気になる病気・症状
腹膜炎について知ろう!激しい腹痛は、急性腹膜炎かも!?
特発性細菌性腹膜炎とは、主に肝硬変を基礎疾患として発症する腹膜炎です。経過が急速で、見落とされることが多い割には発生頻度は高く、肝硬変の生命予後に大きく関わってくる疾患です。
特発性細菌性腹膜炎とは
原因
肝硬変を代表とする腹水を生じる基礎疾患によって発症します。腹水によって腸内細菌が腹腔内に感染しやすくなり、肝硬変による免疫力の低下が更に感染を容易にします。
症状
発熱と腹部症状が主症状となります。腹部症状としては腹痛、腹部圧痛、筋性防御(腹筋が異常に固くなる)といったものがあります。
しかし、発熱は微熱や不定熱であったり、腹部症状が軽い或いはまったく見られないという人もいます。
診断
腹水中の白血球数の異常な増加や腹痛などの症状によって診断します。
治療
感染菌に対して抗生物質を投与します。また、安静と食事制限・水分制限によって腹水のコントロールを行います。
治療効果は肝硬変の進行具合によって違い、早期発見・早期治療によって死亡率は下がるとは言え、いぜんとして高確率で死亡してしまいます。
肝硬変を持っている人はすでに病院での定期的な診察を受けているかと思います。しかし特発性細菌性腹膜炎はパッと見では発見することが難しく、発見が遅れてしまい手遅れになる事が多々あります。
もしも、微熱や腹水、腹痛といった症状が軽微であっても見られたならば積極的に医師と相談するようにしましょう。早期発見・早期治療が予後を大きく左右させることになります。
癌細胞が腹膜に転移して起こる!恐ろしい癌性腹膜炎
癌性腹膜炎とは癌細胞が腹膜に転移したために起こる腹膜の炎症です。
原因
主に消化器癌や生殖器癌の細胞が腹膜に転移して起こります。
癌性腹膜炎が起きていると言う事はすでに癌は末期であり、腹腔内のいたるところに癌細胞が散らばっていることを意味します。
症状
腹水の貯留、軽度の腹痛、腹部膨満感、呼吸困難が見られます。
また、長期にわたる腹水の貯留によって腸が複数個所で癒着して腸閉塞を起こします。腸閉塞が起こると予後は非常に悪くなります。
治療法
症状軽減のために腹水の穿刺排液を行います。腹水の中には体に必要なミネラルなども含まれている為に、電解質バランスに注意します。排出した腹水を濾過して血管内に再注入することもあります。これらに抗がん剤の投与も行います。
癌性腹膜炎は末期がん由来であるために、一時的な処置となります。
一方でこれらの治療法に異議を唱える者もいます。放っておけば自然と脱水となり水が抜けていくので、それを待つ方が体には負担が少なく抗がん剤の副作用による苦しみが少ないからです。
癌性腹膜炎になってしまえば治療は効果が無く制御できないので、抗がん剤による副作用を考えれば対症療法だけにとどめるべきだと考える医師もいれば、積極的に治療を行って少しでも長く生きれるようにすべきだと考える医師もいるようです。
どちらにせよ癌性腹膜炎は末期がん由来のものなので、治療をどうして、どのような最期を迎えるかについて、医師としっかりと相談すると良いでしょう。
結核菌の腹膜感染によって起こる!結核性腹膜炎
腹膜とは腹腔を覆っている膜で、そこに何らかの細菌が感染する事によって炎症を起こすものを腹膜炎と言います。
病状の経過によって急性腹膜炎と慢性腹膜炎に分けられますが、慢性腹膜炎のほとんどが結核性腹膜炎です。
原因
結核菌の腹膜感染によって起こり粟粒結核や肺結核、腸結核などに伴って起こることが多いのですが、原因病巣が不明な事もあります。
治療法の進歩によって日本での結核患者は激減しましたが、現在ではその減少傾向は横ばいになり、以前として発病者は絶えません。
症状
軽度の腹痛が長期に続き、腹部膨満感や腹水も見られます。
腹部以外にも微熱、全身倦怠感、下痢、便秘、嘔吐といった症状が見られる事があります。
検査
打診や超音波検査で腹水が確認されると腹水穿刺を行い、腹水中の結核菌の有無を調べます。それにツベルクリン反応も併用します。
治療
抗結核療法を行います。
抗結核薬の投与を中心に安静にして十分な栄養を取ります。
発見が遅れると腸管が狭まって腸閉塞を起こすことがあるので手術をしなければいけません。
結核はかつて日本の死亡原因の中心となるほど恐ろしい病でした。それが抗結核菌薬が開発された事によって死亡患者は激減しましたが、それでも以前結核患者がいなくなる事はありません。
感染したからといって必ず発病する訳ではありませんが、結核の既往歴がある方は長期に渡って不調が続く場合には病院での診察を受けましょう。
下痢の理由は食あたり以外にもたくさんあるんです!下痢の原因って何?
急な下痢は大変困ったもので、特に移動中にこうした辛い経験をした人も多いのではないでしょうか。
では、人はどうして下痢になるのでしょうか。
下痢の主な直接的原因は「腸の動き」と「水分過多」
下痢とは、排出される便に含まれる水分が過剰である状態を指します。下痢になる原因にはいろいろありますが、1つは腸のぜん動運動が過剰になりすぎて、便から適切な量の水分を吸収することができないことがあります。これを、腸管運動異常による下痢といいます。
もう一つの下痢の主な理由は水分過多です。これは腸管から分泌される水分が過剰になることで下痢になるというもので、このような下痢を分泌性下痢といいます。
腸管運動異常による下痢の背景とは
腸管運動異常による下痢の背景には心理的な要因と食生活にあるといわれています。心理的な要因としてはストレスが挙げられ、過労や人間関係、極度のプレッシャーなどの他、おなかの冷えなども心理的なストレスとなり、腸に対して神経伝達物質が過剰に分泌され、結果として下痢になるのです。
また、アルコールや不飽和脂肪酸といった腸粘膜を刺激しやすい食べ物を食べていると、腸管運動異常による下痢を引き起こしやすいとされています。
分泌性下痢の理由とは
分泌性下痢は、食中毒などを含む細菌感染や暴飲暴食による刺激で腸の動きが異常をきたすことによって発生する下痢です。
腸管は便内の水分を吸収する役割を担う一方で、腸液などの水分を腸内に分泌する役割もあり、上記の理由から両者のバランスが崩れて下痢の症状が見られるのです。
以上のように、下痢の理由は決して食中毒だけではなく、ストレスなどによる下痢もあるので、下痢になったときは幅広く原因を探す必要がありそうです。
下痢になる原因は様々!下痢の起こるメカニズムは3タイプ
下痢の原因は、消化物の流れと消化管の粘膜の働きによって異なります。どのようなメカニズムでおこるのでしょうか。
下痢症とは
下痢症とは、一日の排便回数が増え、排便は水分が大部分を占めて、その量が200ミリリットル以上ある場合を言いますが、その状態は様々です。
回数が多い場合は1.5時間~2時間おきに便意を催して寝ていられず、ノイローゼ気味になってしまう人もいます。
原因別に対策を立てて、早めに治療を行う必要があります。
下痢になる原因は様々
下痢になる原因はいろいろです。
実際には複数の原因が重なっていることが多く、診断が難しい病気です。
下痢になるかどうかは、「消化管を流れる消化物の流れ」と、「消化管の内側の粘膜で起こる吸収や分泌」によって決まります。
消化管の仕組みからみた下痢症の三つのタイプ
1:分泌性下痢症
消化物の流れが正常で、粘膜からの消化物の吸収が減少しており、分泌が増大している下痢を、分泌性下痢症といいます。
セクレチンやガストリンといった、消化管ホルモンによって、粘膜の分泌能力が高まります。膵臓にガストリン産生腫瘍が発生すると、これらのホルモンを過剰に分泌することが多く、水、電解質、脂肪などの吸収が悪くなり、下痢を誘発します。
2:粘膜性下痢症
消化物の流れ、吸収率、分泌率がすべて増大している状態の下痢を、粘膜障害性下痢といいます。
病原性大腸菌(O-157)や、偽膜性腸炎のクラストリジウムディフィクル菌などが代表的な原因菌です。
また、クローン病や潰瘍性大腸炎などの増悪期に繁殖するクレブシーラ菌など、細菌による粘膜障害(粘膜の剥離、潰瘍化など)もその要因となります。
3:浸透圧性下痢症
吸収率・分泌率は正常ですが、消化物の流れのみが増大している状態の下痢を、浸透圧性下痢症といいます。
緩下剤である酸化マグネシウムやラクツロース、内視鏡検査や注腸検査のときに用いる腸管洗浄剤のゴリテリー、ニフレックなどが原因です。
また、小腸切除などによって消化管の吸収面積が低下することも一因としてあげられます。
下痢の治療は原因別にあたり、原因を除くプロトコールにそって進めめます。対症療法として薬物療法も行われます。
急な腹痛・・そんな時は場所をチェック!
腹痛はお腹の中の臓器が発する危険信号です。
それも急性の腹痛となれば、その原因となる疾患はかなり限定されます。
腹痛が発せられる部位を特定すれば、それだけで原因となる臓器と疾患を絞り込めるのです。
急性の腹痛を伴う疾患
急性の腹痛が発生する部位によって原因となる疾患が判別できます。
1.上腹部
●急性胃炎
胃の粘膜で急性の炎症が起こることで腹痛が生じます。
●急性胆嚢炎
胆嚢の急性炎症で胆嚢の位置で腹痛が起こるのです。
●急性虫垂炎(初期)※
急性虫垂炎となった初期は上腹部に腹痛が生じ、腹痛の位置が次第に下腹部へ変化します。
●急性膵炎
急性膵炎は腹痛が上腹部の心窩部で発生します。
2.下腹部
●急性腸炎
腸の急性炎症でもちろん腸のある下腹部に腹痛が発生します。
●尿管結石
尿管が結石で詰まることで下腹部に鋭い痛みが生じます。
●急性虫垂炎
※急性虫垂炎は、時間の経過と共に腹痛が右下腹部へと移動していきます。
●卵巣や子宮の病気
卵巣や子宮の疾患による腹痛はやはりそれらの配置された下腹部に起こります。
3.背部痛
●尿管結石
下腹部の痛みだけでなく、時として背部痛も伴い場合があります。
●急性膵炎
上腹部の鋭い痛みと、背部痛も伴います。
4.腹部全体
●腸閉塞
腸が閉塞することでその痛みは腹部全体に及びます。
●消化器穿孔
消化器全体に及ぶ疾患のため、その範囲も腹部全体に及ぶのです。
●腹膜炎
腹部の臓器を包む腹膜の炎症であり、やはり腹部全体に腹痛が発生します。
●腹部大動脈瘤破裂
腹部の大動脈瘤が破裂すれば、それは腹部全体に及びます。
急性虫垂炎のように進行によって痛む箇所が変わる場合や複数の部位が痛む疾患もありますが、それでも、痛む場所にどんな臓器があるか知るだけでかなり原因疾患を特定することに役立つことができるでしょう。
激しい腹痛は、急性腹膜炎かも!?
腹痛は、誰もが経験してきた症状です。
しかし、その腹痛の中には我慢できないほどの痛みが出る場合があります。
それはもしかしたら、急性腹膜炎かもしれません。
急性腹膜炎とは
普通、お腹の中(空洞部分)は無菌状態になっています。
ここに、何らかの原因で細菌が入ったり、機械的化学的刺激が加わることにより、炎症が起きる病気です。
重症になるとショック状態になったり、全身に炎症症状が起こるSIRS(全身性炎症反応症候群)、DIC(播種性血管内凝固症候群)、MOF(多臓器不全)などが起こります。
症状
・激しい腹痛
・浅い呼吸
・発熱
・脈が速い
・お腹が板のように硬い(筋性防御)
急性腹膜炎につながる病気
・肝膿腫
・胆のう炎
・消化性潰瘍
・消化器の腫瘍
・急性膵炎
・腸管膜動脈閉塞症
・イレウス(腸閉塞)
・腎盂腎炎
・クローン病
・憩室炎
・虫垂炎
・子宮外妊娠
・子宮付属器(卵巣など)の炎症
・卵巣のう腫茎捻転
・外傷
など
治療
すぐに抗生物質の投与と点滴を行い、緊急で開腹手術を行います。
重症化すると手術を行えなくなるなど、致命的になるため、早急に改善する必要があります。
急性腹膜炎は、様々な病気から引き起こされます。
大したことない病気だと思っていても、病院への通院を止めたり、薬を飲まなくすることで、重症になってしまうことも多いです。
かならず見つかった病気は、最後まで治療するようにしましょう。
(Photo by:http://www.ashinari.com/)
著者: カラダノート編集部