メンタル
3大欲求すら低下させる、うつ病の身体的症状~意欲低下や感情変化に見られるうつ病~
うつ病は「心の病」で、日本でも多くの方達が悩まされています。
うつ病と聞くとどういう症状を想像しますか?
憂鬱な気分ややる気が出ない、人と接したくないなど、心の症状を思い浮かべると思います。
しかし、見た目に分かる症状もあるんですよ。わかりやすいのは3大欲求の低下です。
家族や友人で、こういう症状の人がいたらうつ病を疑ってみてください。
早い段階での治療で、悪化を防ぐことができます。
うつ病は悪化してしまうと完治が難しくなりますので、早めの対処で、うつ病を治しましょう。
目で見える症状とは?
●睡眠
睡眠障害には、不眠と過眠があります。
不眠に悩む人のほうが圧倒的に多くいます。しかし、中には常に眠気があり日常生活が送れないこともあります。不眠では、寝付きが悪かったり、夜中頻繁に目が覚める、早朝に目が覚める人もいて、熟睡できないこともあります。寝れない辛さは、相当なストレスを招きます。うつ病で不眠に陥ると、更にうつ病を悪化させることになります。
●頭痛、肩こり
締め付けられるような頭痛が多く、頭がずっしり重い違和感を感じる方もいます。
頭痛と共に首も同様の症状が現れます。
この重苦しい感じは、風邪とは全く違う感じなのだそうです。
●食欲
食欲が低下することで、体重が落ちます。
うつ病になると意欲が低下するため、好きだった食べ物もあまり食べれなくなります。
逆に、過食になる人もいます。
美味しく食事をとるというよりは、空腹を感じないのに食べないといられないと言ったような「つめこみの食事」が見られます。
●性欲
意欲が低下するため、性欲も減退します。
性欲と同様に、好きな人と一緒にいたいとか夫婦仲良くいたいとかの感情が失われ、孤独になる人が多くいます。
●その他
慢性的な痛みを発症させることもあります。
腰痛や肩こり、胃の痛みなど原因の病がないのに痛みはひどく完治しません。
うつ病は、目で見える症状もあります。
まずは身近にこのような悩みを抱えていないか?または自分に当てはまらないかをチェックしてみましょう。
早期治療に役立ててください。
「好き」「楽しい」という感情すらなくなるうつ病
うつ病の特徴のひとつに、以前好きだったことへの興味がなくなり、楽しく観ていたテレビも見ることがなくなるなど感情部分が欠落してきます。それは交友関係にも影響し、人と会うことを煩わしく感じたり、内向的になるのです。これは、人との接触をすることそのものが嫌ということではないのですが、うつ病の自分が人に迷惑をかけるのではないかという自責の気持ちから、迷惑をかけるなら会わないほうが良いという選択をするのです。
これは一例に過ぎませんが、いくつか感情面で疑われるうつ病の様子を挙げていきます。
感情面で疑われるうつ病の様子
・突然涙ぐんだり、泣きだしたりする、周囲には原因がわからない
・これまで楽んでいたことに対して楽しめなくなる
・集中力が欠け、落ち着きのない様子が頻繁にみられる
・些細なことで怒りやすくなり、沈黙することが増える
何気ない一言が相手を傷つけることも
私たちは何気なく「一時の気分の落ち込みだよ」「誰でもなるし大丈夫」といった無責任な言葉で、もしかすると本当に病気になっているかもしれないのに、関わり合いを避け浅くつき合いをしようとします。うつ病の患者のほとんどは「自分は以前こうでなかった」ということを自覚していることがあるので、「それほどに心配であれば病院に行くと良いよ」と周囲が勧めてあげるのも一つの方法です。
こういった感情的な面において、普段とは違った様子が長く続く場合には、うつ病だけでなく他の病気も疑われることもあるので、正しい知識を持つ専門医に診察してもらうことをおすすめします。
性欲の低下はうつ病の症状のひとつ!?
「性欲の低下」と聞くと、最近忙しすぎてとてもそんな気分にはならない、もう年だから仕方ない、そういう気分にならない……と色々な意見が出るでしょう。そして、それはさして問題にもされずに放置されることが多いと思います。
うつ病の問診を行う際、これに関しては本人も訴えないし、医師や専門職側も聞きそびれてしまうことがあります。
婦人科や泌尿器科の問診では必要な項目なのに、精神科ではそれほど重要視されないというのもあるとは思いますが、うつ病の症状としては以外に頻度の高い症状です。
性欲というのは、その他の身体症状に比べれば、パートナーとの対人関係を含む分、どの程度病気のせいにしてよいのか、判定に迷うところがあります。
しかし、うつ病という病気の性質上(生命や生活力そのものに直接関係してくる病気であるので)、結果的に一番過小評価されてしまう症状になります。
うつ病の場合、まだ中年なのに、全くといっても言い過ぎではないほど関心を失います。
男性の場合、ED(Erectile Dysfunction:勃起不全)の方の約10%がうつ病であるというデータもあるほどです。
うつ病が良くなるにつれて平行して、あるいは遅れて回復しますが、まれにこれだけが中々回復しない、という方もいます。
男性の場合、「うつ病が良くなったのに、まったくそういう気にならない。妻に申し訳ない」という方もいらっしゃいます。
妻の方は夫ほど気に病んでいないケースがほとんど(むしろ夫婦生活がなくても構わないという方が多い)ですが、男女の感覚に根本的なズレがあるので、こういうケースは男性にとって深刻なようです。
できれば夫婦間で良く相談し、うつ病の回復後、必要があればED専門医にかかるのが良いでしょう。
ただし、気をつけて欲しいのが、「うつ病の薬の副作用で性欲がなくなる」などという誤った知識で、うつ病の薬を自己中断することだけは、絶対に止めて頂きたいということです。
薬の減量、もしくは服薬終了の判断は、必ず医師の指示に従うようにして下さい。
うつ病は心だけでなく、体全体の病気
■うつと心の病気
最近どうも調子がでない。何をやろうとしてもおっくうで、「よし、やろう」という気力がでない。
気分が落ち込んで、いやなことばかり考えてしまう。
…もしかするとうつ病かもしれない。
いまやうつ病は、さまざまなメディアで取り上げられるようになって、かなりよく知られた病気になっています。
それだけに、ちょっと心の調子が悪いと、もしかすると自分はうつ病かもしれないと考える人がふえてもおかしくはありません。
最近、うつ病について語られるとき、たびたび使われるのが「うつ病は心のカゼ」という言葉です。
うつ病はカゼのように、だれもがかかる可能性のある、ごくありふれた病気だということです。つまり、うつ病は特別な病気であるとともに、多くの人がかかる病気であるということなのです。
■うつ病の症状
うつ病の症状は精神面ばかりでなく、体の面でもさまざまなあらわれ方をします。
うつ病は心と体、つまり体全体の病気なのです。
うつ病の症状の特徴をざっとみてみましょう。
典型的な症状としてよくいわれるのが、気分の落ち込み、疲労、食欲不振などです。
気分としては、
・憂うつ
・気分が晴れない
・気分がふさぐ
・悲しい
・つらい
・苦しい
などという感じが長く続きます。こうした気分に、不安が重なったり、眠れなかったり、また、性欲がなくなったりもします。
体調としては、
・だるい
・食欲がない
・下痢や便秘になる
・頭痛
・肩こり
などがみられます。
■見過ごされてしまう「うつ」
これだけみても、うつ病の症状は実にさまざまであることがわかると思います。
これらの症状は日常の中でだれもが経験することばかりなので、本人はもとより、家族などまわりの人たちもうつ病とは思わず、つい見過ごしてしまうこともよくある、やっかいな病気です。
大切なのは、このようなことがたびたび繰り返されるかどうか、そして長く続いているかどうかです。
要は、「いつもとちょっと違う」ということに早く気付くことなのです。
「これまでと何か違う。しかも、その違いの程度も強いし、それがいつまでも続いている」と感じたら、早めに専門医に相談する必要があります。
うつ病は怠け病ではない、誤解されやすい病気
うつ病と聞くとほとんどの人は「心が弱いから」「自分でなんとかできるはず」「気の持ちようで治る」と考えがちだと思いますが、実際には治療が必要な体の病気です。
うつ病は脳内のセロトニンと呼ばれる神経伝達物質が正しく働いていないためで、これは日常で感じるストレスや環境の変化によって起こりやすい個人差のある病気なのです。
【うつ病にかかっている人の状態】
・今まで好きだったことに対して興味がなくなる
・楽しいと感じることができない
・何をするのもだるく感じる
・交友関係を絶とうとする
・仕事ができなくなる
・新聞やテレビなどをみなくなる
・自分の身だしなみに関心がなくなる
このようなことが起こり始めます。
この状態が、原因がわからないのに1週間ないし2週間以上も続くような時にはうつ病を発症している可能性が考えられ、正しい治療が必要となるのです。
【仕事を失う可能性もある】
また、うつ病を発症したことで生活そのものの意欲がなくなり、失業したというケースもみられ、職場復帰さえできなくなるようなことがあります。
場合によっては入院することも必要で、うつ病がまだ一般的には理解されにくい現状もあるため、相談もできずに仕事を先に辞めてしまい収入もなくなり自殺行為に及ぶというケースも珍しくありません。
【働き盛りに多いうつ病】
特に働き盛りの30歳~40歳代からうつ病となるケースが多く、独立行政法人労働者健康福祉機構の調査の中では、ほとんどの悩みの原因となるのは「上司との人間関係」や「同僚との人間関係」あるいは「職場環境」「仕事の負荷」などが関連しています。
家庭では元気であっても仕事中にうつになるという職場うつとも呼ばれるうつ病は一種の適応障害ともいわれ、異動などをするとストレスがなくなり回復するケースもあるといわれます。
うつ病は、その発症した個人だけの状態を見るだけでなく、周囲の環境も併せて職場内において注視することも必要になるのです。
仕事や家事への意欲とうつ病
最近の自分はどうもおかしい。もしかしたらうつ病かもしれない。
そう思ってクリニックを受診する方は、自分の仕事や家事に関する異変で気付くことが多いようです。
とかく日本人は日々の仕事に関して真面目です。それはおそらく世界中に誇れる事でしょう。
ですが、その几帳面さが、裏を返すと自分を追い込む原因だったりもします。
1. 仕事をしなければいけないと頭では理解しているのに、なかなか取り掛かる気にになれない。
2. 仕事に取り掛かっても、続ける根気がない。
3. 決断がなかなかつかない。
4. いつものように気軽に人に会う気にならない。
5. 何となく不安でイライラする。
6. これから先、やっていく自信がない。
これらはうつ病のはじまりにありがちな症状です。
特に「決断がつかない」は軽症の場合にとりわけ重要な項目です。
決断といっても、何千万のお金を動かすとかいう大きな決断ではありません。
この仕事とあの仕事のどれを先に行うべきか、主婦であれば、スーパーで夕食にこれを買うかあれを買うか。そういった極簡単な日常的な小さな決断です。
考えてみれば、私たちの一日は、こうした日常的な小決断の連続から成り立っているわけです。
決断ができない、根気がない、人に気軽に会う気にならないなどは、それこそ本人にしか自覚できません。
誰かが指摘するわけではないので、そういう時期がかなり長く続くことがあります。それは本人にとってとても辛いことでしょう。
決断不能はそういう内的抑制症状のひとつだと言えます。
仕事での決断が上手く行かないと、仕事は当然長引きます。そして残った仕事を家に持ち帰り、そこでまた心的疲労を溜め込む。頑張らなきゃと思うのに、心ががんばれない。
そんな悪循環に引き込まれ、どうにもならなくなる前に、「おかしいのでは?」と思った時点で、専門家に相談してみるのが良いかと思います。
(Photo by: http://www.ashinari.com/2013/01/31-375841.php)
著者: カラダノート編集部