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記憶喪失としても知られている解離性障害。解離性障害の治療、PTSDとの複雑な関係?解離性とん走とは?

     

映画やドラマでよく目にする記憶喪失なるものは、脳の器質的な障害からくる記憶障害と、精神的な解離性のものとがあります。

 

全生活史健忘とは、記憶の中である特定の追想だけが障害される「選択的健忘」のうち、その人が生活する上での社会的な知識や一般知識は保たれているにもかかわらず、主に自分の生活史に密接に関連する記憶のほとんどを失っている状態をいいます。

 

また、心因性健忘は、抑圧という防衛機能を用いて、その人物にとって受け入れがたい事柄かを、意識から除去し、無意識の存在へと変えてしまう、積極的な心的過程の結果として生じます。

 

要するに、心因性の健忘は、単に記憶を失っているだけではなく、耐え難い苦痛や不安な体験に対する積極的な防衛機制です。

解離性障害にはDSM-Ⅳ(精神障害の診断と統計の手引き)では次のように分類されています。

 

1. 解離性健忘

2. 解離性遁走

3. 解離性同一性障害(多重人格)

4. 離人症性障害

5. 特定不能の解離性障害

 

日本で報告されている全生活性健忘の症例はほとんどが解離性健忘、または解離性遁走に該当すると思われます。

 

良く、配偶者が死去したにもかかわらず、その事実だけがすっぽりと抜けていたり、強姦された少女がその事実を全く覚えていないなど、心因性健忘に関しては比較的よくその症例を目にします。

 

全生活史健忘の患者は、その家族によって、神経内科や脳神経外科に受診させられることがよくあります。

もちろんそれは当然の判断でしょうが、検査の結果、重度の心的ストレスが引き起こした心因性の健忘が疑われる症例では、治療の早期から精神科医に関わってもらうべきです。

 

重篤なストレスには、複雑な家族関係や、時には自殺の危険のような数多くの問題が含まれている可能性があります。

あくまでも慎重に、そしてケースに沿ったケアが必要となります。

 

 

解離性障害とは?~解離性同一性障害(多重人格障害)~

解離性障害(Dissociative Disorder)として有名なものには、解離性同一性障害という、俗に言われる多重人格障害というものがあります。

 

本来「解離」には、心が危機的側面に直面した時に、防衛反応が働き、気が遠くなったり、失神したりするものを言います。

自己の許容範囲を超えた状況に直面した時、一時的に記憶をなくしたりするのも、この解離にあたります。

しかし、日常生活に支障を来たさないものは障害ではありませんが、解離性同一性障害の場合は、明らかに生活に支障を来たすものです。

 

離人症を伴わない解離性障害としては、宗教などで強い洗脳を受けた後の同一性の喪失や、身体疾患を原因としない意識の混迷や喪失があります。

しかし、これらは精神療法や薬物療法である程度短期間で治療の効果が出ます。

 

解離性同一性障害に関しては、治療がかなりの長期間に及ぶこと、また、治療後に予期しない人格の崩壊などが認められることもあり、同じ解離性障害の中でも重傷度が高いものとして分類されています。

 

多重人格障害の場合、一人の中に複数の人格が存在していることが多く、その人格同志に疎通性のないことが問題とされます。

一つの人格が表出している間は、他の人格は心の奥深くに沈んでいる事が多く、その行動内容を別の人格は把握していないことが殆どです。

 

また、複数存在する人格の中には、本人の実年齢や性別に関係なく、幼い子供の人格があったり、女性であるのに粗暴な男性の人格が存在していたりします。

華奢な女性なのに、男性の人格が現れた途端、自分よりも大きな相手を投げ飛ばしたり、声や形相まで変化します。そのため、傍からみると明らかに異様に見えますし、当然のことながら周囲の人は振り回されてしまいます。

 

まれに、境界型人格障害の方が、演技で多重人格障害を演じていることがあります。

この場合、外来診療のみで解離性人格障害との鑑別をするのは難しいようですが、入院治療などで長時間関わっていくと、それが演技であるのかどうなのかは一目瞭然です。

 

解離性同一性障害の場合、本人は生きている感覚が希薄で、自殺念慮のある場合が多いので、大変辛い疾患であることに間違いはありません。

 

 

解離性障害の治療に際して

解離性障害には様々な症状があらわれ、その症状によってカテゴリー化されています。有名なものでは多重人格症状があらわれる解離性同一性障害、そして解離性健忘や解離性とん走など実に多岐にわたります。ただ、あらわれる症状は違えど、根本的な部分はそう大きく違わず、治療の方向もある程度共通しています。

 

 

基本環境

解離性障害の治療においてまず前提になるものがあります。それは以下のようなものです。

安心して治療を受けられる環境を整えること

家族など患者と接する人の病気への理解

主治医との信頼関係

解離性障害は何らかの大きなストレスをかかえていて、そのストレスをうまく表現することができないために、緊急的な回避方法として解離性障害の症状としてあらわれます。そのため、他人に自分を表現できる環境が必要になります。それを他人に表現するためには、安心できる人との関係性が必要になります。

 

見守る態度も大切

解離性障害の多くの症状は、ある程度の時間をすぎれば自然に解消されたり、別の症状へ移行します。そのため上記のような雰囲気や環境を整えながら、症状の自然経過を見守る余裕を持つことも大切です。

 

十分な理解をする

解離性障害は多くが、症状を信じてもらえない、演技だと思われてしまうという問題を抱えることがあり、それによって症状が悪化してしまうことがあります。そのため、医師は患者や、その家族に対して十分に病気について説明する必要がありますし、家族は十分に理解する必要があります。また、患者本人が十分な理解をしていない場合もありますので、全員で病気を理解し、症状を受け入れる環境を整えることが必要です。

 

薬物療法はあまり行われない

解離性障害には有効な薬はないと言われています。症状としては統合失調症と混同されやすい部分もあるのですが、統合失調症で使う抗精神薬もあまり有効ではありません。ただ解離性障害を悪化させるような依存症、例えばうつ症状に対して抗うつ薬を使われたり、PTSDを含む神経症状に対して精神安定薬が使われるなどはあります。

 

 

解離性障害では第一に患者の病気を理解し、受け入れることが求められます。

 

 

PTSDと解離性障害の複雑な関係

PTSD(Posttraumatic Stress Disorder:心的外傷ストレス症候群)では、解離性の諸症状が広範にみられることが知られています。

そもそもPTSD自体は不安障害として位置づけられているため、専門家の間でも論議されているところです。

しかし、実際に症状が見られる症例が多いことも事実です。

 

児童期に繰り返し経験される虐待や性的虐待の被害者に、解離性の諸症状が現れやすいことは比較的よく知られています。

 

「安全・平和なこの日本に虐待が存在しているの?」と疑問に思われる方がいるかもしれません。

それこそ、テレビや小説の世界で大げさに描かれているだけだと思われているかもしれません。

しかし、確かに虐待や性的虐待は存在します。その内容が辛辣なだけに、表面化していないだけなのです。

 

長期に渡る被害の結果として、身体化・解離・抑うつ・人格的な変化などが現れます。

 

しかし、虐待や性的虐待のみでなく、突然トラウマティックな出来事が経験された場合にも、解離の症状は出現します。

例えば、犯罪被害や災害や家族の突然の死などでも、その症状は現れます。

 

心因性の健忘や離人感などの解離症状は、単一のトラウマにおいても、特に急性期に認められますが、これはトラウマの最中や直後においては適応的な防御機能で、これにより、人は異常な事態に対応し続けることが可能になると考えられています。

 

解離のメカニズムは、状況によっては次のような機能を持つと言われています。

 

1. 行動の自動化(何も考えずに行動してしまうこと)

2. 努力の効果と経済性(頑張ることで何らかの利益を得る)

3. 両立させようのない葛藤の解決

4. 現実の強制からの逃避

5. 破局的な経験の孤立化

6. 特定の感情の表出

7. 集団感覚の強調

 

患者にとって、トラウマの状況は不適応と苦痛をもたらします。実に辛いものです。

自分の心を正常に保つために解離という症状が出現するのだとすれば、頷ける点もあります。

しかし、あくまでもその症状には個人差があり、一言で語れるものではありません。

 

それだけPTSDと解離のかかわりは複雑であるといえるでしょう。

 

PTSDが生み出される状況は人それぞれです。

震災や事故などもかなり辛い経験ですが、それ以外に人為的なもので生み出される被害者の方々の苦悩を思うと、世の中の不条理さを嘆かずにはいられません。

 

 

意識もなく逃げ出す、解離性とん走とは?

解離性障害の症状の中に解離性とん走というものがあります。解離性とん走とは、何の前触れもなく突然、目的を持って家から飛び出し、その間は自分が誰なのかなど、それまでの人生の一部や全てを思い出せなくなるものです。この解離性とん走は1000人に2人くらいの割合で起こります。

 

 

とん走の期間

解離性とん走の症状は上記のようなもので、とん走の期間は数時間である場合もあれば数週間、数か月、もっと長期間にわたる場合もあります。とん走の時間が短い場合には単に仕事に遅刻しただけのように見えたり、帰宅が遅くなっただけのように見えます。とん走が長い時間続く場合は自宅から離れて遠くの土地へ行き、自分の生活の変化に気づかずに、別の人間として新しく仕事を始めるなどすることがあります。

 

とん走時の本人

とん走をしている状態のとき、本人は普段の状態とは異なり、自分は自分であるという自己同一性を失っています。しかし、外見上特に変わった様子はないので人から注目されることはなく、軽い混乱が見られることがある程度です。

 

とん走が終わると

ある時点で急に記憶を失っていることを自覚すると、自己同一性とその状況に混乱することもあります。そしてその状態では人の注目を浴びるので、医療機関や法的機関の目にとまることがあります。具体的にはとん走が終わると、抑うつや不快感、悲嘆、羞恥心、葛藤、自殺など衝動的な行動に出ることもあります。

 

詐病との違い

詐病とは自分の利のために病気であるかのように偽る行為のことです。詐病も解離性とん走も自分のその時の責任や状況から逃れたい、回避したいという理由から起こるもので、解離性障害はしばしば詐病と間違えられます。しかし、解離性とん走は詐病とは異なり、演技ではなく、無意識のうちに起こっている障害です。

 

 

詐病と間違えられやすい分、決めつけによって本人を責め立てたりせず、適切に診断を受けることが大切です。

 

(Photo by:http://www.ashinari.com/2013/08/27-381303.php )

 

著者: カラダノート編集部

本記事は、2017-04-26掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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