生物質でないと病原菌をやっつけられなくなる、さらにその抗生物質も効かないことが出てくる、といういたちごっこが、いつの間にか始まってしまったのです。

今では、世界中でさらに新しい、耐性菌ができにくい抗生物質が研究されています。

 

細菌の突然変異で生まれる多剤耐性菌

細菌は、突然変異を起こす確率が高く、数千万、数億、数千億…と増えていくうちに、そのなかに一つでもその薬剤に耐えて生き延びられるものがいれば、爆発的にそのタイプのものが増えます。

現代社会ではたくさんの抗生物質を日常的に使用するようになったため、世界規模でこうした多剤耐性菌が生まれる環境ができてしまいました。

 

世界中を移動する病原菌

さらに、世界中を人や物が行き来する現代では、世界のどこかで発生すれば、いつ日本にやってきてもおかしくない状況になっています。

こうした細菌は、その多くが健康な人には発症せず、高齢者や病後などの免疫力が低下している人が発症して重篤化してしまうのです。そうした患者が多い病院で発生すると、菌を押さえる薬がないため、食い止めることが難しく、院内感染として次々に感染が広がってしまいます。 

 

感染症には潜伏期間もあり、自分でも気づかないことがよくあります。

自分がこうした菌の運び屋にならないための配慮として、

・海外渡航直後は体の弱っている人に接触しない

・病院などに出入りする場合には手洗いをきちんとする

などを心がけましょう。

 

 

カルバペネム系抗菌剤が効かない新しい薬剤耐性菌「CRE」

2013年3月、アメリカ疾病対策予防センター(CDC)は、新しい多剤耐性菌の増加を警告する発表を行いました。

 

最後の切り札も効果がないCRE

多剤耐性菌が増加する中、切り札とされていたカルバペネム系抗生物質にも耐性を持つ細菌による感染症が、アメリカで増えています。

このCarbapenem-Resistant Enterobacteriaceae(CRE)と呼ばれる細菌類は、肺炎桿菌や大腸菌、その他腸内細菌で、カルバペネム系抗生物質への耐性を獲得したものです。

過去10年間で腸内細菌のうちカルバペネム系抗菌剤が効かない菌が増え、2012年上半期には、全米の病院の4%で、カルバペネム系抗菌剤が効かない細菌による感染症が発生しているのです。

 

CREは、肺炎や尿路感染症の原因になりやすく、また手術後の患者には、手術した部分の感染症や腹膜炎、膿瘍などを引き起こします。

さらに血液中に侵入した場合には、敗血症など重篤な症状を引き起こすことも多く、アメリカでは発症者の約半が亡くなっているといわれています。

 

国内ではほとんど発生がない

日本ではまだカルバペネム系抗生物質が効かない菌は、さほど見つかっていませんが、発生すると食い止める薬剤がないため、厚生労働省は国内医療機関に注意を呼びかけています。

 

海外渡航者の増加など、アメリカで起きている感染症は、いつ日本で起きてもおかしくない時代です。

海外から帰ってきて体調を崩した場合には、渡航歴を必ず医師に報告しましょう。

また、健康な方はほとんど発症しないので、さほど心配はいりませんが、家族や大切な人に感染が広がらないように、手洗いなどで清潔を保つことが大切です。

 

 

水回りに注意!エンドトキシンを出す「薬剤耐性緑膿菌感染症」

最近、全国の病院や高齢者施設などで散発的に発生が報告されている多剤耐性緑膿菌。

どのような菌でどんな危険があるのでしょうか。

 

水回りなどにいる常在菌

緑膿菌は、水回りなどに普通にいる常在菌で、口の中や鼻の粘膜などにもいます。

風邪を引いたときに鼻水が緑色っぽくなるのも緑膿菌の場合があります。

また、転んだときの傷口を絆創膏で塞いだまま不衛生にすると、緑色の膿みが出ますが、あれも緑膿菌です。

 

それ自体は健康であればまったく影響しない弱毒性の細菌で、消毒などで対処できます。

しかし、高齢者などで免疫力が極度に低下した場合などに、この菌が体内で増殖する日和見感染が起きることがあります。

 

多剤耐性菌が増えている

他の菌と同様に、緑膿菌も多剤耐性菌が出現しています。

自然耐性でペニシリンなどが効かない菌がいましたが、現在では新型の抗生物質まで広範囲に耐性を持つ菌が見つかってきており、警戒が強められています。

 

細菌の出す毒素エンドトキシン

痰や鼻水などにも菌がいるので、これらから感染が広がらないように配慮しましょう。

また、痰に菌がいる場合には、肺などで増殖して炎症を起こしていないか、といった検査も必要となります。

高齢者では、口の中や肺にこの菌が増殖し、なにかの拍子に傷口から菌が血液中に入ったりすることも起こります。

 

この菌はエンドトキシンと呼ばれる毒素を産生します。

血液中に入り、敗血症を起こすと、エンドトキシンショックとよばれる細菌毒への激しい反応から多臓器不全を起こし、死に至るケースもあります。

病院では、点滴や輸液中に混入する可能性もあるため、院内で発生した場合には、十分な感染防止措置がとられます。

 

どこにでもいる菌だからこそ

常在菌であるため、洗面所やトイレ、お風呂などの水回りが感染源となりかねません。

医療機関では、こうした施設を常に清潔に保つ必要があります。

薬剤耐性の菌はどこに潜んでいるかわかりません、そのため厳重な感染防止対策が必要です。

 

万一、感染が発生した病院に出入りする場合には、病院の指示に従い、十分な注意を払いましょう。

 

(Photo by: http://www.ashinari.com/2012/12/07-373878.php)

著者: カラダノート編集部

本記事は、2017-04-09掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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