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介護・認知症

介護不要の老後に!科学的視点に基づく介護予防訓練法とは?

 

 

高齢者の介護予防訓練には、筋力トレーニングが最も重要

 

現在、高齢者の介護予防対策が、国や自治体によって盛んに行われるようになってきました。その対策の内容としては、筋力低下による転倒の際の重篤な怪我を予防する訓練や、知力トレーニングによって認知症を予防する方法など様々な訓練が実施されていますが、過去には、高齢者に対する筋力トレーニングは関節を悪化させたり、高血圧を引き起こすものとして否定的な見方がありました。しかし現在では、トレーニングの方法にも科学的な視点が取り入れられており、例えば高齢者の方の最大筋力などを考慮し、なるべく体に負担を掛けない回数や負荷設定が考案されたり、また高い技術と人体力学などの視点を取り入れられた最新の機器が登場することで、多くの方が健康を悪化させるような故障も無いとして広められるようになってきました。


このような高齢者の筋力トレーニングの重要性を初めに提案したのが、2000年頃にアメリカフロリダ大学の教授によって考案された『ウェルラウンド・エクササイズ』というものが始まりではないかと言われています。

ウェルラウンド・エクササイズは、『有酸素運動』『筋力作り』『ストレッチ』の3点を組み合わせたもので、これまで高齢者の訓練と言えば有酸素運動が中心で、代謝機能の改善がメインとされ、体の故障も頻発していた当時と比べると、筋力強化が加わることで、自立した生活を送れている方が増えたとされています。

 

日本でこの流れが国によって重要であると認定されたのは、2000年発表の『健康日本21』中に高齢者の筋力作りの重要性が強調されて以来だと言われています。そして現在では、これらの訓練法の見直しの成果もあり、介護不要の高齢者の数が全体の8割程度になるなど非常に変化が見られると言われます。以下では、近年の高齢者のトレーニングの指針と、具体的なトレーニング方法などについてご紹介していきたいと思います。


無理をするトレーニングより、楽なトレーニングが効果的である?!

 

近年の高齢者のトレーニングの指針をまとめると以下の3点が重要とされています。

 

1)従来の有酸素運動が中心の訓練に、【軽い筋力トレーニングやストレッチを併用させ、】筋力の強化と関節の伸長を行う。
2)【軽度~中度の運動(楽~やや楽に行える程度)にて】筋力アップの効果は十分確認されている。
3)運動時間の目安としては、【10分以上/回⇒合計30分以上/日を毎日継続】することで、十分効果は確認されている。

 

重要なのは、2)のやや楽に行える程度の運動で十分であると言うことです。従来は「ややきつめ」の訓練を行うことが多かったようですが、故障に繋がりやすいことと、継続性が低下すること、また以下に示すように「楽である」訓練と「ややきつい」訓練を行った結果の筋力アップに、あまり大差が無いことが挙げられます。

 

<1回の運動にかける負荷は最大筋力量の何%が適切か?>
一般的に高齢者がトレーニングを行う際にかける負荷が、
◇1RM(1回の運動における重量負荷量)60~90%
◇レップ数(反復回数)8~15 が目安とされていましたが、
                 
60~79歳の高齢者を対象にした、負荷に関する調査が行われた結果、1RM=80%の時と40%の時に筋力量に大差はないとされ、
◆1RM=40~50%
◆レップ数は8~15 
現在ではこちらの数値の方が推奨されています。 

⇒つまり1回の運動に40%程度の筋力が必要な負荷を掛け、8~15回程度の反復運動をすることが望ましいとされています。

 

<筋力維持のための、最低限のトレーニング回数とは?>
訓練で得た筋力を維持するために、必要なトレーニングの頻度について、例として、『31週間トレーニングを継続した高齢者が、どの程度トレーニングを継続することで、筋力が維持できるか』を調べられたところ、


◆週1~2回程度の継続


にて維持できることが分かりました。(途中で止めてしまったケースは、筋力量が31週前の状態に戻ってしまった。)


1.ツールを利用した具体的なトレーニング

 

従来のツールを利用したトレーニングには、【椅子・バランスボール・エクササイズチューブ】などによるものがあります。これらの方法のメリットは、購入の費用が安価で、場所を選ばす気軽に行えることです。しかし、デメリットとして、デジタルの機器のように数値で負荷設定が出来ないので、その調整が難しいこと、関節に負担がかかりやすいことなどがあげられます。

 

1)椅子による訓練(ロワーバック・エクステンション:背筋訓練)
ウォーミングアップとしても最適な、軽い背筋運動。
【手順⇒】椅子に座って前かがみになり、手でつま先を触れます。その後背筋を使いながら、徐々に上体を元に戻していく。また、座ったまま膝を曲げ伸ばしすると、大腿四頭筋の強化も行うことが出来る。

 

2)バランスボールを用いた訓練(ウォールスクワット:背と壁の間にボールを挟みスクワットを行う)
背に膝の負担を逃がしながら、体を安定させて下半身強化が行える。
【手順⇒】足を開いてバランスを取り、背でボールを押しつつ、ゆっくりスクワットを行う。中~上級者にはダンベルを手に持って負荷を増やして行う方法もある。

 

3)エクササイズチューブを利用した訓練(シーテッドロウ:チューブを足に引っ掛け、引き伸ばす)
背筋と腕筋の強化に繋がる。
【手順⇒】チューブの長さを調整することで、負荷を上げることが出来る。

 

2.最新機器を利用した具体的なトレーニング

 

介護予防に役立つ最新機器は、現在ではいくつかのリハビリテーション施設や病院、デイサービスなどにも導入されている例があります。しかし、デメリットに機器の価格が高額である場合が多いため、数の導入が難しいこと、自宅で行えないため継続して施設に通う必要があることなどが挙げられます。その一方でメリットは非常に多く、関節への負担が軽減されるものが多いこと、実際の負荷や反復回数以上の筋力強化が見込める場合もあること、機器の操作に楽しみを持ってトレーニングを行える場合が多いこと、などが挙げられます。

 

1)レッドコード
体重を置いた際の適度な弾性が、関節への負担を軽減し、動作の容易性とストレッチング効果を表す。

【手順⇒】ノルウェーで開発された機器で、天井から吊り下げられた赤いロープに身体の一部を掛け、静止状態、動きを付けた状態にて訓練を行います。柔軟な素材が、関節にかかる体重の負担を減少させ、筋力強化、バランス訓練、関節可動域訓練などを行いやすくします。また、筋肉のストレッチ、血液循環の促進などにより、脳卒中、脳性麻痺などによる筋肉の緊張改善にも効果があります。

 

2)HUR
90歳からアスリートまで使用できる、空気圧による全身の筋力強化訓練器。

【手順⇒】フィンランド製の全身の各部位を一台で強化できる訓練器で、事前に体力測定を行い、その結果に伴って訓練員が負荷の設定を行い身体に無理なく訓練を行うことが出来ます。使用者の関節可動域に合わせてマシンの可動範囲を制限できるので、関節に負担を掛ける心配が軽減されます。

 

3)パワープレート
同じ時間、同じ負荷で、通常運動の数倍の強化が望める、高速振動訓練器。

【手順⇒】1秒間に、約25回~50回の振動による「加速度」によって、関節に過度な負担を掛けることなく、筋肉を収縮させ、重いウェイトを持って重量を増やした場合と同様の効果が得られると言われています。通常のトレーニングでは身体全体の40%程度しか鍛えられないと言われていますが、この機器であれば30分の使用で身体全体の97%の筋肉を刺激することが出来るとされています。

 
最後に

 

介護予防トレーニングは上記のように、技術的な面でも理論的な面でも発達しており、効果を期待してリハビリテーションサービスに通われたり、また学んだ知識を元に、家庭内で実践されたり、ということが多いようですが、特に気をつけなければならないのは、当人の状態を良く考慮して、トレーニングの行いすぎに注意することであります。例えば、心臓疾患を持った方には、腕を心臓より高い位置に挙げると、心拍数が増加する場合があります。また、身体全体の筋力を満遍なく鍛えることは重要ですが、例として10種類のトレーニングを各10レップ行い、総レップ数100にもなると、この日の晩には足腰が痛くて動けず、翌日と翌々日もその状態が持続し、結果効果が落ちてしまう、と言ったこともあるようです。80歳以上にもなると、30歳の時の筋力量の約50%の筋力量になるとも言われていますので、十分注意して行うことが必要になります。

 

(photoby://pixabay.com/ja/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96-%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%93%E3%83%86%E3%82%A3-%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB-%E9%81%8B%E5%8B%95-%E5%A5%B3%E6%80%A7-%E9%81%A9%E5%90%88-18975/)

著者: あせちるこりんさん

本記事は、2016-08-03掲載時点の情報となります。
記事内容について実行の際には、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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